異世界にいったったwwwww
26
かろうじて夜の頃、エイフラム、壮一、モグラおよび農奴の一行は砦にたどり着いた。 砦付近の田畑を抜けた。
岩肌に隠れた出入り口の隙間に一行が通る。
しばらくしたところで、どこからか人の「ぎゃあああ」という声が密生した木々の間から響いてきた。
(この方角は、まさか滝の水源地からか!)
エイフラムは歯噛みしつつ、もし敵が入り込んで戦闘になっているかと考えをめぐらせた。
しかし、まだモグラやその農奴、さらに壮一に滝の存在を露見するのはまずい。 「壮一さん、モグラ殿、あなた方は一端、この先をまっすぐ進んで砦にいてください。私は様子をみて、もし敵勢であるなら、急ぎ知らせます。では」
言葉も途中に馬頭の方向回して駆ける。 残された二人と農奴はやむなく、その指示にしたがった。
サウナから上がり、滝壺で体を洗っていた真希は睡魔に襲われていた。 滝の水が落ちる音、三日月は爪痕のように銀色に薄い夜空に滲んでる。
分厚い木々の枝がすこしの風で騒ぐ。外は寒いはずだが、今は体の芯から熱い。 ウトウトと眠りかけていた。
――瞬間である。
脹脛に激痛がはしる。足がつったのだ。まるで血管が凝縮したみたいだ
「ぎゃあああああ」
と、年甲斐もなく叫ぶ。
すると、まだ小屋にいたおかみが「どうしたんだい?」と慌てた様子で真希の状態を伺いにでてきた。
あっ……すいません……イタタタタ。足、がつっ……りまし……た。」
途切れとぎれでなんとか伝える。 おかみが近寄り、真希を滝壺から引き上げると、まず息をすることを教え、足の力をなるべく抜くようにいう。
しばらくすると、痛みが嘘のように消え始めた。
「あっ、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
「まったく、驚かせないでよ。急に冷水に飛び込むと危ないだろう。」
「面目ないです。」
真希は俯き反省した。
と、遠くの激しく叩く地響きがした。おかみと真希は顔を見合わせる。 「えっ、まさか盗賊とかですか?」
「まさか、なかなかこの場所は見つけられないよ。滝の音がしていても、反響音がひどくて、特定できやしないのさ。それに、砦からも滝は孤立しているから……。」
と語るおかみも、言葉の端々に怯えがみてとれた。
(もし、敵なら、着替えの方に、スタンガンがあるけど……今の状態はムリかな) この異世界に来て何度目の諦めをすればいいのだろう。申し訳ないが、もう寿命がすごいはやさで消えてる気がする。
だが、激音は途中で途絶えた。
しかし、叢をかき分けるのが暗がりでもわかった。
(くっ、どうせ殺されるなら!)
真希はおかみの腕を外すと、数歩先の着替えのバックに忍ばせたスタンガンを取り出す。
スイッチをONにすると、
「で、でってこい、へっ、変質者、アホ、バカ!」
勇気で奮い立ち、敵だと思われるヤツと対峙する。
足元が震えて仕方がない。肘も揺れる、メガネもなく、焦点が定まらない。 やがて、気配が変わった。
草陰から漂わせていた殺気が慌てた色になる。 訝しんだ真希は、
「出てこい! 変態! ぶっ殺してやる!」
と、言葉を吐く。
「……? もしかして、真希か?」
おかみと真希は再び顔を見合わせる。
それは、聞き覚えのある独特の声だった。
眠気を常に帯びて重く湿った、鉛を詰めたような声。間違いない。
「え、エイフラム? さん?」
叢をかきわけて鋭い眼光が現れた。
真希は絶句した。
「え? なんでこんなところにいるの? ノゾキ? は? 最低ですね。ホントに? あれ? でも今はいないんじゃ? あれ?」
「待て、自分はただ悲鳴をきいてここに駆けつけただけだ!」
エイフラムは説明しながら、馬をおりて、二人に近寄る。
おかみは冷静に状況を捉えたが、どうやら、真希だけは理解できていないらしい。 「……だから、急いで帰還したとき、悲鳴が……おい! しっかりしろ? 大丈夫か?」
ボーッと呆ける真希は、徐々に、理性が戻り、現状を把握した。
その様子をみたエイフラムも、眠たげな目を瞬かせて、静かに頷く。
「よ、よかった。」
ヘナヘナとその場に座り込む真希。
夜空に滲んだ三日月を覆っていた雲が途切れる。
薄い月光から、真希の裸体がエイフラムの位置からも確認させられた。
壮一とモグラは、言われたとおり砦まで到着すると、門の守衛に先ほどの悲鳴やことのあらましを伝える。
岩肌に隠れた出入り口の隙間に一行が通る。
しばらくしたところで、どこからか人の「ぎゃあああ」という声が密生した木々の間から響いてきた。
(この方角は、まさか滝の水源地からか!)
エイフラムは歯噛みしつつ、もし敵が入り込んで戦闘になっているかと考えをめぐらせた。
しかし、まだモグラやその農奴、さらに壮一に滝の存在を露見するのはまずい。 「壮一さん、モグラ殿、あなた方は一端、この先をまっすぐ進んで砦にいてください。私は様子をみて、もし敵勢であるなら、急ぎ知らせます。では」
言葉も途中に馬頭の方向回して駆ける。 残された二人と農奴はやむなく、その指示にしたがった。
サウナから上がり、滝壺で体を洗っていた真希は睡魔に襲われていた。 滝の水が落ちる音、三日月は爪痕のように銀色に薄い夜空に滲んでる。
分厚い木々の枝がすこしの風で騒ぐ。外は寒いはずだが、今は体の芯から熱い。 ウトウトと眠りかけていた。
――瞬間である。
脹脛に激痛がはしる。足がつったのだ。まるで血管が凝縮したみたいだ
「ぎゃあああああ」
と、年甲斐もなく叫ぶ。
すると、まだ小屋にいたおかみが「どうしたんだい?」と慌てた様子で真希の状態を伺いにでてきた。
あっ……すいません……イタタタタ。足、がつっ……りまし……た。」
途切れとぎれでなんとか伝える。 おかみが近寄り、真希を滝壺から引き上げると、まず息をすることを教え、足の力をなるべく抜くようにいう。
しばらくすると、痛みが嘘のように消え始めた。
「あっ、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
「まったく、驚かせないでよ。急に冷水に飛び込むと危ないだろう。」
「面目ないです。」
真希は俯き反省した。
と、遠くの激しく叩く地響きがした。おかみと真希は顔を見合わせる。 「えっ、まさか盗賊とかですか?」
「まさか、なかなかこの場所は見つけられないよ。滝の音がしていても、反響音がひどくて、特定できやしないのさ。それに、砦からも滝は孤立しているから……。」
と語るおかみも、言葉の端々に怯えがみてとれた。
(もし、敵なら、着替えの方に、スタンガンがあるけど……今の状態はムリかな) この異世界に来て何度目の諦めをすればいいのだろう。申し訳ないが、もう寿命がすごいはやさで消えてる気がする。
だが、激音は途中で途絶えた。
しかし、叢をかき分けるのが暗がりでもわかった。
(くっ、どうせ殺されるなら!)
真希はおかみの腕を外すと、数歩先の着替えのバックに忍ばせたスタンガンを取り出す。
スイッチをONにすると、
「で、でってこい、へっ、変質者、アホ、バカ!」
勇気で奮い立ち、敵だと思われるヤツと対峙する。
足元が震えて仕方がない。肘も揺れる、メガネもなく、焦点が定まらない。 やがて、気配が変わった。
草陰から漂わせていた殺気が慌てた色になる。 訝しんだ真希は、
「出てこい! 変態! ぶっ殺してやる!」
と、言葉を吐く。
「……? もしかして、真希か?」
おかみと真希は再び顔を見合わせる。
それは、聞き覚えのある独特の声だった。
眠気を常に帯びて重く湿った、鉛を詰めたような声。間違いない。
「え、エイフラム? さん?」
叢をかきわけて鋭い眼光が現れた。
真希は絶句した。
「え? なんでこんなところにいるの? ノゾキ? は? 最低ですね。ホントに? あれ? でも今はいないんじゃ? あれ?」
「待て、自分はただ悲鳴をきいてここに駆けつけただけだ!」
エイフラムは説明しながら、馬をおりて、二人に近寄る。
おかみは冷静に状況を捉えたが、どうやら、真希だけは理解できていないらしい。 「……だから、急いで帰還したとき、悲鳴が……おい! しっかりしろ? 大丈夫か?」
ボーッと呆ける真希は、徐々に、理性が戻り、現状を把握した。
その様子をみたエイフラムも、眠たげな目を瞬かせて、静かに頷く。
「よ、よかった。」
ヘナヘナとその場に座り込む真希。
夜空に滲んだ三日月を覆っていた雲が途切れる。
薄い月光から、真希の裸体がエイフラムの位置からも確認させられた。
壮一とモグラは、言われたとおり砦まで到着すると、門の守衛に先ほどの悲鳴やことのあらましを伝える。
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