話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと東京(10)/山手線一周ウォーキング

スタートから
約四時間超。
ちょうど品川あたりで
お昼どきだったので
そこで昼食をとることに。


「いっぱい歩きましたから
お腹がすきましたよね」


「ここはたくさん食べて
体力を復活させなくては
いけませんでしてよ」


お嬢様と生徒会長は、
超高級ホテルのレストランに
入って行こうとする。


「汗まみれの
汚いジャージ姿で、
そういうところは
ちょっとまずいんじゃ?」


常識的に考えて
止めようとする純心。


「あら、私は
汗まみれでも美しくてよ」


「そうですわね、
見た目で判断するのは
いけませんわよね」


生徒会長もお嬢様も
相変わらずの
ずれっぷりである。


しかし二人の姿を見ると
ホテルの支配人が飛んで
頭を下げて挨拶に来る。


「これはこれは、
お嬢様方、お揃いで」


この二人にかかれば
汚いジャージ姿でも
顔パスで入れてもらえるらしい。
しかも犬女ちゃんも
そのままで大丈夫だと言う。


「やっぱ、
お金持ちはすごいなー」


夏希は素直に感心する。


『所詮、
この世は金なのか?
金がすべてか?
そうなのか?』


純心は普段の自分の苦労は
一体何だったのかと嘆く。


そして、普段運動不足の
図書委員は気持ち悪くて
それどころではなかった。


-


昼食を挟んで再開して
しばらくすると、
おじさんサラリーマンの街
新橋まで辿り着く。


ここまでだいたい
駅と駅の間の区間が
二十~三十分ぐらいの
ペースである。
東京の電車は総じて
一駅の区間が短いことに
純心は気づく。
やはりそこは
田舎の電車とは
違うところである。


-


有楽町を過ぎ
東京駅まで来ると
ちょうど半分ぐらいと
言ったところだろうか。


時間も出発から
七時間というところで
お昼にがっつり一時間
食事をしてしまったことを
考えるといいペースだった。


図書委員も辛そうではあるが、
頑張ってついて来ている。




神田を越え、
秋葉原を通りかかると
先日会ったばかりの
ケモナーさん達と
偶然再会した。


「おお、犬女ちゃん、
相変わらずのいい萌えっぷりだね」


『この人達、いつも
アキバにいんのかな?
もしかしてアキバに
住んでたりすんのかな?』


偶然過ぎて純心は
そんなことを考える。


-


あまり見るところが少ない
住宅街が続くようなところでは
誰かがしりとりをはじめたりもする。


当然犬女ちゃんは参加出来ないが。
誰かが強引に参加させようとして
『わ』で終わらせても
『わん』で終了になってしまう。
それでも楽しそうに
みんなと一緒に笑顔を浮かべている。


全員がとっくに足が痛かった。
疲れがたまって気分が
ダウンしているときもあれば、
それを通り越して
ハイテンションに
なっているときもある。


それがメンバーそれぞれに
交互にやってくるため、
そういうのを見ているのも
また楽しかった。




その後も
上野や池袋といった
主要ターミナル駅を通り、
先へ先へと進んで行く。


-


純心達が再び
新宿中央公園に
辿り着いたときには、
すっかり暗くなっていた。


それでも
朝八時頃に出発して
夜の八時前にゴールして
いるのだから、所要時間は
十二時間を切っている。


若い盛りの高校生が挑めば
それぐらいで
達成出来る程度ではあるのだ。


あまり体力がない
お嬢様と図書委員が
一緒だったため
これぐらい時間がかかったが
純心だけであればもっと
早かっただろうし、
犬女ちゃんだけであれば、
さらに早かっただろう。
もしかしたらこの半分の時間も
かからないかもしれない。




それでもやはり
何かをやり遂げたという
達成感はある。


足を引っ張り気味で
みなに迷惑をかけた
図書委員は涙ぐんで
感動していたが、
夏希もお嬢様、生徒会長も
爽やかな笑顔を見せていた。


一学期の終わり、
犬女ちゃんを探して
歩き回ったときに比べたら
これぐらいは何でもなかった。
あのときは本当に
メンタル的にキツくて
ずっと泣きそうだったのだから。


その犬女ちゃんは
まだまだ歩けますよと
言わんばかりに
涼しい顔をして
公園内を走り回っている。


-


純心も達成感はあったが、
意外にこんなものか
という感じもした。


やはり犬女ちゃんを探して
何日も歩き回ったことを思えば
全然楽勝だった。


みんなと犬女ちゃんと
楽しく歩き回っている
だけなのだから、
そこまでツライはずがない。




『この十二時間で
歩いて回れる範囲内に
世界有数の大国である
日本の政治・経済の中枢、
その多くが詰まっているのか』


いつになく純心は
真剣なようにも思われた。


『本当にミサイルんなかで
この山手線の環状内が
壊滅したら日本終わるなと』


真剣に日本の首都機能
一極集中問題について
思いを馳せているかの
ようだったが。


『であれば
山手線二十九駅を
制覇した犬女ちゃんは
日本を制覇したということで
いいなんじゃないだろうか』


全然そんなことはなかった。


そもそも何を持って
制覇としているのか
まったくもってよくわからない。


『少なくとも、
東京は制覇した
ということでいいだろう』


山手線内側以外に
住んでいる全東京都民を
敵に回しそうな勢いである。




ただ犬女ちゃんが
東京の主要エリアを
歩いて見て回る体験をした
ということだけは事実であった。


東京を体験したのであれば、
この先日本のどの都市に行っても
それほど困ることはないだろう。
人口的な面からも、人柄的な面でも、
おそらくは東京が一番ハードルが
高ったはずである。


例えれば、ゲームなどで
いきなりラスボスとの戦闘から
はじまったようなものだ。
攻略出来ていたのか
どうかはよくわからないが。


純心流に言うならば、
ここから犬女ちゃんの
本当の意味での
全国制覇がはじまる。


全国制覇ってなに?
という感じではあるが。













「犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く