異世界にいったったwwwww
決定
中原の獅子、ガルノスは《遠州》攻略後、各部族の戦後処理に3週間ほどを費やすこととなった。また、それに従い、国境を接する可能性の浮上した東方の梟雄「燕尾将軍」に書面でこれからの国事のため交渉を送った。
「……終わったな。」
ガルノスは肩がこりやすく軽く回して右手で揉む。眼も疲れている。若い頃では考えられない事であった。
手近にいた老将が、
「ええ、しかし殿。」
と、甲冑を着たまま真剣な眼差しで口でなにか言いたげであった。
「どうした?」
「中原を――」
そこまでいい、ガルノスの眉間に、いや容貌に獣でも憑いたような雰囲気を感じた。
「どうした?」
老将は先程伝令将校から渡された書類をみる。そこにはおよそ中原の状態を記していた。余りよい知らせではないのだろうと予想していた老将にとって予想は正しさを証明しただけである。
「なんだ?」苛々と声を荒らげた。
「――殿、遠州討伐、宰相パジャが介入することを近日決めたと。」
「やはりか。あの狐めッ!」半ば予想の範疇であり、しかしそれ故にガルノスは怒りが半減されるというモノでもなかった。床机を蹴飛ばし、荒い感情をにじませる。
「詳細は?」
……北方の賢王、ブリアンは近々王都周辺に北方の私兵団を集める。更に、有力な都市国家から常駐の守備団を募る。これに従わない場合、それ相応の処罰がある。また、都市国家間での会議で一番の議題がガルノスの遠州討伐であった。確かに征討命令は出した。しかし、そのやり方が些か公議に叶わぬやり方であり、また私腹を肥やす対応が散見される。これもまた、近々調査団を派遣し、ことの成り行きを見守る。
その報告を最後まで聞かずガルノスはいきり立った。腰の剣を鞘から走らせると鈍色の輝きを周囲を囲繞する天幕へ向け、切り裂く。真綿を裂く音に似ていた。
快晴の日差しが、差し込む。
「……許さぬ。わかりきっていたとはいえ、この遠州をパジャどもが直轄領にするのだろう。これは明白。ならば……。」
「いかがなさる」
老将は敢えて冷静に訊ねる。長年の経験である。このガルノスは諌めても火に油である。
「――調査団を受け入れよう」
はっ!? 思わず老将は声を上げた。しかし、その反応を楽しむように口が歪む。獰猛な獣そのものであった。
「なに、勘違いするな。連中の首送り返してやれば良いことだ。」
ガルノスは調査団を皆殺しにするつもりだ。それによって反応する相手方の同行で戦端を開こうというのだ。そのためにも、東方の燕尾将軍と誼を通じ、かつ味方を増やすため、有利な状態で戦争をしようというのだ。
老将はガルノスの一言ですべて悟った。家臣団をはじめ、このガルノスの思想は全て敷衍され尽くしている。……何故か?
即ち、中原の獅子は常に攻勢を持って、国家運営の基礎とする。と明言しているからである。
老将は、言わずにいられなかった。
「ですが、早急すぎます。金は? 武器は?」
と、そこでガルノスが一つの書状を老将に投げた。はて、とそれを拾い上げて読む。
《宛先 中原の獅子~》とその続きに目を走らせる。
「……これは、バザールなどの商会、そして商都国家ガーナッシュを味方に引き入れましたな。一体いつごろ?」
「随分早くじゃ。知っているか? 火槍という武器があるらしい……。」
老将は首を傾げた。
「いえ、初耳です。」
「――そうか。この火槍。聞いたところによると、砦で蜂起した連中が都市国家連合の遠征軍に互角の勝負まで持っていった兵器であるらしい。」
「ほう、そんなものが。で、それを?」
「当然だ。我々の目的は――天空の玉座までを奪取することだ。」
既にガルノスの考えに中原での会戦経緯を描いている。が、そこに障害が横たわることも頭を掠めていた。……北方の賢王ブリアン。
そして、パジャの精鋭私兵団。
それらを相手にやるには厳しい戦いであることは覚悟の上である。戦略と政略を同時に進行せねばならぬのだ。
……ともかく。
朔日、午の頃。ガルノスは攻略した遠州の地図を眺め、その向こうの相手を睨む。
「……終わったな。」
ガルノスは肩がこりやすく軽く回して右手で揉む。眼も疲れている。若い頃では考えられない事であった。
手近にいた老将が、
「ええ、しかし殿。」
と、甲冑を着たまま真剣な眼差しで口でなにか言いたげであった。
「どうした?」
「中原を――」
そこまでいい、ガルノスの眉間に、いや容貌に獣でも憑いたような雰囲気を感じた。
「どうした?」
老将は先程伝令将校から渡された書類をみる。そこにはおよそ中原の状態を記していた。余りよい知らせではないのだろうと予想していた老将にとって予想は正しさを証明しただけである。
「なんだ?」苛々と声を荒らげた。
「――殿、遠州討伐、宰相パジャが介入することを近日決めたと。」
「やはりか。あの狐めッ!」半ば予想の範疇であり、しかしそれ故にガルノスは怒りが半減されるというモノでもなかった。床机を蹴飛ばし、荒い感情をにじませる。
「詳細は?」
……北方の賢王、ブリアンは近々王都周辺に北方の私兵団を集める。更に、有力な都市国家から常駐の守備団を募る。これに従わない場合、それ相応の処罰がある。また、都市国家間での会議で一番の議題がガルノスの遠州討伐であった。確かに征討命令は出した。しかし、そのやり方が些か公議に叶わぬやり方であり、また私腹を肥やす対応が散見される。これもまた、近々調査団を派遣し、ことの成り行きを見守る。
その報告を最後まで聞かずガルノスはいきり立った。腰の剣を鞘から走らせると鈍色の輝きを周囲を囲繞する天幕へ向け、切り裂く。真綿を裂く音に似ていた。
快晴の日差しが、差し込む。
「……許さぬ。わかりきっていたとはいえ、この遠州をパジャどもが直轄領にするのだろう。これは明白。ならば……。」
「いかがなさる」
老将は敢えて冷静に訊ねる。長年の経験である。このガルノスは諌めても火に油である。
「――調査団を受け入れよう」
はっ!? 思わず老将は声を上げた。しかし、その反応を楽しむように口が歪む。獰猛な獣そのものであった。
「なに、勘違いするな。連中の首送り返してやれば良いことだ。」
ガルノスは調査団を皆殺しにするつもりだ。それによって反応する相手方の同行で戦端を開こうというのだ。そのためにも、東方の燕尾将軍と誼を通じ、かつ味方を増やすため、有利な状態で戦争をしようというのだ。
老将はガルノスの一言ですべて悟った。家臣団をはじめ、このガルノスの思想は全て敷衍され尽くしている。……何故か?
即ち、中原の獅子は常に攻勢を持って、国家運営の基礎とする。と明言しているからである。
老将は、言わずにいられなかった。
「ですが、早急すぎます。金は? 武器は?」
と、そこでガルノスが一つの書状を老将に投げた。はて、とそれを拾い上げて読む。
《宛先 中原の獅子~》とその続きに目を走らせる。
「……これは、バザールなどの商会、そして商都国家ガーナッシュを味方に引き入れましたな。一体いつごろ?」
「随分早くじゃ。知っているか? 火槍という武器があるらしい……。」
老将は首を傾げた。
「いえ、初耳です。」
「――そうか。この火槍。聞いたところによると、砦で蜂起した連中が都市国家連合の遠征軍に互角の勝負まで持っていった兵器であるらしい。」
「ほう、そんなものが。で、それを?」
「当然だ。我々の目的は――天空の玉座までを奪取することだ。」
既にガルノスの考えに中原での会戦経緯を描いている。が、そこに障害が横たわることも頭を掠めていた。……北方の賢王ブリアン。
そして、パジャの精鋭私兵団。
それらを相手にやるには厳しい戦いであることは覚悟の上である。戦略と政略を同時に進行せねばならぬのだ。
……ともかく。
朔日、午の頃。ガルノスは攻略した遠州の地図を眺め、その向こうの相手を睨む。
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