異世界にいったったwwwww
出発にむけて5
   「今、周囲を見てきたがここもじきに危なくなるぞ。逃げる準備をした方がいい」
巨漢のザルが煤に頬を黒く汚しながら言った。恐らく炎が近くまで来ているのだろう。ウールドはそのまま2階の寝室に運び、休ませている。
「……チッ、糞っ。どうして連中は俺の邪魔をするッ!!」
グリアはテーブルの前の食器を思い切りに腕を振り払い、床に全てをぶちまける。器は全てひっくり返り、壮一はそれを無視するようにあえて陽気に
「逃げよう。オレたちのお得意になっただろ?」そう言いながら歯の間に挟まった肉を詰め先で抜く。
「……おい、壮一。それはどういう意味だ?」
顔をゆっくりと上げ、呪詛のようにつぶやく。こめかみには青筋の血管が浮き出ていた。
「違う、そういう意味じゃない。オレは逃げるべきだと言いたいだけだ」
「ハッ」と軽蔑するように金髪の縮れ毛の青年は静かに見据える。
「なるほどな。俺が〝立派〟だから逃げて逃げて逃げ続けれた訳だな……そりゃ傑作だ。壮一は一切間違えた事など言っていないな。」
さすがに壮一も頭にきたらしく、椅子を蹴飛ばして立ち上がった。
「ああ!? おい、何だとッ!?」
唾を飛ばしながら怒号を発する。
「――やめろ。いい加減にしろ。今は一刻を争う。ここで諍いを起こしてどうする」
モグラがスプーンを持ち、スープを啜り眉を顰める。
しかし、その場の一座は彼の言葉に救われた。緊張した空気感が少し緩和された気がしたように思われた。
「悪かった――」グリアは椅子に座り直し、小窓に視線を流す。
壮一も何かを呟きながら「ああ、分かった。スマン」と言い直し、頭を掻く。
「なぁ、おい。グリア、お前の策は今すぐやるべきだ。」
モグラが、間隔を置いて喋りだした。
「……こうやって、此方の動向がバレているのも誰かが監視いているか内通している筈だ。が、少なくともこの中ではない。」
「なぜそう言い切れる?」
「勘だ。……いや、恐らくあの偽商会の奴がそうだろう。それに、少年を救い出した時点で連中が監視を放った可能性が高い」
その渦中の少年はウールドと共に寝かせている。が、重症なために容易に移動させることはできない。
「なるほどな。それで?」
ザルが腕組みをして、急かす。周囲の喧噪が濁流のように街の辻に木霊している。
「多分、グリアの策は直ぐにでもバレるだろうし、使える施設は全て壊されるか抑えられる。だったら、今すぐにでもやるべきだ。動ける人間で中原へ物資武器を輸送すべきだ。判断はアンタがしてくんなよ、大将」
「……ッ、しかし」
モグラは尚も迷うグリアにとどめを放つ。
「この混乱で、大将の口が僅かに笑みが出たのは知っているからこそ、敢えて言わせてもらった。死線を共に超えたら大将の考えがわかるようになってな。いつも此方の考えで『やめたほうがいい』という方を選ぶ。それがアンタだよ大将。」
「オラァも珍しくその男に賛成だ。」
ザルは駈けた後の肩で息をしながら賛同した。モグラはだまって赤い鼻をすすり、指で鼻の孔を擦る。
「急ごう、早く決めよう。じゃないとバザールが心配だよ。」真希はそれまでの空気に呑まれていたが、しかし漸く自らの意思を表明する。
グリアは直ぐに部屋の全員に目をやり、
「分かった。モグラの言う通りに俺は使える連中を集めて輸送する。だが、まずこの難局を乗り切ってから次の難局に移る。いいな?」
各々、思いを逡巡させながら各々のやり方で肯く。
真希は下唇を噛みしめる。右手を胸元で軽く握りながら、緩慢に目を瞑る。
巨漢のザルが煤に頬を黒く汚しながら言った。恐らく炎が近くまで来ているのだろう。ウールドはそのまま2階の寝室に運び、休ませている。
「……チッ、糞っ。どうして連中は俺の邪魔をするッ!!」
グリアはテーブルの前の食器を思い切りに腕を振り払い、床に全てをぶちまける。器は全てひっくり返り、壮一はそれを無視するようにあえて陽気に
「逃げよう。オレたちのお得意になっただろ?」そう言いながら歯の間に挟まった肉を詰め先で抜く。
「……おい、壮一。それはどういう意味だ?」
顔をゆっくりと上げ、呪詛のようにつぶやく。こめかみには青筋の血管が浮き出ていた。
「違う、そういう意味じゃない。オレは逃げるべきだと言いたいだけだ」
「ハッ」と軽蔑するように金髪の縮れ毛の青年は静かに見据える。
「なるほどな。俺が〝立派〟だから逃げて逃げて逃げ続けれた訳だな……そりゃ傑作だ。壮一は一切間違えた事など言っていないな。」
さすがに壮一も頭にきたらしく、椅子を蹴飛ばして立ち上がった。
「ああ!? おい、何だとッ!?」
唾を飛ばしながら怒号を発する。
「――やめろ。いい加減にしろ。今は一刻を争う。ここで諍いを起こしてどうする」
モグラがスプーンを持ち、スープを啜り眉を顰める。
しかし、その場の一座は彼の言葉に救われた。緊張した空気感が少し緩和された気がしたように思われた。
「悪かった――」グリアは椅子に座り直し、小窓に視線を流す。
壮一も何かを呟きながら「ああ、分かった。スマン」と言い直し、頭を掻く。
「なぁ、おい。グリア、お前の策は今すぐやるべきだ。」
モグラが、間隔を置いて喋りだした。
「……こうやって、此方の動向がバレているのも誰かが監視いているか内通している筈だ。が、少なくともこの中ではない。」
「なぜそう言い切れる?」
「勘だ。……いや、恐らくあの偽商会の奴がそうだろう。それに、少年を救い出した時点で連中が監視を放った可能性が高い」
その渦中の少年はウールドと共に寝かせている。が、重症なために容易に移動させることはできない。
「なるほどな。それで?」
ザルが腕組みをして、急かす。周囲の喧噪が濁流のように街の辻に木霊している。
「多分、グリアの策は直ぐにでもバレるだろうし、使える施設は全て壊されるか抑えられる。だったら、今すぐにでもやるべきだ。動ける人間で中原へ物資武器を輸送すべきだ。判断はアンタがしてくんなよ、大将」
「……ッ、しかし」
モグラは尚も迷うグリアにとどめを放つ。
「この混乱で、大将の口が僅かに笑みが出たのは知っているからこそ、敢えて言わせてもらった。死線を共に超えたら大将の考えがわかるようになってな。いつも此方の考えで『やめたほうがいい』という方を選ぶ。それがアンタだよ大将。」
「オラァも珍しくその男に賛成だ。」
ザルは駈けた後の肩で息をしながら賛同した。モグラはだまって赤い鼻をすすり、指で鼻の孔を擦る。
「急ごう、早く決めよう。じゃないとバザールが心配だよ。」真希はそれまでの空気に呑まれていたが、しかし漸く自らの意思を表明する。
グリアは直ぐに部屋の全員に目をやり、
「分かった。モグラの言う通りに俺は使える連中を集めて輸送する。だが、まずこの難局を乗り切ってから次の難局に移る。いいな?」
各々、思いを逡巡させながら各々のやり方で肯く。
真希は下唇を噛みしめる。右手を胸元で軽く握りながら、緩慢に目を瞑る。
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