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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんといじめられっ子(2)

「クソ、またあの犬女か!
ちくしょう、覚えてやがれよ!」


いじめられっ子は、
それから何度か
犬女ちゃんに助けられていた。


だがいつも助けてもらったのに
お礼の一つも言えずに
走ってその場を逃げてしまう。


いじめられっ子は、
それをいつも悔いると同時に、
そんな自分を嫌悪していた。




いじめられっ子は、
勉強が出来るわけでもなく、
運動が出来るわけでもなく、
性格も暗く、うじうじしており、
いつも人の顔色をうかがっては
怯えているような子だった。


いかにもいじめっ子達の
ターゲットにされそうな子ではあった。


自尊心の塊のような、
スクールカースト上位に位置する
いじめっ子達に、上から目線で
高圧的な態度に出られると、
背中や首筋がゾクゾクして、
体が震えはじめ、萎縮してしまい、
何も言えなくなってしまう。


もっと勇気を出して、抵抗して、
はっきり嫌だと言おうと
何度も思うが、そのときになると
体が震えて、どうしても声が出せない。
自分でもどうしようがなかった。


-


放課後、またいつもの
自転車置き場で
いじめられっ子と
いじめっ子達の匂いを
嗅ぎつけた犬女ちゃんは、
保健室の窓から飛び出す。


だがその瞬間、隠れていた
いじめっ子の仲間が、
犬女ちゃんに
催涙スプレーを吹きかけた。


犬女ちゃんは、
苦しくて咳き込み、
涙が止まらなくなる。
声が出せない。


「ざまみろ!クソ犬女!」


「犬女の分際で、
人間様に逆らったら、
こうなるんだよ!」


いじめっ子達は
犬女ちゃんを
罠にはめたことで
勝ち誇っている。


「クソ犬女は、
ちゃんとお仕置きしないとな」




いじめられっ子は
どうしたらいいかわからない。


ガクガクと体の震えが止まらない。
体がすくんで動くことさえ出来ない。


しかし、このままでは
犬女ちゃんが、
こいつらにひどい目に
合わされてしまう。


今まで何度も
助けてくれた犬女ちゃんを
このまま見捨ててしまうのか。


いじめられっ子は、
手を強くギュッと握りしめる。




「た、たた、たた、大変だー!」


「い、いい、犬女ちゃんがー!」


いじめられっ子は、
渾身の勇気を振り絞って、
震えながら叫んだ。




いじめっ子達が
予想外の展開に驚いたときには、
もうすでに小夜子先生が
後ろに立っていた。


「貴様ら、
犬女さまにこんなことして、
ただで済むとは思ってないよな?」


小夜子先生は、
体中から怒りの
オーラを放出している。


やはり駆けつけていた
日向先生はすでに
犬女ちゃんを介抱している。


小夜子先生も、こう見えて
教師のはしくれであるから、
不審なことが何度かあったので、
周囲を警戒して見張っていたのだ。


-


「職員室まで来い!」


いじめっ子達を連行するとき
小夜子先生は
いじめられっ子に声を掛けた。


「よく声を出したな、
やれば出来るじゃないか」


自分でもなぜだか
わからなかったが、
少年の目からは涙が
溢れ出していた。


いじめられっ子は
日向先生に介抱されている
犬女ちゃんのそばまで
歩み寄った。


「い、犬女ちゃん…
い、いつも…
あ、ありがとう…」


犬女ちゃんは
やっと出るようになった声で
ワンと鳴いたが、喉はまだ
いつもの調子に戻っておらず、
少し枯れているような声だった。


-


その後は、
怒り心頭の小夜子先生が
いじめっ子達の親を呼び出し、
退学をチラつかせて、
親子共々泣いて侘びを入れるまで、
三時間程なじり倒し、
追い込みをかけた。
 

目には目を、
いじめにはいじめを。
小夜子先生は、
容赦がなかった。


実際に
今学校が力を入れている
プロジェクトの要である
犬女ちゃんに手を出すなど
退学志望者にも等しく、
このことで全校生徒は、
一学期の修了式の日とは、
まったく立場が逆転している
ことを改めて知る。


それからは、犬女ちゃんに
変なちょっかいを
出そうとする者はいなくなった。




そんな人間の事情など
まったく我関せずの犬女ちゃんは、
あのいじめられっ子が
またいじめられたりしていないか気になって、
ときどき保健室の窓から
覗いて見たりしていた。











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