異世界にいったったwwwww

あれ

二十

一般に、現代の日本で誤解されがちな観念の一つに〝婚姻”という事項がある。


つまり、男女が所謂自由恋愛によって、公的に(社会的に)二人の中を認めさせる……という一種誤れる論法がまかり通っている。


しかし、法律を見る限り、財産分与権が離婚時に発生し、かつ、どちらかのイエに所属することによりその婚姻は公的な効力を果たす。
もし、これが自由恋愛成立前提としての制度であれば、このように財産を分与するという〝公平性”はありえない。そして、どちらのイエにも分配されるモノでない。


自由恋愛=婚姻という図式が現代日本で敷衍されている。


 が、それは大いなる誤解である。少なくとも、本来的に、どの国の歴史や法律にしろ、自由恋愛を想定しての婚姻を法律で決定してきた事実なぞない。




 それは、この大陸(異世界)でも同じである。……つまり大前提として、個と個の結びつきより、イエ(集団)とイエ(集団)の結びつきを公に示す目的で婚姻制度の法律明記は行われてきた。故に、現代人の思考で「自由恋愛により、婚姻制度が決定されねばならぬ」という理論は無理である。


 そも、それらなば、内縁としての形をとれば良いのである。そして、過去のどの時期でも側室制度など(厳密には継嗣存続のため違うが)自由恋愛は公と区別された。


 現代日本ではそのような区別もなく、また時代により解釈も違う、更に専門家でも意見が分かれるため、ここで切り上げる。些か脱線した。少なくとも、この大陸(異世界)でもイエとイエの結びつきの左証として婚姻がある。




 ピーニク・ガーナッシュは、その妻に内心を吐露した。


 「どうも、最近、貿易の雲行きが怪しい」


 彼の妻、ノーズリは「へぇ」と曖昧に頷いた。


 彼女の生家は大規模な商館を経営する一族であり、ピーニクの家と婚姻関係で結びつくことにより、本来開拓が遅れた東回り航路の商売に大手をふって進出した成金一族と俗に言われている。


 が、ピーニクは誰でもいい、と婚姻の数日前に伝えられたにも関わらず受け流した。彼にとって重要なのは公国の継嗣としての自分のあり方を模索しているからだった。




 しかし、意外にも、彼らの夫婦仲は悪くはない。


 その理由の一つに、ノーズリという女性が快活であることが挙げられる。彼女は商家の娘とは思えないほど、金にも商売にも無頓着であり、このバザールでは珍しい娘だった。通常、バザールの商家の娘は、後継者でなくとも必ず商店を自ら拵え、何らかの形で商売をするのが習わしであったからだ。




 そのノーズリは今更、この五年間持ちかけられたこともない商業の悩みを呟く夫を心配な面持ちで眺めた。




 「……なにか、イヤな予感がする」


 朝食のテーブルに並んだスープを一口すするなり、呆けた顔でいう。




 「へぇ」


 しかし、彼女はまた同じ顔で頷くしかなかった。
 

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