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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと京都・大阪(1)

「そう言えばさ、
紅葉とか見に行きたいな」


純心の何気ない一言が
事の発端だった。


昼休み屋上で
犬女ちゃん、
夏希、お嬢様と一緒に
お弁当を食べていると、
秋風が冷たく感じられて、
季節の移り変わりを思う。


もうそろそろ秋も終わり、
次の季節へと
遷移しようしているのだ。


となればやはり
紅葉を見たいなどと
情緒あることを考えてしまう。


「いいですわね、紅葉」


「今がちょうどいい時期かねー」


お嬢様も夏希も同意する。


「この辺だと、
キャンプ場の近辺に
いい場所がありますね」


図書委員は早速
スマホで検索して
くれているようだ。




「ホホホホホ!」


聞き慣れた高笑いに
純心は戦々恐々とする。
最近はすっかり
この笑い声を聞くと
ろくなことがない。


「紅葉?」


「大いによろしくてよ」


純心の後ろには
妙にテンションの高い
生徒会長が立っており、
もったいつけた物言いをする。


「それではみなさんで
京都に紅葉を見に行きましてよ!」


「は?」


『ま、またか!』
『二学期はこのパターン
ばかりじゃないか?』


生徒会長はどこぞの
鉄道会社の広告で昔あった
『そうだ、京都へ行こう』
と言うのと同じぐらい
軽いノリで気安く言ってくれる。


高校生の純心にとっては
新幹線に乗るというのは
そこそこに大ごとなのだが
近所のスーパーに行こうぜぐらいの
軽いノリなのが信じられない。


やはりお金持ちだからこそ
成せるわざなのであろうか。
この人達なら
自家用飛行機で行くとか
言い出しかねないので質が悪い。




出張の多い
ビジネスマンなどであれば
突然急に
遠距離旅行に行くのが
決まるようなことも
よくある話なのだが。


今、純心は学校の
営業回りをやらされている
ようなものであり、
出張というのも
あながち間違いではない。


当然生徒会長にしても
東京の大学関係者への
訪問が済んで、
次は関西の大学という
思惑があったのだが、
それを上手いこと
『紅葉を見に京都に行こう』と
かこつけたわけだ。




「みなさんの
交通費や宿泊代といった旅費は
すべて経費で落ちましてよ」


『随分と太っ腹だな、おい』


京都まで
六人分の旅費と言えば
そなりに結構な額となる。
それを学校が全額負担とか
にわかには信じ難い。
このプロジェクトに
それほどまでに
力を入れているのだろうか。


「いいねー、
行きたいねー、京都」


旅費の心配がないとなると
夏希が反対する理由はなかった。


「やはりこの季節の
日本的情緒や風情を
京都で堪能したいですわ」


お嬢様はおそらく
自腹でも行くだろう。


「犬男くんの京都編…
いいかも…」


図書委員は
みなに聞こえないように
ボソッと呟いたが
純心はそれを聞き逃さなかった。


『また俺のプライベートが
全国に晒されてしまうのか?』


『BL風に、俺だけ実名で!』


-


「いや待て、
なんでこんな大人数で?
これじゃあまるで
修学旅行じゃないか」


関西の大学訪問が
目的だとしても
こんなに大勢で
行く必要はない。
純心には疑問が残る。


「犬女さんとの
共同生活について、
出来るだけ多くの生徒から
話を聞きたいとのことでしてよ」


「必要な経費は先方で
持っていただけるそうでしてよ」


『今回のスポンサーは
むしろそっちだったか!』


『先方』という
曖昧な表現が気にかかるが、
そもそも『大学関係者』というのも
そうとうアバウトな表現であり、
むしろどこかの秘密結社か
何かなのではないかと
純心は思いはじめている。




「それに私、修学旅行は
毎回ずっと海外でしたから、
京都に修学旅行って
行ったことなくってよ!」


「ずっと
行ってみたいと
思っておりましてよ!」


『それが本当の理由だろ!』


純心的には最後の発言が
一番納得いく回答だった。


純心もすっかり忘れていたが、
今さらながらよく考えると
生徒会長は一学年上で
来年の春には卒業してまう。


大学受験は、早々に推薦が
決まったようだから
こんな余裕で
自分達と一緒になって
遊び回っているのだろうが、
後数か月もすれば
この学校から卒業してしまうのだ。


三年生のこの時期に
未だに生徒会長扱い
されているのは
正直疑問が残るが、
この人は終身名誉生徒会長
みたいなものだから仕方がない。


生徒会長の思い出づくりの
一環だと思えば、
わからなくもない。
意外にかまってちゃんでも
あることだし。


純心的にも別に
悪い話ではなかった。
犬女ちゃんと一緒に
京都で紅葉を見る。
そんな夢のような話がかなう
絶好の機会である。




ただ日程を聞いて驚いた。


「三連休を使って行く
というのはわかるんだが、
なんで日程が四日あるんだ?」


「みなさんには
一日学校を休んで
いただきましてよ」


生徒会長は
涼しい顔をして
平然と言いのけた。


『以前、学生は学業が第一とか
言ってなかったか?この人』


「公休扱いで、出席日数には
カウントされますから大丈夫でしてよ」


『もうやりたい放題だな!』











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