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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

純心と母(1)

母親が帰国する日。
犬女ちゃんの捜索を続けていた純心は、
一旦家に帰宅した。


母親は昼過ぎには、帰国して家に帰って来た。
「ただいまあ」
純心の母は、一般家庭の母親とは少しイメージが違う女性で、
ショートにウェーブがかかった髪、女性用スーツを着ている。
性格も勝ち気であまり純心には似ていない。


純心は久しぶりに会った母に少し照れもあったし、
絶賛やからし中ということもあってバツが悪く、
母親の顔をまともに見られなかった。


「あんたは一体何やってるんだい!」
犬女ちゃんをどこかに置き去りにして来て、
現在行方不明中だということを、
まずはこっぴどく怒られた。


そこそこに反抗期である純心も、
これには全く反論の余地もなかった。


純心には小さい頃の母の記憶もほとんどなかった。
おばあちゃんと夏希だと思っていた少女の記憶ばかり。
母親に関する記憶はすべて、
おばあちゃんの家を出てからのものばかりだった。
幼い頃に母親に甘えた記憶とか、
わがままを言った記憶などもまったくない。


だからなのだろうか、
母親に対しては、どこか少し距離がある。
少なくとも純心はそう感じている。


自分のこれまでの人生の中で、
突然途中から出て来たような感覚なのだ。
この人が今日からあなたのお母さんですよ、
と誰かに紹介されて来たような気がする。


そういう意味では、
今の純心の父親に対する気持ちと似ていた。
母親の再婚相手である今の父は、
純心の人生の途中から出て来た人であり、
最初から一緒にいた人ではない。


純心からすれば、お前はどこかから
この夫婦の元に養子に来たと言われても
まったく違和感がなかった。
どこかおかしいと思っていたが、
やはりそうなのか、と素直に納得するかもしれない。




母親が帰って来て一息つくと、
純心は早速自分の過去について、
話を聞きたいと切り出した。
犬女ちゃんの捜索にも早く戻りたかった。


お茶を飲んでいた母親は、
灰皿を探して、ソファに座り、
持っていた煙草に火を着けた。


「家の中で煙草吸うなよ。
犬女は匂いに敏感なんだから」


純心は帰って来るかもわからない、
犬女ちゃんのことを気にした。


「大丈夫だよ、あの子は昔から慣れてるから。」


母親は犬女ちゃんのことを『あの子』と呼んでいた。


「まぁそう慌てなさんなって」
「長くなる話だよ」
「それに、話すあたしにも相応の覚悟がいるんだよ」


母親は煙草の煙を吐きながら、
しばらく宙を見つめていた。
何かを考えているのだろうか。


覚悟を決めたのか、
母親は煙草の火を消して、
向かいに座っている純心の顔を見つめた。


「あんた、まだ小さい頃の記憶は、
おばあちゃんのことと、夏希ちゃんのことしか、
思い出せないんだろう?」


「このままずっと話さないでいたほうが、
いいのかもしれない、とも思ってたんだけどね。
あんたが本気で過去と向き合う気になったのなら仕方ないさね」


母は過酷な過去の話を純心に語って聞かせる。



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