犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと文化祭(8)/模擬店

予定されていた
イベント系をすべて終え、
クラスのメイド喫茶を
手伝っていた
犬女ちゃんと純心は、
ここまで忙しくて、
校内の展示や出店やらを
まだよく見ていなかった。


そのことを知った
白ギャル黒ギャルは、
犬女ちゃんと純心に
休憩時間をくれた。


「ここは、
あーし達にまかせて、
ちょっと見てきなよー」


せっかくなので、
白ギャル黒ギャルの
好意に甘える
犬女ちゃんと純心。


-


まずは校舎内の
お化け屋敷などに
入ってみる。


純心は若干びびっていたが、
犬女ちゃんには匂いで
普通に生徒だとわかるので、
まったく怖くはなかった。


それでも
変な格好をしているので、
不審者扱いして
吠えたほうがいいのか、
吠えないほうがいいのか
困惑気味の顔をしていた。


-


校舎から外に出ると
いろんなところに模擬店が
出店されており、
お昼どきだったこともあり、
結構な人がいた。


この文化祭で
目立ちまくっている
犬女ちゃんは
いろんなところで
声を掛けられた。


「犬女ちゃん、さっきの
ステージ凄かったねー
よかったらこれ食べてー」


模擬店の女子が
たこ焼きをくれた。


「犬女ちゃん、昨日の劇
あたしちょー泣いちゃったよー
これ持っててー」


今度はお好み焼きをもらった。


「犬女ちゃん、
昨日のライブ、
すごい燃えたよー
これも食べてよー」


次は焼きそばだった。


『お前、芸をして
食べ物もらうとか、
大道芸人みたいに
なって来てるな』




中には、
自らの欲望に忠実な
模擬店の女子が、
犬女ちゃんに
魅惑的な取引を
持ち掛けたりもした。


「犬女ちゃん、
肉球ぷにぷにさせてくれたら
この焼き鳥をただであげる」


犬女ちゃんは喜んで、
肉球をぷにぷにさせてあげたが、
純心はけしからんとばかりに、
ぷりぷり怒っていた。


食べ物と交換に
肉球をぷにぷに
させるだなんて、
まるでビッチのよう
ではないかと、
わけのわからない、
頭おかしい過保護ぶりを
発揮していたが、
まぁ相手が女子ではあるので、
そこは大目に見ることにする
純心だった。


不機嫌な純心に
首をかしげる犬女ちゃん。
まぁこういうときは
放っておいたほうがいいだろう。




文化祭も後残りわずか
余っている食べ物は
さばいて処分してしまおうと
思っていたのかもしれないが、
それでも犬女ちゃんは
いろんな人に
いろんなものをもらった。


他にもピザや中華まんから、
チュロス、クレープ、
チョコバナナ
といったデザートまであった。


『なんでこんなに
食い物の出店あるんだよ』


クラスだけではなく、
様々な団体レベルで
出店していたからなのだが、
中には父兄やOBまで
出店に参加していた。


-


おばあちゃんから、
出された食べ物は
残さず食べなさい
と教育を受けた犬女ちゃんは、
もらった物を
すべて食べようと
必死になっている。


『こいつ絶対また太るぞ』


純心は犬女ちゃんの
体重を気にしたが、
頑張ったご褒美に
今日ぐらいはいいか
とも思う。


結局、純心と犬女ちゃんは
もらった物をすべて食べ切り
二人でお腹ぱんぱんで
動けなくなっていた。




おばあちゃんの言いつけを
必死になって守り、
クラスのみんなで分けるとか
まったく思いもつかない、
融通が利かない犬女ちゃんは、
やはり犬女ちゃんだった。











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