犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとお母さん

犬女ちゃんは
ぷんぷん怒っていた。


夏休み中は一日中ずっと純心と
一緒にいられると思っていたのに、
純心が自分を置いて、
夏期講習なるものに
行ってしまっていたからだ。


犬女ちゃんが
お母さんと思っている純心の母親は、
家のソファでごろごろ寝ている。


お母さんに純心のところに
連れて行ってくださいアピールをしてみるも、
ことごとく無視されている。


-


お母さんは、お母さんで
考え事をしていたのだ。


純心ももう来年は大学受験だ。
そろそろ将来のことも考えなくてはならない。


そばにいると、純心の頭が痛くなる、
その兆候が強くなっていたため、
ちょうど仕事の話もあって、
一時海外に赴任していたが、
今回帰って来て様子を見る限り、
それももう大丈夫そうだ。


過去の話をするという荒療治が
逆に良かったのかもしれない。
本人も少しずつ受入れられ
はじめているような気がする。


受験のことを考えても、
来年あたりは日本に帰って来たほうが
いいかもしれない、などと。


-


犬女ちゃんは、
お母さんに擦り寄って、
お出かけしましょう、
アピールを続けてみる。


お母さんは上の空で、
犬女ちゃんの頭を撫ではじめる。


-


犬女ちゃん的には、
お母さんも大好きだったが、
優先順位的には純心のほうが上だった。
純心と大好きだったおばあちゃんが、
優先度第一位で、その次がお母さんだった。


お母さんはどちらかというと、
大事な純心をともに守って来た盟友に近い。
犬女ちゃんの感覚としては。


-


ソファで寝転がっている
お母さんの上に乗りはじめる犬女ちゃん。
お母さんはそれでも
上の空で考えごとをしている。


-


お母さん的には、
純心と犬女ちゃんの関係についても
時々思うことがあった。
本人達がいいようにすればいいとは思うが、
時々どうなるのだろうかと気になることだ。


おそらく犬女ちゃんは、
純心か自分のどちらかが死ぬまでは、
きっと、そばを離れようとしないだろう。


純心だって、今回の件からして、
二度と犬女ちゃんを
手放すようなことはしないだろう。




では純心は将来結婚出来るのか。


要するに女性が純心と結婚しようと思った場合は、
もれなく犬女ちゃんが付いて来るわけだ。


犬女の場合は、ペットの犬が
一緒に付いて来るというのとは
ちょっとわけが違う。
見た目がほぼ人間女性なのだから、
受入れ難い女性が多いだろう。




犬女ちゃんに理解がある、
今の純心のガールフレンド三人のうちであれば、
あるいは受け入れてもらえるかもしれない、
とも純心母は思う。


お嬢様と生徒会長の二人は、
良いところの家柄らしいから、
おそらく少し難しいだろう。


本人はともかく、犬女付きでは、
親が許さないだろうと思われる。
犬女に対する社会の偏見はまだまだ大きい。


そう考えると、お母さん的には、
大本命は幼馴染の夏希になる。
夏希母は昔からよく知っているし、
犬女に対する理解もある。


まぁ今度三人のうち誰が好きなのか、
純心に聞いてみようかとも思う。


-


お母さんは、上に乗って来た
犬女ちゃんのほっぺを両手で挟んで、
じぃっと顔を見つめる。


犬女ちゃんはきょとんしながら、
大きな瞳でお母さんを見つめ返す。


-


そもそも、犬女ちゃんはどうなのだろうか?
純心が誰かと結婚することになっても、
平気なのだろうか。


純心を家族として、群れの仲間として、
大切にしてくれているのは痛いほどよくわかる。


しかしそれが、異性として、オスとして、
意識しているのかはお母さんにもわからない。
本人に聞いても、答えようがないので結局わからない。


-


犬女ちゃんはいつの間にか
その柔らかいほっぺを、お母さんに
ぷにぷに、むにむに、いじられていた。




犬女ちゃんがそこでワンと吠えると、
お母さんもようやく我に帰る。


「あぁ、あんた、遊んで欲しかったのかい」
「あんたが昔好きだった、あれやろ」


立って猫じゃらしを動かしているお母さん。
喜んで、それに何度も飛びつこうとする犬女ちゃん。


猫じゃらしで遊んでいる犬女ちゃんは、
犬部分のアイデンティティに
問題がないのか少し心配になる。




純心が夏期講習に行っている間、
家でまったり過ごす、
犬女ちゃんとお母さんだった。













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