異世界にいったったwwwww

あれ

御輿

第一軍……天領の守護。総数約三万、大将ブリアン 


 第二軍……直轄州の警護。総数四万、イリーツキ


 第三軍……大規模な反乱の鎮圧。総数二万五千、ソローツキ


 第四軍……予備兵力。総数五万、ソルジャニー


これが、当初の連合軍の北方軍が担当であった。しかし、約1ヶ月半ほど経過した現在ではその陣容も大きく異なっている。
――いいや、そもそもなぜ両陣営が争っているのだろうか?
『大陸史誌記』を紐解くと、次の通りである。
「公儀の許しなく勝手に他国への侵略をした衛国、国主ガルノスを討伐するため都市国家は連合を組んでこれを打倒する。一方、パジャ宰相の許しを得たガルノスは、国を奪われる事を良しとせず、反発。曰く、嘗ての王朝時代の正当性ならいざ知らず、これまで合議制(都市国家間)であった。掟もなく、また一方的な国の没収命令受け入れざる。故に刃交える」
と、ある。
つまり、ここでは遠州討伐が問題として記されている。更にその前、ガルノスは関門での決別で自らの執るべき道を思い知らされた――という他ない。



夜、パジャの治める属州の一つである最前線の城には煌々と篝火が焚かれていた。
現在、衛軍を退け一時中原から退去させる勢いとなった連合軍も初冬に入り硬直を見せている。その理由に「雷撃のキャパ」と異名をとる衛軍の名将キャパの巧みな攪乱、及び遊撃、ゲリラ戦術によってイリーツキとソローツキの軍合わせて六万五千は、広大な中原の原野で哨戒及び警戒せねばならなくなったのだ。予備戦力を投入できる暇がなくなった。
キャパが率いる精鋭五千の高火力機動部隊は大規模な会戦を避けつつ、兵糧のルート破壊、ならびに後方支援の遮断を敢行。連合軍の全軍は衛軍を追い落とすために戦線が伸びきってしまった為、対処することができなくなっていた。更に、この一ヶ月近く姿を見せなかったガルノス自身が別の国を従え、戦場に現れるという情報が齎された。
一時、厭戦ムードの漂っていた衛軍は、これにより一挙に勢いづいた。
……とはいえ、ではライバルのマックス将軍は無能であるか? と問われれば、全くそうではない。彼は一時瓦解寸前だった衛軍をよく統率し、全軍で粘り強く防護に徹し、戦線を膠着状態に陥らせる程にまで回復させた。それには、皮肉なことにこれまで陥落させた砦や城を利用し、戦線を構築し直した訳である。鮮やかな手腕ではあるが地味ともいえる仕事は、しかし相手のブリアンも驚嘆した。
「敵勢にはよほど、全軍を手足の如く扱うのが上手い者がいる……」
と言った。
一方、ガルノスはアーロン率いる軍勢を従えながら東上の途半ばであった。

では一体、ゴールド王朝の生き残りである盲目の王子を推戴しようとした理由はなんであるのか?
一言で言えば「権力と権威の分断」である。
つまり、ゴールド王朝はその成立時の建前として「国で初めて大陸全土を統一した偉大な始祖である。その我は神により命を受けた。よって、王朝を建てる」
つまり、王朝自体が瓦解したといえども、その権威は大陸全土に威風として残っていた。そこで生き残りの王子を擁することで正当性を打ち立てようとした。
また、そのようなリスクヘッジの為に王子を生き残らせていたと言っても良い。
王子の乗った御輿の行列が閂の外された城門から、ゆっくりと架け橋を渡ってくる。まるで昼間のような明るさの光である。
整然と、兵士たちは御輿が通過するまで列をなして、御輿の通る両脇に並ぶ。彫像のようにも思われた。彼らの握った槍の穂先は天に向かい無数に突き立てられた。
「王子、城に着きましたぞ」
パジャが御輿の傍に駒を進め小窓から囁いた。
長旅の疲れからかうつらうつら、とした痩身の王子はハッ、と気がついたように寄りかかった御輿の板から身を引き剥がす。姿勢を正しくすると咳払いをする。
後、大陸全土を戦乱の渦中へ落とす「皇匡戦争こうきょうせんそう」への布石に過ぎなかった。


話しを脱線するがこの皇匡戦争こうきょうせんそう ……字を分解するとおうただす=ただす 戦争という意味になる。









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