異世界にいったったwwwww
四十六
遠景の山裾が俄かに濡れ淡く烟る。真希たちは渓谷を抜け、関門のある国境まできた。陽が傾き、全てが紫根に染まってゆく。壮一が「あの関門はオレたちが逃げた後、できたらしいな。メンドウくせぇ。」とぼやく。
闇の中、眼鏡越しに真希は原野と丘陵の周辺に築かれた小さな関門を見詰める。彼女の腰元に一振りの剣が佩いていた。
――レイピアだ。
細い刀身自体が独特であるが、真希の保有するレイピアは護身用である。その中でも、グリアが渡したこのレイピアは特に硬い。剣戟にも耐えること数十回、普通より一回り太い。
『レイピアは敵の急所を狙う。そこを突け。』
と、グリアは言った筈だ。関節部を特に貫く。しかし、それ以上に武器は牽制する目的で持たされたようだ。更に、肩から背中にかけて吊った革ベルトが支える自動小銃「AK-47」も真希にとって重要な命綱だった。これは、日本政府の転送時にあった現代兵器の一つ。弾薬は限られている。せいぜい400発か。次回の補給まで残せるか……いや、次回も必ずくると思えない。転送の期間はとても曖昧だ。
拳をつくり、彼女は小さく銃身を叩く。壮一は、旗印を確かめる為灯りの盛んな処を双眼鏡でのぞいていた。
八刻――――。
関所の最端にある濠の排水口から汚水と腐臭が溢れる。真希は眉を顰め、手榴弾の握った右手を大きく振る。約三、五秒程して、爆発した。巨大な揺れに監視していた兵たちが慌てて駈けつける。が、そこには汚物の充溢した暗い廊下と、侘しい篝火の余燼だけである。
「――よし、上手くいったぞ。」
壮一が合図した。ザルと壮一は、検閲を受ける列に割り込み、農民たちの荷馬車の中へ身を潜ませた。無論、今人目は爆破に向いている。且つ又、突然の事で逃げだした連中もいるのだ。どうやら、戦争と勘違いしてくれたらしい。あとは真希にトランシーバーで連絡し、荷主として通過する。少女一人ならばなんとかなる。
闇の中、眼鏡越しに真希は原野と丘陵の周辺に築かれた小さな関門を見詰める。彼女の腰元に一振りの剣が佩いていた。
――レイピアだ。
細い刀身自体が独特であるが、真希の保有するレイピアは護身用である。その中でも、グリアが渡したこのレイピアは特に硬い。剣戟にも耐えること数十回、普通より一回り太い。
『レイピアは敵の急所を狙う。そこを突け。』
と、グリアは言った筈だ。関節部を特に貫く。しかし、それ以上に武器は牽制する目的で持たされたようだ。更に、肩から背中にかけて吊った革ベルトが支える自動小銃「AK-47」も真希にとって重要な命綱だった。これは、日本政府の転送時にあった現代兵器の一つ。弾薬は限られている。せいぜい400発か。次回の補給まで残せるか……いや、次回も必ずくると思えない。転送の期間はとても曖昧だ。
拳をつくり、彼女は小さく銃身を叩く。壮一は、旗印を確かめる為灯りの盛んな処を双眼鏡でのぞいていた。
八刻――――。
関所の最端にある濠の排水口から汚水と腐臭が溢れる。真希は眉を顰め、手榴弾の握った右手を大きく振る。約三、五秒程して、爆発した。巨大な揺れに監視していた兵たちが慌てて駈けつける。が、そこには汚物の充溢した暗い廊下と、侘しい篝火の余燼だけである。
「――よし、上手くいったぞ。」
壮一が合図した。ザルと壮一は、検閲を受ける列に割り込み、農民たちの荷馬車の中へ身を潜ませた。無論、今人目は爆破に向いている。且つ又、突然の事で逃げだした連中もいるのだ。どうやら、戦争と勘違いしてくれたらしい。あとは真希にトランシーバーで連絡し、荷主として通過する。少女一人ならばなんとかなる。
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