異世界にいったったwwwww
捜索
この大陸で恐れられているモノの一つに死霊喰い(イーター)ほど恐れられているものはない。
イーターの実態はよくわかっていない。というのも、魔界の純粋な住人でもなく、魔人たちの使役でもない、またその目的も不明な連中である。
しかし、このイーターは実に厄介なことに、死んだ人間を生き返らせて悪さをさせる、ということだけが判明している……らしい。だが、それ以外に詳しくわかっていない。というのも、その生き返りの死者自体が少なく、また生き返っても人間と見分けが付かないのだ。
そもそも、その悪さとは一体どのようなものかすらも理解できないのである。
更に厄介なことに、何故生き返らせるかの理由も定かでないのだ。
が、ともかく。イーターが出没するのは決まって戦争が終わったあとの戦場である。そのまだ死んで間もない遺骸に近寄り、魂を抜き取り、弄ぶ。
その様子は戦後処理の現場からもチラホラ目撃されるが、人間の眼が多い場合は現れない。
……つまり。
「イーターには気をつけろよ。」
大真面目にザルが真希に語る、真希は目の下にコーヒー色のクマをつくって機械的に頷く。眠い。ただただ眠いのだ。昨夜から鼾のせいで眠れなかった。だけでない。何度蹴飛ばして起こそうとしても起きない。逆に蹴飛ばした足先が岩でもぶち当たったかのように痛い。
荷馬車の運転をしていた壮一は缶コーヒーを飲みながら7時間近くを運転していた。
「もうすぐつく。それで、そのイーターとやらはあれか。時間に関係なく出てくるのか?」
「まあな。人目が少ないと、あとイーターの数が多い場合は必ず。山奥、曠野必ず出てくる。」
馬鹿らしい、と鼻で笑いたくなった真希。異世界だからいても当然と思う一方、大の大人が恐怖している様子が逆に真希の心理におかしな作用をした。
(眠い。)
うとうと、と真希は荷台の空きスペースで荷物に挟まれながら、身を断続的な振動が刻まれる。だが、そんなことはどうでもいい。彼女はとにかく、体育座りで膝を抱え、頭を前後に船を漕ぎ出した。
…………目覚めた。
真希の体感ではつい数分のことだと思っていた。だが、どうやら違う。周囲は薄暗い。先程までは新鮮な朝の空気であったのに。
おかしい。なにかがおかしい。異世界にきて鋭くなった直感が真希の肌をピリリッ、と緊張させる。
「父さん? ザル?」
思ったより大きな声だった。だが、構わない。どのみち、はぐれたか、強襲された後だとして、自分が安全な状態であるハズがない。
真希は腰のレイピアを抜き取り、腰をかがめ、足音を忍ばせて歩き出す、荷台には人影がない、薄い光の漏れた運転側に向かった。硬い床板が軋む。ブーツの金属部分の靴底がコツコツと音を立てる。
しかし、父壮一の姿も見えない。
「なにこれ?」
真希は外界の景色に眼を疑った。空が邪悪な紅色、というか真希の知っているところではワインレッドともいうべき空と暗闇の塊が周囲と空を包んでいる。気分が悪くなりそうだった。
真希は荷台に戻ると、息を整え、手近にある水瓶の蓋をとると手掬いで水を啜る。
「げっ……ほっ……げっほ」むせた。急に気管が痛くなる。
頬を叩く。
「よしっ。」
改めてレイピアの聖柄を握り直す。まるで他人の腕がもう一本分余計にぶら下がっている気分だ。
運転席にまた足を向けた。……と、そこで真希は馬がそのまま2頭いなくなっていることに気がついた。まさか、自分だけ置いてかれたのか、と焦った。しかし、薄暗い原野の地面を見つめると、進行方向の先に蹄の跡自体がない。恐らく、馬はこの場所で消えたのだ。
「どうなってんの?」
不安と焦りが次第に不快な汗となって、真希の背中を熱くする。
イーターの実態はよくわかっていない。というのも、魔界の純粋な住人でもなく、魔人たちの使役でもない、またその目的も不明な連中である。
しかし、このイーターは実に厄介なことに、死んだ人間を生き返らせて悪さをさせる、ということだけが判明している……らしい。だが、それ以外に詳しくわかっていない。というのも、その生き返りの死者自体が少なく、また生き返っても人間と見分けが付かないのだ。
そもそも、その悪さとは一体どのようなものかすらも理解できないのである。
更に厄介なことに、何故生き返らせるかの理由も定かでないのだ。
が、ともかく。イーターが出没するのは決まって戦争が終わったあとの戦場である。そのまだ死んで間もない遺骸に近寄り、魂を抜き取り、弄ぶ。
その様子は戦後処理の現場からもチラホラ目撃されるが、人間の眼が多い場合は現れない。
……つまり。
「イーターには気をつけろよ。」
大真面目にザルが真希に語る、真希は目の下にコーヒー色のクマをつくって機械的に頷く。眠い。ただただ眠いのだ。昨夜から鼾のせいで眠れなかった。だけでない。何度蹴飛ばして起こそうとしても起きない。逆に蹴飛ばした足先が岩でもぶち当たったかのように痛い。
荷馬車の運転をしていた壮一は缶コーヒーを飲みながら7時間近くを運転していた。
「もうすぐつく。それで、そのイーターとやらはあれか。時間に関係なく出てくるのか?」
「まあな。人目が少ないと、あとイーターの数が多い場合は必ず。山奥、曠野必ず出てくる。」
馬鹿らしい、と鼻で笑いたくなった真希。異世界だからいても当然と思う一方、大の大人が恐怖している様子が逆に真希の心理におかしな作用をした。
(眠い。)
うとうと、と真希は荷台の空きスペースで荷物に挟まれながら、身を断続的な振動が刻まれる。だが、そんなことはどうでもいい。彼女はとにかく、体育座りで膝を抱え、頭を前後に船を漕ぎ出した。
…………目覚めた。
真希の体感ではつい数分のことだと思っていた。だが、どうやら違う。周囲は薄暗い。先程までは新鮮な朝の空気であったのに。
おかしい。なにかがおかしい。異世界にきて鋭くなった直感が真希の肌をピリリッ、と緊張させる。
「父さん? ザル?」
思ったより大きな声だった。だが、構わない。どのみち、はぐれたか、強襲された後だとして、自分が安全な状態であるハズがない。
真希は腰のレイピアを抜き取り、腰をかがめ、足音を忍ばせて歩き出す、荷台には人影がない、薄い光の漏れた運転側に向かった。硬い床板が軋む。ブーツの金属部分の靴底がコツコツと音を立てる。
しかし、父壮一の姿も見えない。
「なにこれ?」
真希は外界の景色に眼を疑った。空が邪悪な紅色、というか真希の知っているところではワインレッドともいうべき空と暗闇の塊が周囲と空を包んでいる。気分が悪くなりそうだった。
真希は荷台に戻ると、息を整え、手近にある水瓶の蓋をとると手掬いで水を啜る。
「げっ……ほっ……げっほ」むせた。急に気管が痛くなる。
頬を叩く。
「よしっ。」
改めてレイピアの聖柄を握り直す。まるで他人の腕がもう一本分余計にぶら下がっている気分だ。
運転席にまた足を向けた。……と、そこで真希は馬がそのまま2頭いなくなっていることに気がついた。まさか、自分だけ置いてかれたのか、と焦った。しかし、薄暗い原野の地面を見つめると、進行方向の先に蹄の跡自体がない。恐らく、馬はこの場所で消えたのだ。
「どうなってんの?」
不安と焦りが次第に不快な汗となって、真希の背中を熱くする。
「異世界にいったったwwwww」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
3万
-
4.9万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
164
-
253
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
614
-
221
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
614
-
1,144
-
-
1,301
-
8,782
-
-
86
-
288
-
-
14
-
8
-
-
42
-
14
-
-
62
-
89
-
-
218
-
165
-
-
220
-
516
-
-
51
-
163
-
-
23
-
3
-
-
89
-
139
-
-
1,658
-
2,771
-
-
183
-
157
-
-
1,392
-
1,160
-
-
3,548
-
5,228
-
-
408
-
439
-
-
62
-
89
-
-
42
-
52
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
7,474
-
1.5万
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント