異世界にいったったwwwww

あれ

28

黒馬の砦には、耕作できる土地が少ないと書いた。しかし、全くないわけではない。その証拠に、芋類や大豆類、そして小麦や牛に馬、これらは砦の内にも施設がある。




 だが、大概は非戦闘員である黒馬の民が、砦の外部に位置した田畑までゆき、仕事をする。毎日、砦から約三〇〇〇人が三マリほどの道のりを往復している。 武器を持たぬ黒馬の民は、砦に五つの区画を設けて、そこに別々で暮らしている。


 一つ目が戦闘員の宿舎。もう一つが元々黒馬の民の子孫であった人々。ここから、元奴隷に、奴だった連中や離反農民、そして犯罪者、最後に、病人を隔離する区画である。 
この砦に収容されている人口は、実際にはもっと多い。実態は五〇〇〇人はいるだろうと推測される。その理由は、病人の数である。
 もともと劣悪な環境に生きた奴隷や農奴を解放して黒馬の砦で住まわせても、大体が病気に罹り、死ぬ。 
パプキンが、真希にそう教えた。 
伏し目がちになった彼女を励まそうと、ハゲの頭を撫でても良い、と言っても「うん」と小声で頷くばかりである。 
(おかしな人たちだ。この砦なんて極楽みたいなもんなのに。)
 実際、パプキンの言うとおりである。
 黒馬の砦は税金のシステムが曖昧である。どちらかといえば、社会主義的な体制なのである。民全員が貧しく、空腹であること。 
あの、と真希が彼のハゲ頭を掴む。
 「むグググ! っおお、痛い。なんですか?」 
「私、あの第三区画に行きたいです。」 
「フム、あそこはただの非戦闘員の居住区ですぜ。てっきり、第五区画に行かせろとか言うと思ってました。」
 彼女は過たず、 
「確かに、初めはそう言いそうになりましたが、どうせはいれないんでしょ? だったら、訳のわからない施設の説明じゃなくて、もっとここの人たちと触れ合いたいな……? と思って。」
 パプキンは微笑した。 
「ええ、いいですよ。別に制限はないですから。あ、でも今は砦の外で畑仕事ですね、連中は。行きますか?」 
「是非!」 
モワモワと太陽に暖まる地上に蒸気が立ちのぼる。


 昼の頃だった。

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