犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとカラオケ

「そうだよねー
いつもの犬女ちゃんのままで、
みんなに受入れてもらえれば、
それが一番いいよねー」


「まぁ電車乗るときとかは、
変装しないとだめだろうとは
思うんだけどな」


犬女ちゃんの変装について、
純心は夏希と話していた。


やはり純心は、本来の、
自然のまま、あるがままの
犬女ちゃんらしくいるほうが、
犬女ちゃんのためだと思っていた。




「でもさ、
私も一度犬女ちゃんと
普段行けないようなところ
行ってみたいよ」


「そうだ、みんなで遊び行こうよー」


夏希はそう言うと、
早速みんなに連絡し、
遊びに行く予定を立てる。


夏希が選んだ場所は、
カラオケやボーリングや
各種スポーツなどして遊べる
巨大複合型アミューズメント施設だった。


-


「まぁ、驚きましたわ
犬女さんがこんなに変わられるなんて」


初めて犬女ちゃんが変装した
イオちゃんを見て驚くお嬢様。


「犬女お姉ちゃん、
清楚系に変身したのに
胸がこんなに目立つって
おかしくないですか?
清楚系はもっとツルペタな感じですよ」


またちょっと意味がわからない
ことを言っている愛ちゃん。


「普段本校の生徒が
どんなところで遊んでいるのか
生徒会としては、
知っておかなくてはならなくってよ」


生徒会が忙しいと言いながら、
生徒会長もここぞとばかりに参戦して来た。


久しぶりに全員が一同に介すると
結構面倒くさいメンバーばかりだと
改めて気づく。


-


とは言え、今まで夏希以外に
友達らしい友達もいなかった純心。
当然カラオケなども
ほとんど行ったこともなく、
少し楽しみではあった。


少しどきどきしながら、
六人でカラオケの部屋に入ると、
カラオケ慣れしていない純心には、
そこが非日常的な空間に見えてしまう。


『いやぁ、困ったなぁ
普段カラオケとかやったことないから、
こんなときどんな曲を歌えばいいのか、
わからないなぁ』


『やはり
ここは今時の高校生らしい、
流行の曲で盛り上げて』


純心は不慣れながら、
女子達とのカラオケに浮かれ、
そんなことを考えていた。


-


伴奏が鳴りはじめると
夏季がマイクを握った。
どうやら一番手は夏希のようだ。
さすが盛り上げ役。


夏希はマイクを握って
「天城越え」を熱唱する。


『いやいやいや、
高校生のカラオケで
一曲目が演歌って』


『さすがにそれは
ないんじゃないかな』


純心はそう思っていたが、
犬女ちゃんは吠えて
合いの手を入れている。
ノリノリである。


『人間に変装した姿では
声も出せないし、やはり
ストレスがたまっているのかなぁ』


そう思って反省する純心。


-


隣では
次の番に指名された
お嬢様が悩んでいる。


「困りましたわ。
海外生活が長かったので、
私日本の歌とかよくわりませんの」


「別に洋楽とかでも、
いいんじゃないかな」


純心は気を利かせたつもりで
そうアドバイスした。




次の曲の伴奏が鳴ると、
お嬢様は賛美歌を歌い出した。


『違う、そっちの洋楽じゃない』
『それ聖歌隊とかが
歌ってるやつですよね?』


それでも犬女ちゃんは、
曲に合わせて遠吠えしている。




『ち、違う』
『なんか、俺が知ってる
高校生のカラオケじゃない』


独特なカラオケの雰囲気に、
違和感を覚えはじめる純心。


-


「まぁ、
素晴らしい歌声でしてよ、
心が洗われましてよ」


生徒会長は拍手喝采で、
お嬢様の歌声を褒め称える。
確かにあんな高音よく出るものだ。


お嬢様に触発されたのか、
次の生徒会長はオペラの名曲を歌い上げる。


『ちょっ、ちゃっと待て』
『高校生のカラオケって、
こんな感じなのか?
実はこれが正解なのか?』


もしかしたら自分の認識が
間違っているのではないかと
思いはじめる純心。


-


次はポップな曲調が流れはじめる。
中二の愛ちゃんの番だ。


『そうだろ、
十代のカラオケって、
こういう感じだろう、普通』


ようやく十代らしい曲になったと
純心が落ち着いて
カラオケの画面を見ると、
アニメ映像が流れていた。


『アニソンかよ!』
『サビで魔法少女とか言っちゃってるし』


どうやら愛ちゃんが
妹達と一緒に見ている
女児向けアニメの主題歌らしい。


十代どころか、
一気に十歳未満にまで
対象年齢が下がってしまった。




純心は改めて
大事なことを思い出す。


『このメンバーに、
空気読めるやつなんて
いないんだった』


-


まぁそれでもアニソンは悪くない、
ここまでの流れの中では一番まともだ。


ここは次の自分が、
一発これぞ高校生らしさというような
流行の曲でも歌って、
みんなに気づいてもらわなくてはなるまい。


純心は慌てて、
最近よく耳にする
流行の歌を選曲した。


そういう曲の選び方はたいがい
サビしか知らなくて、
ひどいことになるのだが、
純心もまったくその通りだった。


カラオケの機械採点も
メンバー中でダントツの最低点。


「あはは、
こんなひどい点数取る人
はじめて見たよー」


夏希は腹を抱えて笑った。


-


「せっかくですので、
ここは犬女さんにも
一曲歌っていただきましょう」


こんなことを言い出すのは、
多分地球上で
お嬢様しかいないんじゃないか、
と純心は思う。


夏希が適当に曲を選んで、
お嬢様がマイクを持ってあげると、
犬女ちゃんは喜んで尻尾を振って、
曲に合わせて、鳴いて、吠えて、遠吠えした。


そして何故か
カラオケ機の採点も
純心より高かった。
確かに鳴き声とか遠吠えに
情感が溢れてはいたが。


「あはは、
犬女ちゃんのほうが
歌が上手いって言われてるよー」


夏希は再び腹を抱えて笑った。


『このカラオケ機、
賛美歌が入ってた時点で
おかしいと思ったけど、
絶対なんか変だろ!』


「さすがお兄ちゃん、
冴えない主人公感を出すために、
わざと最低点を取るなんて、
冴えない演出がばっちりじゃないですか!」


愛ちゃんは人の傷口に
塩を擦り込むスタンスなのだろうか。


『こいつ、殴ってもいいかな?』




なにはともあれ犬女ちゃんも
みんなと一緒にカラオケ出来て、
嬉しそうな顔で尻尾を振っていた。











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