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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと京都・大阪(8)/浪速新世界

「また随分と
可愛らしい犬女ちゃんやね」


秘密結社『大学関係者』に属する
大阪のおばちゃんは
犬女ちゃんを見て感激していた。
これでも関西方面では有名な
大学教授らしいのだが、
純心からしてみれば
どう見ても誰もがイメージする
大阪のおばちゃん
そのままみたいな人だ。




純心達一行、二日目の午前中は
やはり京都の訪問先ノルマを回り、
午後は嵯峨や嵐山あたりを観光して
その日の夜には大阪入りしていた。
なかなかスケジュールも立て込んでいる。




「それになんでお連れさん
こんな美人ばっかなん?」


「あんたも隅におけんねえ、
この色男」


おばちゃんは笑いながら
純心の背中をバンバンと叩く。
この慣れ慣れしい距離感に
戸惑う純心だが、決してそれが
不快というわけでもなく、
なぜか妙に親近感が湧いてしまう。


東京の関係者に
何人も会ってきた純心だが
東京の人はやはりどこか
クールな感じがする。
面白いことも言うのだが、
どこかスマート過ぎて
皮肉なのではないかと
言葉の意味を
裏読みしてしまったり
してしまうのだ。




「せっかく来てくれたんやし、
おばちゃんがお昼ご馳走したるわ」


大阪のおばちゃんは
そう言うと純心達一行を
新世界に案内してくれる。
巨大なフグのオブジェが
宙に浮かんでいて、
通天閣があって、
やたらネオンがギラギラしている
また違った意味で
異空間みたいなところだ、
浪速の新世界は。


なぜ新世界なのかといえば、
「あんた達何が食べたい?」
とおばちゃんに聞かれた際に
串カツを食べたいと
純心が熱望したからだ。


大阪名物であるにも関わらず
タコ焼きやお好み焼きほど
関東での知名度や人気が
それほど高くはない串カツ。
純心は本場の大阪で
是非一度食べてみたいと
ずっと思っていた。


もちろん東京にも
串カツ屋はあるのだが
どうにも洒落た感じがして
テレビなどでたまに見る
大阪の下町っぽい串カツ屋とは
違う気がする。


おばちゃんがよく行く
馴染みの串カツ屋が
新世界にあると言う。


-


新世界には串カツの店が
驚くほどたくさんあった。
本当にどこをどう歩いても
串カツの店だらけ。


大勢の人が来ていて、
ここも今ではすっかり観光地に
なってしまったとおばちゃんは言う。


ここでもやはり
訪日外国人観光客が多数おり、
犬女ちゃんのことを見つけると
『カオルサン』と呼び掛けて来る。


『もうあれか、この国は
空港の入管で外国人全員に
あのPVでも見せてんのか?』


純心がそう思うほどに
あのPVを見ている
訪日外国人は多いみたいだ。
横でドヤ顔をしている生徒会長に
若干イラっとしなくもない。




「まいど~」


おばちゃんはそう言いながら
店員に何の断りもなく
犬女ちゃんも一緒に
串カツ屋の店内に入れた。


おばちゃんがよく来る
馴染みの店らしいので
特に何も言われなかったが、
その光景を見て純心は
やはり関西に住む
親戚の叔母さんを思い出す。


こういうとき普通であれば
「これは大丈夫ですか」と聞いて
相手の了承を得てからやるものだが、
こういうおばちゃの場合、
まずはやってみる。


やってみてからダメだと言われたら
「ダメならなんで
もっとはよ言ってくれんの?
はよ言ってもらわんとかなんわ~」
と切り返す。


さも相手にお前の常識が
世間の常識だと思うよなボケェ
と言わんばかりである。
こんなのは完全に
言い掛かりだと思うのだが
それでもどこか許されてしまう。
いや本当は許されて
いないのかもしれないが。


-


「美味しいですわ、
こういう串カツのお店は
はじめてですわ」


「私もはじめてですけど、
大変美味しくいただけましてよ」


お嬢様と生徒会長の二人が
口を揃えて絶賛している。
ただこのセレブ二人の場合、
そもそも普段B級グルメを
食べたことがあるか
どうかすらあやしいだろう。
この二人の家の食卓に
粉もん料理が並ぶとは到底思えない。


しかし串カツの評判は
全員いなかなか上々のようだ。
いかにも大阪的な串カツを
食べられて純心も大満足。


犬女ちゃんは
おばさんにあーんしてもらって
食べさせてもらっている。


「ほんまにこの子可愛いなぁ~」


やはりこのおばさんも
何だかんだ言ってもいい人なのだ、
いや純心規準では
犬女ちゃんに優しい人は
全員いい人ということになる。
動物好きな人に悪い人はいないという
あれと一緒なのだろう。


「大阪は食べ物が
本当に美味しいですよね、
出汁がきいてて」


大阪に親戚がいると
言っていた図書委員は
何度も来たことがあるらしい。


「そりゃそうやがな、
ここは天下の台所やで」


地元に強い愛情を持っているのも
いかにも大阪のおばちゃんらしい。


-


おばちゃんと新世界で
別れた純心一行は
食後のお散歩に
ちょうどいいので
道頓堀までの道のりを歩いて行く。


道頓堀界隈には
東京とはまた違った
賑やかや華やかさがある。


特に気になるのは
街の看板が立体的なものが多く
とにかく3Dだということだ。


カニ、タコ、フグ、龍、餃子などなど
なんやらよくわからないものまでが
店から突き出して来ている。
とにかく主張したいんで、
店から飛び出して来ましたけど
どうですか?
と言われているような気がする。


ここまでストレートに
訴えかけて来るというのは
文化の違いということで
いいのだろうか。


ただ図書委員の言ったとおり
もう食べ物だけは抜群に美味しい。


運もよかったのかもしれないが、
タコ焼き、お好み焼きなどを
食べ歩きしてまったく
ハズレの店がなかった。


『さすがは天下の台所』











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