異世界にいったったwwwww
24
「やりました! まさか……森の盗賊と同盟が! まさか。ねえグリアさん、聞いてます? 援軍で一万規模だそうですよ。」
トランシーバーを耳に当てていた真希が興奮した口調でいう。
星の綺麗な夜だった。
グリアは、パチと目をひらき、真希を一瞥すると厳しい眉間で「そうか」といい、また眠る。いや、考え込んでいる風だった。
(何をかんがえてるんだろう?)
真希は、汚れたメガネの埃を布で払う。思いつめたグリアの顔はどこか、哀しみを持っているようだった。
「あっ!」
と、真希は声を上げる。
「どうした!」
グリアが鋭い眼光で彼女を見る。
恥ずかしそうに、モジモジとして口元を引き締めている真希にグリアは「なにがあった! 新しい情報か? なんだ!」
強い口調で咆哮するようだった。
耳元を真っ赤に染めた真希は、やがて無言の威圧に耐えかねるように、
「あの、体を洗いたいので、どこかないですか?」
と語尾が弱くなりながらも訴えた。
不意を突かれたグリアは、鼻の穴をひらき、豪快に笑う。
「ハハハハ! そうか! そうだな。アハハハハ。なるほど、すまない。お客人だったのに、そうだな。その考えにいたらぬのはこちらの落ち度だ。許して欲しい。」
何度の笑いの波を超えると、涙をぬぐい、
「さて困った。この黒馬の砦はあなたも知っていると思うが、水がとても貴重なんだ。フム、どうしたものか。」
また真剣に悩み始める。 あの、別に大丈夫ですから、と真希が幾度か声をかける。
しかし、グリアは考え始めると全く耳が聞こえなくなるのか、反応もない。
どれだけの時間がながれたか。とかく、ようやくグリアが真希に意識を向けると、
「おかみに少しきいてみよう。そうだ!」
子供の明るさを連想させる面だった。
「え、ええ……」
その情熱に、少し真希は後ずさりした。
「なんだいこんな夜遅く! え? 体を洗う?」
おかみの家の扉を叩いたグリアは、その大柄な背中を丸めて、必死でおかみに頼み込んでいた。
(――プッ)
その後ろ姿に、思わず真希は吹き出した。
先ほどまでこの砦のトップとしてピリピリとした雰囲気を出したグリアが今は、おかみの前で、ペコペコと頭を下げている。
やがておかみが「わかった」と、いい真希を手招きすると、自らについてくるように促した。
数刻のあと、真希はおかみとともに、黒馬の砦の稍離れた場所に連れてきた。
途中、砦の付近の森の狼だとか、梟だとかの鳴き声、さらに小動物の葉叢をかき分ける音。心細く思いながら歩いてると、おかみが「しゃんとしなさい。いいかい、そんなんじゃ、舐められるよ!」と叱咤する。
「でも、こんな夜、危ないんじゃないですか?」
おかみは、眠たげな声で、
「なに、心配ないさ。どうせすぐそこに黒馬の砦がある。それにグリアも私たちがいまから向かう場所を知っている。だから、しばらくこの辺を警備しているだろうよ。」
木の枝をかき分けた。
話をしている間に、滝についた。
「あの、ここは?」 真希はおかみの腕を引く。
「ここは、非常用の水源さ。いつもはもっと遠い小川から水を汲んでいるんだ。それでもなんとか生活できるんだけど、本当に必要なとき、ここから持ってきてるんだ。」
「おかみはなんで知っているんですか?」
軽い空気で、
「そりゃ、私はグリアとえエイフラムの叔母だからさ。じゃなきゃ、知らないよ。 あの子達は、あの砦の長だからね。」
何気なく答える。
「でも、どうして非常用に?」
「そりゃあ、こんな戦争がおきるときの為に、秘密にしてるのさ。もしみんながここを知ってたらいつでもここにくる。そしたら敵さんにもバレておしまいさ。」
「そうすると、侵攻してくる敵にバレるんじゃ?」
まさか、とおかみが否定した。 曰く、この地は、戦争の折に地形を利用した要塞になること、さらに今は見えないが、実は砦と同等の壁を有していること。
トランシーバーを耳に当てていた真希が興奮した口調でいう。
星の綺麗な夜だった。
グリアは、パチと目をひらき、真希を一瞥すると厳しい眉間で「そうか」といい、また眠る。いや、考え込んでいる風だった。
(何をかんがえてるんだろう?)
真希は、汚れたメガネの埃を布で払う。思いつめたグリアの顔はどこか、哀しみを持っているようだった。
「あっ!」
と、真希は声を上げる。
「どうした!」
グリアが鋭い眼光で彼女を見る。
恥ずかしそうに、モジモジとして口元を引き締めている真希にグリアは「なにがあった! 新しい情報か? なんだ!」
強い口調で咆哮するようだった。
耳元を真っ赤に染めた真希は、やがて無言の威圧に耐えかねるように、
「あの、体を洗いたいので、どこかないですか?」
と語尾が弱くなりながらも訴えた。
不意を突かれたグリアは、鼻の穴をひらき、豪快に笑う。
「ハハハハ! そうか! そうだな。アハハハハ。なるほど、すまない。お客人だったのに、そうだな。その考えにいたらぬのはこちらの落ち度だ。許して欲しい。」
何度の笑いの波を超えると、涙をぬぐい、
「さて困った。この黒馬の砦はあなたも知っていると思うが、水がとても貴重なんだ。フム、どうしたものか。」
また真剣に悩み始める。 あの、別に大丈夫ですから、と真希が幾度か声をかける。
しかし、グリアは考え始めると全く耳が聞こえなくなるのか、反応もない。
どれだけの時間がながれたか。とかく、ようやくグリアが真希に意識を向けると、
「おかみに少しきいてみよう。そうだ!」
子供の明るさを連想させる面だった。
「え、ええ……」
その情熱に、少し真希は後ずさりした。
「なんだいこんな夜遅く! え? 体を洗う?」
おかみの家の扉を叩いたグリアは、その大柄な背中を丸めて、必死でおかみに頼み込んでいた。
(――プッ)
その後ろ姿に、思わず真希は吹き出した。
先ほどまでこの砦のトップとしてピリピリとした雰囲気を出したグリアが今は、おかみの前で、ペコペコと頭を下げている。
やがておかみが「わかった」と、いい真希を手招きすると、自らについてくるように促した。
数刻のあと、真希はおかみとともに、黒馬の砦の稍離れた場所に連れてきた。
途中、砦の付近の森の狼だとか、梟だとかの鳴き声、さらに小動物の葉叢をかき分ける音。心細く思いながら歩いてると、おかみが「しゃんとしなさい。いいかい、そんなんじゃ、舐められるよ!」と叱咤する。
「でも、こんな夜、危ないんじゃないですか?」
おかみは、眠たげな声で、
「なに、心配ないさ。どうせすぐそこに黒馬の砦がある。それにグリアも私たちがいまから向かう場所を知っている。だから、しばらくこの辺を警備しているだろうよ。」
木の枝をかき分けた。
話をしている間に、滝についた。
「あの、ここは?」 真希はおかみの腕を引く。
「ここは、非常用の水源さ。いつもはもっと遠い小川から水を汲んでいるんだ。それでもなんとか生活できるんだけど、本当に必要なとき、ここから持ってきてるんだ。」
「おかみはなんで知っているんですか?」
軽い空気で、
「そりゃ、私はグリアとえエイフラムの叔母だからさ。じゃなきゃ、知らないよ。 あの子達は、あの砦の長だからね。」
何気なく答える。
「でも、どうして非常用に?」
「そりゃあ、こんな戦争がおきるときの為に、秘密にしてるのさ。もしみんながここを知ってたらいつでもここにくる。そしたら敵さんにもバレておしまいさ。」
「そうすると、侵攻してくる敵にバレるんじゃ?」
まさか、とおかみが否定した。 曰く、この地は、戦争の折に地形を利用した要塞になること、さらに今は見えないが、実は砦と同等の壁を有していること。
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