異世界にいったったwwwww

あれ

 「ホレ、案内できるのはここまでだ。じゃあな」


 というがはやいか、その露店の商人は踵を返して戻っていった。


 (それにしても、面白い兵器か……)


 グリアは半ば冗談交じりに思えた新兵器の情報を受け流そうと思ったが、しかし、それの情報を聞くうち、どうやら本当にあるらしい、という確信に至った。とはいえ、その武器はとある商人が独占しているため、容易に入手できないという訳であった。




 「それが、ガーナッシュ商業連合と。」




 ガーナッシュとは、一言でいえば、商業立国である。いや、もっと正確にいえば、商人が国をもった、稀有な例である。とはいえ、バザールには珍しくなく、むしろ代表評議員はそういう連中で担われている。


 ガーナッシュ公国というのが本領であり、このバザールから20マリ離れた場所にある。


 ガーナッシュはバザールで3番目に大きな商業組織であり、かつ、国家という背景もあるため、ある程度の無理もできるし、多様な商売もしていた。




 ――火槍


 それが、新兵器の名前であった。


 これが俄かにバザールを中心に話題を集めているらしい……そのらしいを確認するため、グリアは高ぶる気持ちを抑えて、このガーナッシュの店の前に案内してもらったところであった。


 ……とはいえ。




 「まさか、こんなみすぼらしい外観があのがガーナッシュの拠点とはな。」




 グリアはまじまじと、みた。


 ガーナッシュ商店は、表通りの大規模で豪勢な外観を誇る店はおろか、軒を連ねるほかの店と見比べても、あまりの貧素さに、驚かされた。




(まあいい。)


 だが、グリアにはむしろその方が好感が持てた。バザール第3の勢力相手とはいえ、その緊張を解く作用になった。


 グリアは地下につながる階段を一歩ずつ降りていった。


 薄暗い、狭幅の壁に手を付きながら、途中何度も転ぶのをこらえ、ようやく扉の前に到着した。


 コン、コン、とノックをし、古くなった木の扉をひらく。




 「いらっしゃい。」


 カウンターには、不健康そうな髪と、ヨレヨレの商人の服、つまり羅紗布を肩からかけ、白い木綿の服を、着た男が座っていた。


 「どうしたい、お客さん。」


ゆるい声で、しかしその目線は、鋭くグリアに迫っていた。




 「……火槍を買いに来た」




 

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