犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)
犬女ちゃんと職場体験(1)
「そんなようなものね」
純心の問いに日向先生は
犬女ちゃんの頭を撫でながら応える。
「犬女ちゃんが、
介助犬と同等以上の能力が
あることを証明するためにも
必要なのよ」
「そのために
犬女ちゃんの職場体験として
理事長がオーナーになっている
老人ホームに行ってもらうことになるわ」
学生は学校行事として
職場体験に行かされたり
することはあるが、
犬女の職場体験などは
聞いたことがない。
そんな前例が
あったかすらもあやしい。
前例がないことを
ことごとくやってのけようと
するのが犬女ちゃんではあるが。
そういう意味では犬女ちゃんは
ロックな生き方をしており、
アナーキーだとも言える。
「で、
付添人というか、監督者というか、
一緒に行く人が必要なんだけど
あなたでいいわよね?」
「俺、ここ最近しばらく
学校にいなかったんですが、
また一週間ですか?」
いつもなら純心、
心の中で突っ込むだけであるが
日向先生には比較的
素直に何でも言えた。
「それなら大丈夫よ
あなたも職場体験扱いになるから、
出席日数とか単位なら心配いらないわ」
『随分適当な学校だな、おい』
結局、心の中で突っ込むことになる。
「でも職場体験だなんて
犬女ちゃんもそのうち
自立してしまうかもしれないわねぇ」
『自立?』
日向先生は冗談で言ったのだろうが、
純心にはその言葉が解せなかった。
-
犬女ちゃんの自立。
当然純心はそんなことを
考えたこともない。
よくテレビ等で
救助犬や警察犬など
職務についている犬の活躍を
見ることがあるが、
ああいう犬は基本的に
誰が飼っていることに
なっているのだろうか。
純心は犬女ちゃんを
友であり、パートナーであり、
バディだと思っているので、
自分を犬女ちゃんの
飼い主だとかご主人様だとか、
そういう言い方をすることは
極力しなかった。
だがときとして
そう名乗らざるを得ない場合がある。
犬女ちゃんの保護責任者は
誰かと問われれば、
それは間違いなく自分にだろう。
純心自身もまだ保護者が必要な
年齢ではあるのだが。
犬女ちゃんが職業犬のような
職業犬女になってしまったら
今までの自分だけの犬女ちゃんから
公的存在の犬女ちゃんに
なってしまうのではないか、
どこか自分の手が届かない
遠くへ行ってしまうのではないか、
少しそんな不安な気持ちにもなる。
そもそも職業犬女という呼び方は
いかがなものであろうか。
それではまるで職業が犬女みたいであり、
一気に闇的な意味であやしくなってしまう。
それはさておき、
職業というのは就いている以上は
それなりに責任がつきまとう
ものであるから、いつも一緒に純心と
のほほんと暮らしているわけにも
いかなくなるかもしれない。
それは純心が就職したときも
同じことが言えるのだが。
ただ子供はいつか
親元を離れ自立して行く。
それが正しい姿であり、
本来そうでなくてはならない。
そこが人間の子供と
犬女ちゃんの大きな違いでもある。
犬女ちゃんにとって
純心といつも一緒にいることが
幸せなことであるのに、
もし自立したとして
それは犬女ちゃんにとって
幸せなことなのであろうか。
何が犬女ちゃんにとって
一番いい形なのかはわかない。
なにせ犬女の職場体験ですら
前例がないようなことなのだから。
-
理事長つまり
生徒会長のおじい様、
そに財閥がオーナーとなり
経営する有料老人ホーム。
ここの入居者はまだまだ
元気そうなお年寄りばかりであり、
他人の支援や介護が基本必要としない
それこそまだ身体的な意味で
自立出来る高齢者がほとんどだった。
要支援や要介護の高齢者が
入居している介護施設では、
いろいろと大変で
犬女ちゃんの職場体験を
受け入れるどころではないのだろう。
『職場体験とは言え、
迷惑をかけるわけにはいかない、
少しでも役に立って帰らなくては』
純心も犬女ちゃんもいつも以上に
気合を入れて臨む所存だ。
-
「随分と可愛らしい犬女さんね」
犬女ちゃんは老人ホームで
すぐに馴染んで、
すっかり人気者になった。
もともと見た目は可愛らしい美少女で
他人に嫌われるような要素はない。
その上、おばあちゃん、
おじいちゃん達からすれば
孫娘のような年齢で
なおのこと可愛く感じたのであろう。
「なんだい、あの犬女は
あんなケモノここに入れて
汚らわしいじゃあないか」
中にはそういう心ないことを言う
お年寄りもいないではなかった。
沖縄のエロ爺も言っていたが
それこそ何十年も前は
犬女には物凄い偏見があり
汚らわしい存在、
不浄の者とする考えもあったようだ。
そうした昔の考えを変えられない
お年寄りもるのだろう。
しかし大概の老人は
犬女ちゃんを好意的に
歓迎してくれていた。
今や高齢者ですら携帯・スマホを
当たり前のように使う時代である
古い考えに捉われがちな年寄りでも
それなりに時代に合わせているのだ。
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