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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとラブレター(2)

通学電車で中学生から
ラブレターをもらった犬女ちゃん。


しかし、当然犬女ちゃんに
字など読めるはずがなく、
夏希が代わりに朗読して
犬女ちゃんに
聞かせてあげることにする。


「どうせ読んでも
わからないんだし、
聞かせてあげること
ないんじゃないか?」


純心は内心複雑だ。
まさか犬女ちゃんが
男子からラブレターを
もらう日が来るとは
夢にも思っていなかった。


「だめだよー
きっとあの子だって、
犬女ちゃんに
気持ちを伝えたくて
書いたんだから、
ちゃんと伝えてあげなきゃ」


夏希はそういう気持ちは、
大事にしてあげたいようだ。
そういうところは
いかにも女子っぽい
と純心は思う。


「純心、ヤキモチ
妬いてるんじゃないのー」


イオちゃんの見た目だけで、
本当の犬女ちゃんを見ないで、
表面だけで好きだと言うなんて、
純心としては
なんだか許せなかったが、
まぁ結局のところは
嫉妬しているのだろう。




大声で中学生が書いた
ラブレターを読み上げる夏希。


まさか個人宛に出したラブレターが
こんな大声で朗読されてしまうとは、
中学生が気の毒でならない。


それを言い出すと、そもそも
もらった本人ではない
他人がラブレターを見ること自体
どうなんだ、という話になる。




聞いたところで、
やはり犬女ちゃんには、
なんのことだか
さっぱりわからなかった。


普段人間の言っていることが
それとなく伝わるのは、対面で話す
コミュニケーションだからであって、
相手の表情や雰囲気、匂いや温度、
そうした周辺情報から、
五感だけではなく、第六感まで
フル活動させているからだ。


それが相手が
目の前にすらいない状態で、
手紙を読み上げられたところで、
犬女ちゃんからしても
お経でも聞かされているのと
なんら変わらなかった。


-


「断るにしてもさー
ちゃんと断ってあげないと
だめなんじゃないかな」


夏希はそう主張する。


断るが前提なのは仕方がない。
相手だって本当は犬女だと
知っていてラブレターを
渡して来たわけではないだろう。


犬女ちゃんの気持ちも、
確かめようがなかったが、
純心大好き犬女ちゃんが、
人間男性に純心以上の好意を、
抱くとは思えない。


ただこの場合も、
恋愛感情に関しては、
本当のところはどうかわからない。
犬女ちゃんが純心に抱く感情は、
家族愛や兄弟愛なのかもしれない。
異性として、もっと言えば
番いとして純心を選ぶのか?
ということになるが、
そんなことは純心にも
夏希にもわかるはずもない。


純心も同様で、
今まで兄弟のようなものだと
言って来ていたが、
いざ犬女ちゃんが
ラブレターをもらうと
嫉妬したりしてしまう。


実際の姉や妹がラブレターを
もらって来たからといって
嫉妬するのは
シスコンぐらいのもので、
あまり普通では見られない。


となると、やはりどこかで
異性として好きなのでは
ないかという話になる。
極度のシスコンみたいな
ものなのかもしれないが。


-


「本当の犬女ちゃん、
というのが大事だと、
思うんだけどなぁ」


純心は少し皮肉るつもりで
言ったのが、夏希は
それに激しく同意した。


「そうだよー!」


「嘘ついたままって、
あたしもよくない気がするよー」


「やっぱり
本当の犬女ちゃんの姿で
お返事しないと
失礼なんじゃないかなー」


その点に関しては、
虚像のまま憧れられて、
虚像のまま振ってしまう、
というのもアリではないかと
純心は思うが、夏希は
そうではないらしい。




喋れない犬女ちゃんが、
ちゃんと相手に
お断りのお返事をするには、
手紙しかない、
夏希はそう言い出して、
犬女ちゃんと一緒に
お手紙を書きはじめる。


少年への断りの返事を
犬女ちゃん自身の手で
書いてもらおうと、
夏希は犬女ちゃんの手を取って、
必死に文字を書かせた。


ほとんど夏希が無理矢理
犬女ちゃんの手を操作して
書いたようなものだが。


-


中学生の少年にとっては、
いつもとなんら変わらぬ
朝の通学。


駅で降りる中学生のもとに、
四つ足で走って
駆けて行く犬女ちゃん。
口には色紙を咥えている。


その姿を見た中学生は
訳もわからず驚いて、
固まってしまっている。


犬女ちゃんは、
口に咥えている色紙を、
中学生に差し出す。


おそるおそる手を伸ばして、
それを受け取る中学生。


口が自由になった犬女ちゃんは、
明るい笑顔で、
ワンと一声鳴くと、
また四つ足で走って去って行く。


何が起こったのかわからず
ポカンとして立ち尽くす中学生。


手にした色紙を見ると、
まるで三歳児が書いたような
汚い字があった。


『お手紙、
ありがとう
ゴメンネ』


その言葉の下には、
犬女ちゃんの肉球手形が
スタンプのように押されていた。


中学生は一体何のことだか、
まったくわけがわからず、
ポカンと呆けた顔で、
しばらくその場に立ち尽くしていた。













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