犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと担任の先生(2)

休み時間、
小夜子先生に謝るため、
純心は犬女ちゃんを連れ、
職員室に向かう。


まだ興奮冷めやらないのか、
小夜子先生は顔を紅潮させている。


「ここではなんですので、
人がいない場所に行きましょう」


純心にはなぜ場所を
変える必要があるのかよくわからない。
職員室で話をしないということは、
他の先生に聞かれないように
という意図なのだろうか。
ということは、
他の先生方には黙っていてくれる
と考えていいのだろうか。


そう思っていると、
最上階から屋上に
向かうときにだけ使う
階段の踊り場まで連れて来られた。
確かにここであれば、
人は来ないだろう。


小夜子先生は、
まだ顔を紅潮させている。
心なしか鼻息も荒いような気がする。
相当怒られるのではないだろうかと
純心は覚悟する。




「い、いきなり
あんな大衆の面前で、
よりにもよって生徒達の前で、
辱めるなんて…」


「さ、さすが犬女…
まさにケダモノ…」


小夜子先生の顔はますます赤くなり、
呼吸が荒くなって来ている。
この溜めに溜めている感じからして、
よっぽど罵倒されるに違いない。


「あぁ…」


熱い吐息を漏らす小夜子先生。


「修了式のあの日…
美しくて可愛らしい、
野生的でワイルドな魅力が
ありつつも、エレガントな
お姿を拝見してから、
私の頭の中は、
そのことで
いっぱいだったのです…」


『ん?』


違った意味で
雲行きがあやしく
なって来た。


「夏休みの間も、
ずっとあの麗しいお姿が
頭から離れず…」


「動画を拝見したときは、
歓喜いたしました…」


「と同時に、その場に
居合わせられなかった
自分を激しく呪いました…
私のような愚か者は
死んでしまえばいいのだと…」


『何言ってんだ?この人』


小夜子先生は突然、
犬女ちゃんの前で
体を震わせながら
土下座をする。


「お願いいたします、私を
犬女さまの犬奴隷にしてくださいませ」


ちょっと変態のレベルが高過ぎて、
純心には何を言っているのか
まったくわからなかった。


もはや犬女と犬奴隷の
どちらが犬役なのかも
よくわからなくなってしまっている。


「どうか、
私をメス豚として、
蔑んでくださいまし」


せめて犬なのか豚なのかは、
ハッキリさせて欲しいところだ。




小夜子先生は、
女子好きの真性ドMだった。




純心は、
たかがスクール水着ぐらいで、
子供じみたことを言っていた
自分を恥じ入った。


そんなことぐらいで、
母を変態ではないかと
疑ったことを
心の底から詫びた。


やはり本物は圧倒的に違う。


キレ、コク、深み、
迫力も、その存在感も
まったく違う。


変態行為にかける
情熱がもはや別次元である。


この人は本物だ。
本物の変態なのだ。


大人っておそろしい。




純心は
突然降って湧いた
非日常にびびって
腰が抜けそうだった。


恐れおののき、
どうしたらよいのか
困惑している純心をよそに、
犬女ちゃんは興味がないらしく、
その場を去りはじめる。


純心も、
これは聞かなかったことに、
見なかったことにしようと思い、
犬女ちゃんの後を追い掛けた。




しばらく何の反応もないので、
小夜子先生がおそるおそる
上目づかいで前を見ると、
もうそこには誰もいなかった。


「はあん、
しょ、初対面で、
い、いきなりの放置プレイとは…
さすが犬女さま、レベルが高いですわ…」


「さすが、ケ・ダ・モ・ノ(はあと」


小夜子先生は、
顔を紅潮させて、
身悶えしていた。




なんのことはない、
純心が性格キツそうな
ドSだと思っていた
小夜子先生は、
真性ドMのど変態だった。


男子生徒にキツく
あたることが多いのは、
性的な意味で女子が大好きで、
男子はあまり好きではない
だけであった。




犬女ちゃんは、学校に来て早々、
変な人と知り合いになってしまった。











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