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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとお父様(1)

夏休みも後残り数日。


今年の夏休みはいろいろと
遊び過ぎてしまったため、
宿題もまだ残っている。


来年は受験生だというのに、
こんなことでいいのかと
多少反省する純心。


そんな話をお嬢様にすると、
また家で一緒に勉強しようと
お嬢様が言ってくれた。


以前も試験勉強のときに
お嬢様のお屋敷には
お邪魔したことがある。


あのときは後少しで
お嬢様とキス出来るというところで、
犬女ちゃんに邪魔されてしまった。


今回もそんなムフフな展開が
あってもおかしくはないんじゃないかなぁ、
ちょっとだけそんな下心もなくはなかった。


冷静に考えると今まで
キス出来そうな展開は
いくらでもあったように思うのだが。


とりあえず純心は宿題と勉強道具を持って、
犬女ちゃんと一緒に、
再びお嬢様のお屋敷に行く。


-


犬女ちゃんを使用人に預かってもらい、
客間で勉強に取り組む純心。
宿題のわからないところを
お嬢様に教えてもらう。


体育館ぐらいの
広さがありそうな部屋の片隅に
小さなテーブルを置いて二人は
勉強をしている。


部屋が広過ぎて
まったく落ち着かないので、
純心が頼んでそうしてもらったのだ。


お嬢様のお屋敷は相変わらず、
一般庶民からすると規格外のサイズだ。


「だいぶ捗りましたわね。
純心さんの宿題も後少しですわ」


「この辺で少し休憩にいたしましょうか。
犬女さんの様子でも見に行きましょう」


そういえば犬女ちゃんは、
また例の大型犬に
追い回されていたりしないだろうか、
前回の悪夢が頭をよぎり、
苦笑する純心。


しかし犬女ちゃんは、
お屋敷内にあるバラ園で
使用人さんに遊んでもらっていた。
さすがに今回は、例の大型犬は
放し飼いにはなっていないようだ。


-


「遥、ここにいたのか」


お屋敷のバラ園で
お嬢様と犬女ちゃんが
じゃれていると、
金髪碧眼の中年紳士が、
お嬢様に声を掛けて来る。


「まぁ、お父様いつ日本に
お帰りになったのですか?」


見た目からしてお嬢様の
父親であろうことは一目瞭然だった。


「つい先ほど帰って来たばかりだ」


純心はとりあえず挨拶をしたが、
お父様はそれどころではないようだった。


「遥、一体どういうつもりなんだ」


お父様は興奮している。


「私が日本にいないのをいいことに、
高校を転校してしまって、
一体どういうつもりなんだ」


「そ、そんな…、
私はちゃんとお父様に
お話しをしたつもりでおりましたのに…」


「私は認めたつもりなどないぞ!」


お嬢様が親をだましたり、
親の理解もないまま、
転校するようなことを
するわけはないのはわかっていた。
おそらくはミスコミュニケーション
によるすれ違い。


以前、父親からそれほど
愛されていないのではないか、
とお嬢様が悩んでいる話を聞いた。
そういうところから、
どんどんすれ違って行って
しまったのではないか、
純心にも身に覚えがある。




そこからはお父様が一方的に
まくし立てるばかりでだった。


「だいたいなんだと言うんだ!」


「お前が獣医になりたいなど
そんなことは決して許さんぞ!」


「で、でも、お父様…私…」


お嬢様は言いたいことも言えずにいる。


お父様はどんどん感情的に
なって来ているようだ。


「お前のような世間知らずが、
そんなこと出来るわけがないんだ!
自分の身の周りのことだって、
使用人にやってもらっているじゃないか」


「で、ですがお父様…」


「お前は何もわかってない!
そうした仕事をして生きて行くということが
どれほど大変なことか」


「世の中は、お前のような娘が
自立して生きていけるほど
甘くはないんだ!」


純心はこの場に
居合わせた気まずさよりも、
この一方的にお嬢様が
責め立てられている状況に、
段々腹が立って来ていた。


お嬢様のお父さんが言っていることは、
確かに正しいのかもしれないが、
お嬢様の言い分も一切聞かずに、
これだけ一方的に
反対するということがあるだろうか。


大人の理不尽さに
怒りが込み上げてくる。
やり場のない憤りが、
純心の心に渦巻いて来る。




心の底から愛しているお父様に、
自分が考えていることを
まったくわかってもらえない、
それどころか伝えることすら出来ない。
どうしようもなく、
せつなくて、悲しくて、
お嬢様はついに泣き出してしまう。


目の前で泣いているお嬢様を見て、
純心の中で、沸々と
激しい怒りが湧き上がる。
あの抑えきれない黒い衝動が、
純心を突き動かそうとする。


力いっぱい拳を握りしめる純心。
その拳はわなわな震える。




純心があのときのように
我を忘れそうになったとき、
その前に立ちはだかったのは
犬女ちゃんだった。


二本足で立ちあがり、
純心の顔を、その目を
じっと見つめる犬女ちゃん。


その凛々しく力強い眼差しは、
明らかに何かを訴えかけている。


純心は犬女ちゃんの目をしばらく見つめ、
大きく息を吐いて、呼吸を整える。


同じ過ちを繰り返してはだめだ。
犬女ちゃんにツライ思いをさせた
あのときのことを決して忘れないと
誓ったじゃないか。
純心は何度も自分自身に言い聞かせる。


犬女ちゃんはそんな純心を
じっと見つめ続けている。











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