犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとハロウィン(2)

ハロウィンには、
みんな各人が思い思いの
犬女ちゃん仮装をして集まった。


結局、犬女ちゃんは
夏希が好きな
双子キャラクター
のコスプレを、
夏希に勧められて
一緒にやることになった。


犬女ちゃんと
お揃いの衣装を着て、
耳と尻尾を着けている夏希。


純心が過去の記憶で、
犬女ちゃんと夏希を
間違えていただけあって、
二人はそっくりだった。
双子の犬女として、
充分に通用する程であり、
これはこれで
コンセプトとしては
充分ありだった。


-


お嬢様は、
顔を出すタイプの
着ぐるみパジャマみたいな
犬の衣装を着て来た。


純心は吹き出した。
とってもお嬢様らしくて、
可愛いいのだが。


『それは、
犬女ちゃんなのか?』


どちらかというと、
犬そのもののコスプレなのだが、
人間の顔が出ている以上、
犬女と言えなくもない。
でも犬女ちゃんはそんなに
全身モフモフしていない。




だがその着ぐるみの
モフモフな感じは、
とても気持ちよさそうで、
触らせてもらうと、
やはりその触り心地が
気持ち良過ぎて、
純心は思わず
ぎゅっと抱き着きたくなる。


「お嬢様のお父様が超ノリ気で、
超有名高級ブランドに徹夜で
つくらせた特注品らしいよー」


「生地にこだわったと、
お父様はおっしゃってましたわ」


娘を超溺愛している
あのお父様であれば、
それぐらいのことは
やりそうではある。


このモフモフは
超高級素材ならではの
感触であったか。


しかし、これを徹夜で
無理矢理つくらされた
某有名高級ブランドも
いい迷惑であっただろう。


「いいのが出来たので、
一般にも売り出すと、
先方の社長様も
おっしゃってましたわ」


『超有名高級ブランド○○○○が、
こんなの売り出しちゃダメ!』


メーカーのマーケティングが
大丈夫なのか少し心配になる。


まぁでも
お嬢様とお父様が
ラブラブそうなのは
結構なことだ。
純心はそう思って
少しほっこりした。
お嬢様はいつも
全体的に癒し系で
ほっこりする。


-


生徒会長は
和装犬女ちゃんだった。
おそらくは一番見る機会が
ないであろうその姿は
純心にとっても新鮮だった。


また名札付きスクール水着を
着て来るのはないかと
心配していた純心はホッとする。
生徒会長のスクール水着への執着は、
純心母にも負けないものがある。


しかし
やはりお金持ちだけあって、
高そうな着物である。
そうしたものにまったく
無頓着な純心ですら
高価な物であろうことがわかる。


-


図書委員の仮装は、
男子の詰め入り学生服に
縁なし眼鏡をかけた
美男子風の犬女ちゃんだった。


文化祭の打ち上げ、王様ゲームで、
男前な犬女ちゃんに
キスされたとき、
おそらく図書委委員には
こう見えていたのであろう、
というのがよくわかる。


最近、純心の中では、
図書委員がBL好き女子では
ないかという疑いがなくはない。
犬女ちゃんを男に見立てて、
自分と絡ませるBL風、
新作小説が小説投稿サイトにも
最近アップされていた。


『犬女ちゃんの話』というのが、
どんどん間違った方向に
輪をかけて暴走して行くので、
その図書委員の迷走ぶりに
純心も困惑している今日この頃だ。




また露出を控えた衣装なあたり、
後発参加組として
気をつかっているのもうかがえる。
今回はそこまでして参加するような
価値ある集まりでもないのだが、
と純心は不思議でならない。


-


愛ちゃんは
魔法使い犬女ちゃんだった。
アニメ化された人気ラノベの
キャラクターである
魔法使いの衣装らしい。


魔法使いの
トレードマークである
大きな帽子をかぶり、
手には杖を持っている。


今回のお題は
犬女ちゃんなので、
帽子を取ると申し訳程度に
犬耳がついているが、
どちらかというと
キャラクターの
コスプレしたかったのが
丸わかりである。


『好きな恰好すればいいのに』


帽子をかぶると
犬耳が隠れてしまうあたり、
中学生の限界が見えて、
むしろ微笑ましい。


-


そしてなぜか
集合場所には
小夜子先生も来ていた。


『誰だよ!この人呼んだの!』


どこからか
ハロウィンの件を聞きつけて
やって来たらしい。
家に盗聴器でも仕掛けられて
いるのではないかと
疑うレベルの情報網である。


小夜子先生が一行に加わると、
一気に変態指数が高くなる。
露出の高いボンテージ衣装に
耳と尻尾をつけ、
首輪をしているからだろう。


小夜子先生が一人加わるだけで、
メンバー全員が、
風俗店の呼び込みの
お姉さんに見えて来るという
謎の効果まで発揮してくれている。


「やはり犬奴隷としては、
これぐらいしないとな」


もはやこのメンバーの前では
犬奴隷を公言し
はじめているのもコワイ。


というかこの衣装では、
犬奴隷というよりは
女王様だろうと純心は思う。


それでも何かあった際は、
大人だし、先生だし、
責任感で何とかしてくれるだろう。
せめてそう思って
割り切ることにする純心だった。













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