異世界にいったったwwwww
32
グリアや、黒馬の各隊長を招集し非戦闘員の避難をどうするかと協議した。 しかし、その前に重要な事象が持ち上がる。
「連中はおそらくワシらが盗賊と同盟したことはわかっている。いくつもスパイを放っている。」
と、第一部隊長が口を曲げる。
グリアは黙然と机上の地図を睨む。各隊長が耳打ちなどをし合う。
「……おそらく連中は《蘇》の支援をうけるハズです。」
エイフラムが紙の上の道を指でなぞった。
「フム」
「……兄上、いかがしました?」
しきりに、グリアは腹部を撫でる。
「いや、大丈夫だ。」
常に溌剌としていた兄が、今や蒼白とした顔が、この軍儀に集まる皆には信じられなかった。
「ああ、すまない。もう大丈夫だ。本当だ。それより、やつらは駅(都市国家などが主に用いる補給拠点)を使うだろう。これは数万単位の物資を供給できる。」 グリアのいうとおり、補給拠点の網が都市を中心にめぐらせている。 事実《穀物庫》も《蘇》でなく、都市連合の支援により駅から続々と兵力を固めつつあった。 誰かがいった。
「だが、今から黒馬の民の内、戦ができぬ連中は行くあてがない。」
また、他の誰かがいう、
「もう皆で篭城しかあるまいか。」
多くの戦闘力を持たぬ民の末路など悲惨であることは、皆知れている。むやみに護衛の戦力はつかえない。そして行くあてもない。
グリアはもはやこの場に意識をとどめていなかった。
(なぜ自分は今、この場の皆を、その命を預からねば……。もし生まれた位が違えば、盗賊か商人になったろう。)
否、グリアの苦悩が尚強まる。
(俺自身がこの場の大将である男だ!)
いまだ一座は喧々諤々と地図を囲んだ。
「お前らに黙っていたが、バザールとは少し前から取引をしていた。」
グリアがそう言うと、地図を凝視していたその場の注目を浴びた。
「……なぜ今更その話を」
歯噛みしたエイフラムに、隣の第二隊長が同調の頷きをする。
「すまない。」
「ところで、取引ってなんですか?」
パプキンが人垣の間から顔を出す。
「ああ、一つは、数人の有力者な商人と、契約をした。これの内容は、すまないが、言えない。そして、もう一つは、火槍を数百程買い入れた。」
「火槍ですか。」
珍妙な面持ちのパプキンが顎を掻いた。 ――ここで、火槍について述べる。 まず、簡単に言えば、鉄砲である。しかし、この異世界ではニュアンスが少し違う。鉄砲とは、大体が対人兵器であるのに対し、火槍は、体格の大きなモンスターを想定しており、口径も威力も桁違いである。
構造は、筒状の形をした鉄製を先頭に、約1・5メートルから2メートル程の柄となる棒からなる、兵器である。
使用方法は、火薬を鉄製の筒の底部分に入れる。そして鉄製の筒と棒の接着間近くに蓋があり、ここに縄を入れておく。
大雑把であるが、弾になるのは、専用の弾もあるが、実際の戦闘においては、瓦礫や石でも詰め込み、飛ばす。
飛距離は火薬量にもよるが、50メートルから60メートルになる。
今回のグリアが仕入れた火槍は対人用のモノであるため、約11インチ(30センチ)と19インチ(50センチ)である。
だが、大陸では広く知られておらず、主に害獣駆除などが主な使われ方であり、対人用も農民が泥棒などを脅す威嚇目的での使用とされていた。
グリアの思惑に軍議を囲んだ皆が、このような玩具を……と訝しがるのも無理はない。
その場の気色を知ってか知らずか、グリアは「まあそう難しい顔するな」という。 「……ですが、火槍を大量に仕入れてまさか戦に使うおつもりで?」
グリアは頷く。 エイフラムはしばらくなにも言えなかった。
「連中はおそらくワシらが盗賊と同盟したことはわかっている。いくつもスパイを放っている。」
と、第一部隊長が口を曲げる。
グリアは黙然と机上の地図を睨む。各隊長が耳打ちなどをし合う。
「……おそらく連中は《蘇》の支援をうけるハズです。」
エイフラムが紙の上の道を指でなぞった。
「フム」
「……兄上、いかがしました?」
しきりに、グリアは腹部を撫でる。
「いや、大丈夫だ。」
常に溌剌としていた兄が、今や蒼白とした顔が、この軍儀に集まる皆には信じられなかった。
「ああ、すまない。もう大丈夫だ。本当だ。それより、やつらは駅(都市国家などが主に用いる補給拠点)を使うだろう。これは数万単位の物資を供給できる。」 グリアのいうとおり、補給拠点の網が都市を中心にめぐらせている。 事実《穀物庫》も《蘇》でなく、都市連合の支援により駅から続々と兵力を固めつつあった。 誰かがいった。
「だが、今から黒馬の民の内、戦ができぬ連中は行くあてがない。」
また、他の誰かがいう、
「もう皆で篭城しかあるまいか。」
多くの戦闘力を持たぬ民の末路など悲惨であることは、皆知れている。むやみに護衛の戦力はつかえない。そして行くあてもない。
グリアはもはやこの場に意識をとどめていなかった。
(なぜ自分は今、この場の皆を、その命を預からねば……。もし生まれた位が違えば、盗賊か商人になったろう。)
否、グリアの苦悩が尚強まる。
(俺自身がこの場の大将である男だ!)
いまだ一座は喧々諤々と地図を囲んだ。
「お前らに黙っていたが、バザールとは少し前から取引をしていた。」
グリアがそう言うと、地図を凝視していたその場の注目を浴びた。
「……なぜ今更その話を」
歯噛みしたエイフラムに、隣の第二隊長が同調の頷きをする。
「すまない。」
「ところで、取引ってなんですか?」
パプキンが人垣の間から顔を出す。
「ああ、一つは、数人の有力者な商人と、契約をした。これの内容は、すまないが、言えない。そして、もう一つは、火槍を数百程買い入れた。」
「火槍ですか。」
珍妙な面持ちのパプキンが顎を掻いた。 ――ここで、火槍について述べる。 まず、簡単に言えば、鉄砲である。しかし、この異世界ではニュアンスが少し違う。鉄砲とは、大体が対人兵器であるのに対し、火槍は、体格の大きなモンスターを想定しており、口径も威力も桁違いである。
構造は、筒状の形をした鉄製を先頭に、約1・5メートルから2メートル程の柄となる棒からなる、兵器である。
使用方法は、火薬を鉄製の筒の底部分に入れる。そして鉄製の筒と棒の接着間近くに蓋があり、ここに縄を入れておく。
大雑把であるが、弾になるのは、専用の弾もあるが、実際の戦闘においては、瓦礫や石でも詰め込み、飛ばす。
飛距離は火薬量にもよるが、50メートルから60メートルになる。
今回のグリアが仕入れた火槍は対人用のモノであるため、約11インチ(30センチ)と19インチ(50センチ)である。
だが、大陸では広く知られておらず、主に害獣駆除などが主な使われ方であり、対人用も農民が泥棒などを脅す威嚇目的での使用とされていた。
グリアの思惑に軍議を囲んだ皆が、このような玩具を……と訝しがるのも無理はない。
その場の気色を知ってか知らずか、グリアは「まあそう難しい顔するな」という。 「……ですが、火槍を大量に仕入れてまさか戦に使うおつもりで?」
グリアは頷く。 エイフラムはしばらくなにも言えなかった。
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