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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

純心と母との絆(2)/母との絆編完結

当日は、母が空港まで
タクシーに乗って行くと言うで、
犬女ちゃんと一緒に
空港まで見送ることにした。


最後は親子水入らずでという配慮で、
女子達は見送りには来なかった。
その代わりに前日に壮行会を行ったのだ。




空港のロビーで、
純心と母親と犬女ちゃんは、
別れの挨拶を交わす。


寂しげな顔でクゥーンと
鳴いている犬女ちゃん。




「ごめんな。
俺のこと心配して、
こんなに長いこと、
こっちにいてくれたんだろ。」


照れや恥ずかしさを押し殺して、
ぼくとつと母に向かって話しはじめる純心。


「何言ってるんだい。
向こうのヴァケーションは長いから
一月ぐらい休めるんだよ。
あんた、知らないのかい。」


母は複雑な顔をしている純心に、笑顔を向ける。




「この夏、
母さんと一緒にいて、
小さい頃の母さんのこと
少し思い出したよ。」


「祭りとか、縁日とか、花火とか、
海水浴に行ったこととか。」


「そうなのかい。
でも無理に思い出そうとしなくて、
いいんだよ。」


母はまた純心の頭が痛くなるのでは
ないかと心配していた。




「いままで、あまりよく覚えてなかったから、
少し遠くに感じていたんだけど…」


「俺が生まれたときから、
ずっとそばに一緒にいてくれたんだな…」


母の目からは涙が溢れた。
それでも涙ぐみながらも笑顔を見せた。


「あんたは、何を言ってるんだい。
生まれる前から、ずっと一緒にいたんだよ。
ずっとあたしのお腹の中にいたんだよ。」


純心の胸に何かが刺さった。
そうだ、自分はそんなことにすら
気づいていなかったのだ。
まさに親の心子知らず。


純心の口から言葉が出る。




「…ありがとう」


母はその言葉に感極まって、
純心を抱きしめた。


小さい頃とは違い、純心のほうが
背が大きくなってしまっているため、
母が純心に抱き着いているように見える。




「あんたも来年は受験生だからね。
あたしも来年の春頃には帰って来るよ。
また一緒に暮らそうじゃないか。」


純心の耳元に囁くように、
涙声で母は純心にそう伝えた。




純心も感情が昂ぶり思わず
母を抱きしめる。


抱きしめた母は、
柔らかくて、温かくて、優しくて、
懐かしい、いい匂いがした。


純心は気づく。


『あぁ、なんだ、この感じか…
なんで、今まで、
覚えていないと思っていたんだろう、
ずっと知ってたし、ずっと覚えてた…』


『この感じは、それこそ、
俺が生まれる前から知ってたじゃないか…』


『…俺の命、そのはじまりの場所じゃないか…』




抱き合う二人を見て、
犬女ちゃんはクゥーンと小さく鳴いた。


純心と母はその場に、
しゃがんで三人で抱き合って泣いた。






飛び立つ飛行機を見送る
純心と犬女ちゃん。


ツライ過去を乗り越え、
今を前向きに懸命に生きている母。


母は今幸せなんだろうか。
純心は、母に幸せで
いて欲しいと心底願う。


でも、嫌味ではなく、
スクール水着を
今の父親に着てみせる
つもりでいるぐらいなのだから、
きっと夫婦仲はいいのだろう。


スクール水着が
幸せのバロメーターになる日が、
来ることになるとは
純心も思いもしなかった。


母は今きっと幸せに違いない。
純心はそう思うことにする。




そう思っていたら、
母の言葉を思い出した。




純心は犬女ちゃんを抱きかかえて、
笑顔を投げかける。


「俺達に弟か妹が生まれたら、
どうしよっかな?」


犬女ちゃんも嬉しそうな顔でワンと鳴いた。











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