犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)
犬女ちゃんとハロウィン(1)
「もうすぐ
ハロウィンじゃないですか」
最近すっかり
影の薄かった愛ちゃんが
ここぞとばかりに言い出した。
高校生組は文化祭で
盛り上がっていたが、
中二の愛ちゃんは部活があり
文化祭に来ることすら出来ず、
文化祭イベントを
消化することが出来なくて、
地団太を踏んで悔しがっていた。
こここそが自分をアピールする
チャンスであるとばかりに
気合充分でこの話を振ったのだ。
「あら、
ハロウィンいいですわね、
海外にいた小さい頃は、
毎年楽しみにしておりましたわ」
お嬢様は例によって
なんでも楽しそうだと言い出す。
「いいねーハロウィン、
日本でも東京の渋谷とか
毎年盛り上がってるよねー」
『この流れは、
断ち切らなくちゃ
ダメな奴の気がする』
夏希が好反応を示した時点で、
純心はすでにこの先の展開を
なんとなく予感していた。
だいたいいつもこのパターンで
ドタバタに発展していくのだ。
「さすがに、
東京の渋谷とか無理だろ、
そんな人混みに犬女ちゃんを
連れて行けないし」
内心いつかは犬女ちゃんを
東京都心に連れて行ってみたい
と純心は思っている。
だがまぁ、今すぐ
どうこうとも思っていない。
渋谷のハロウィンなど毎年
エライことになっていると
言うではないか、
そんなところに行くのは
そもそも自分ですら
怖じ気づいてしまう。
「この近くの地方都市でも、
街規模で毎年ハロウィン
イベントやってますよ」
純心の思惑を
図書委員が台無しにした。
まだご新規さんの
図書委員の言動までは
純心も読むことが出来なかった。
「あら、
あそこのイベントなら
我が校も協賛金を
出しておりましてよ。
一度見に行くと言うのも
生徒会の務めでしてよ」
『絶対こいつハロウィン
行ってみたいだけだろ』
生徒会長まで話が行ってしまうと、
もうそれはほぼ決定事項も同然だ。
なぜこの人達は、
いつもこんなにノリがいいのか。
文化祭もつい数日前に
終わったばかりだというのに、
また遊びに行くという気なのか。
と思いつつもそれなりに
やはり楽しみにしてしまう
純心ではあるのだが。
-
「それじゃあ、
衣装とかどうしましょうかね」
愛ちゃんは今回の話を
最後まで自分主導で
進めたいようだ。
『やはり、
ハロウィンイベントは
なんとしても私の
メイン回にしないと
いけませんね』
『人数も増えて来ていますし、
このままでは単なるモブに
なってしまうじゃあないですか』
「文化祭で着たライブの衣装や
メイド服ならあるけどー」
夏希は無難なところを提案する。
「せっかくだから
もっと個性を出したほうが
いいんじゃないでしょうか?」
どうやら愛ちゃんは
もっと面白いことを
したいらしい。
純心もメイド喫茶の衣装で
充分だと思うのだが
それでは没個性に
なってしまうぐらい
ハロウィンの仮装とは
すごいものなのだろうか。
そもそもが、
犬女ちゃんなどは
コスプレなどしなくても
充分に目立つ。
人間の目からすれば、
犬もしくは獣人の
コスプレした人間にしか
見えないわけなだから、
コスプレする意義そのものが
問われることになる。
しかも
すでに人間の仮装をした
イオちゃんというのを
やってしまっている。
人間の仮装をした犬女が
仮装するメイド服の猫ガール、
というわけのわからない
ことにもなりかねない。
犬女ちゃんがメイド服を
着てるだけでも充分に濃い
仮装であると思うのだ。
また過去の経緯もあって、
犬女ちゃんには、
ゾンビ系やダメージ系の
仮装はさせたいと思っていた。
過去の記憶は戻っていないが、
暴力を振るわれていた頃の
イメージがあるため、
血を流したりしている
犬女ちゃんの姿は見たくない。
例え、仮仮装であってもだ。
そう考えると、そもそも
ハロウィンイベントの
参加に向いていない
ということになる。
そうは言っても
参加の流れなので、
無難なところで
個性を出すのであれば、
純心のイメージ的には、
お嬢様はそのまま天使。
夏希は活動的なので、
ハンターとかアーチャー。
生徒会長は魔法使い、
図書委員は賢者、
愛ちゃんは
いたずら好きな妖精。
犬女ちゃんは、
獣人だとそのままなので
あえて勇者あたりにしてみたい。
ファンタジー系で
まとめるならば
そんなところでは
ないかと提案してみたが
あっさり却下された。
-
みんなで、
ああでもない、
こうでもないと
思案した挙句、
お嬢様が突然閃いた。
「せっかく
犬女さんが一緒なんですから、
みんなで犬女さんになってみる
というのはどうでしょうか?」
何が『せっかく』なのか
純心には相変わらず
よくわからなかったが。
「そうですわね、
犬女さんをテーマに
各人が思い思いの
変装してくるというのが
よろしいのではなくって?」
生徒会長をはじめ、
みながその意見に賛成する。
愛ちゃんはただ一人、
自分が主導権を
握れなかったことが
若干不満であるようだったが。
純心は、
犬女ちゃんの真似というのが、
ひっかかっていた。
どうもこのパターンは
過去に暴走した記憶しかない。
純心はハロウィンの日まで
どきどきして過ごすことになる。
ハロウィンじゃないですか」
最近すっかり
影の薄かった愛ちゃんが
ここぞとばかりに言い出した。
高校生組は文化祭で
盛り上がっていたが、
中二の愛ちゃんは部活があり
文化祭に来ることすら出来ず、
文化祭イベントを
消化することが出来なくて、
地団太を踏んで悔しがっていた。
こここそが自分をアピールする
チャンスであるとばかりに
気合充分でこの話を振ったのだ。
「あら、
ハロウィンいいですわね、
海外にいた小さい頃は、
毎年楽しみにしておりましたわ」
お嬢様は例によって
なんでも楽しそうだと言い出す。
「いいねーハロウィン、
日本でも東京の渋谷とか
毎年盛り上がってるよねー」
『この流れは、
断ち切らなくちゃ
ダメな奴の気がする』
夏希が好反応を示した時点で、
純心はすでにこの先の展開を
なんとなく予感していた。
だいたいいつもこのパターンで
ドタバタに発展していくのだ。
「さすがに、
東京の渋谷とか無理だろ、
そんな人混みに犬女ちゃんを
連れて行けないし」
内心いつかは犬女ちゃんを
東京都心に連れて行ってみたい
と純心は思っている。
だがまぁ、今すぐ
どうこうとも思っていない。
渋谷のハロウィンなど毎年
エライことになっていると
言うではないか、
そんなところに行くのは
そもそも自分ですら
怖じ気づいてしまう。
「この近くの地方都市でも、
街規模で毎年ハロウィン
イベントやってますよ」
純心の思惑を
図書委員が台無しにした。
まだご新規さんの
図書委員の言動までは
純心も読むことが出来なかった。
「あら、
あそこのイベントなら
我が校も協賛金を
出しておりましてよ。
一度見に行くと言うのも
生徒会の務めでしてよ」
『絶対こいつハロウィン
行ってみたいだけだろ』
生徒会長まで話が行ってしまうと、
もうそれはほぼ決定事項も同然だ。
なぜこの人達は、
いつもこんなにノリがいいのか。
文化祭もつい数日前に
終わったばかりだというのに、
また遊びに行くという気なのか。
と思いつつもそれなりに
やはり楽しみにしてしまう
純心ではあるのだが。
-
「それじゃあ、
衣装とかどうしましょうかね」
愛ちゃんは今回の話を
最後まで自分主導で
進めたいようだ。
『やはり、
ハロウィンイベントは
なんとしても私の
メイン回にしないと
いけませんね』
『人数も増えて来ていますし、
このままでは単なるモブに
なってしまうじゃあないですか』
「文化祭で着たライブの衣装や
メイド服ならあるけどー」
夏希は無難なところを提案する。
「せっかくだから
もっと個性を出したほうが
いいんじゃないでしょうか?」
どうやら愛ちゃんは
もっと面白いことを
したいらしい。
純心もメイド喫茶の衣装で
充分だと思うのだが
それでは没個性に
なってしまうぐらい
ハロウィンの仮装とは
すごいものなのだろうか。
そもそもが、
犬女ちゃんなどは
コスプレなどしなくても
充分に目立つ。
人間の目からすれば、
犬もしくは獣人の
コスプレした人間にしか
見えないわけなだから、
コスプレする意義そのものが
問われることになる。
しかも
すでに人間の仮装をした
イオちゃんというのを
やってしまっている。
人間の仮装をした犬女が
仮装するメイド服の猫ガール、
というわけのわからない
ことにもなりかねない。
犬女ちゃんがメイド服を
着てるだけでも充分に濃い
仮装であると思うのだ。
また過去の経緯もあって、
犬女ちゃんには、
ゾンビ系やダメージ系の
仮装はさせたいと思っていた。
過去の記憶は戻っていないが、
暴力を振るわれていた頃の
イメージがあるため、
血を流したりしている
犬女ちゃんの姿は見たくない。
例え、仮仮装であってもだ。
そう考えると、そもそも
ハロウィンイベントの
参加に向いていない
ということになる。
そうは言っても
参加の流れなので、
無難なところで
個性を出すのであれば、
純心のイメージ的には、
お嬢様はそのまま天使。
夏希は活動的なので、
ハンターとかアーチャー。
生徒会長は魔法使い、
図書委員は賢者、
愛ちゃんは
いたずら好きな妖精。
犬女ちゃんは、
獣人だとそのままなので
あえて勇者あたりにしてみたい。
ファンタジー系で
まとめるならば
そんなところでは
ないかと提案してみたが
あっさり却下された。
-
みんなで、
ああでもない、
こうでもないと
思案した挙句、
お嬢様が突然閃いた。
「せっかく
犬女さんが一緒なんですから、
みんなで犬女さんになってみる
というのはどうでしょうか?」
何が『せっかく』なのか
純心には相変わらず
よくわからなかったが。
「そうですわね、
犬女さんをテーマに
各人が思い思いの
変装してくるというのが
よろしいのではなくって?」
生徒会長をはじめ、
みながその意見に賛成する。
愛ちゃんはただ一人、
自分が主導権を
握れなかったことが
若干不満であるようだったが。
純心は、
犬女ちゃんの真似というのが、
ひっかかっていた。
どうもこのパターンは
過去に暴走した記憶しかない。
純心はハロウィンの日まで
どきどきして過ごすことになる。
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