犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

純心と後悔(2)

純心が現地で犬女ちゃんの
目撃情報を集めていると、
お嬢様と夏希、そしてなぜか
生徒会長までもがやって来た。


夏希から携帯に連絡があり、
来るのがわかっていた純心も、
生徒会長がいるのには面喰った。


「犬女さんを探すのを私にも
手伝わせてくださいませんか?」


夏希がお嬢様に、
犬女ちゃんが行方不明だと教えて、
お嬢様は心配のあまり
じっとしていられなかったのだ。
純心が犬女ちゃんを殴ったことも
伝えてあるようだった。


「べ、別に、私はあなた達が
心配なわけではなくってよ。
あなた達がまた問題を起こさないか、
生徒会として、監視しないと
いけないだけですってよ。」
生徒会長は相変わらずだった。
あの騒ぎ以降、心配してしょっちゅう
夏希に連絡をして来ていたらしい。


「ありがとう。」
「でもこれは、俺が見つけてあげなくてはいけないことだから。」


純心はそう思っていた。
誰の手も借りずに、巻き込まずに、
自分だけで探さなくてはならないと。


「お気持ちはわかりますわ。
でも今は少しでも早く犬女さんを
見つけてあげるべきですわ。」


「それに俺はみんなをこれ以上
巻き込みたくはないんだ。
いつまた理性を失って、暴れるか、
わからないからし。」


純心はまだ自分自身を怖れていた。
自分自身が信じられなかった。


「最初にお話を聞いたときは、
確かにびっくりして、ショックでしたけど。」


「人間誰にも欠点はありますし、
間違いだってありますわ。」


「一度過ちを犯したからと言って、
その人のことをもう信用出来ないなんてことありませんわ。
私だってこの数か月、毎朝純心さんとお話しをしていたのすから。」


お嬢様は人間の性善性を信じている人である。
まだ純心を信じたいと思っていてもなんら不思議ではない。
だが当の純心自身が自分を信じられないでいた。


「夏希さんの信じるは、信じてもらえて、
私の信じるは、信じてもらえないのでしょうか?」


「私は以前、はじめて何でも話せる
本当のお友達が出来たみたいで、
嬉しいとお話したではないですか。」


「せっかくみなさんと仲良くなれたのに、
このまま会えなくなるのは残念です、寂しいです、
とお伝えしたではないですか。」


「私だって戻りたいのですよ、
あの、にぎやかで楽しかった毎日に。」


「犬はもともとオオカミと同じように、
群れで生活する生き物なんですのよ。
群れで獲物を捕まえたり、
外敵から身を守ったり、
お互いに助け合って集団で生きているんです。」


「私だって犬女さんや、純心さんの
群れの仲間でいたいのですよ。」


純心はお嬢様の話を聞いていて気づいた。
自分が一人で勝手に壊してしまったものは、
自分一人だけのものではなかった。


こうして自分が壊してしまったものを、
元に戻したいと思っている人がいる。
一緒に元に戻そうと言ってくれている。


同じ瞬間を過ごしていたはずなのに、
自分が大切だと気づかなかったものを、
とても大切だと思っている人がいた。
その人の大切なものを、一人で勝手に壊してしまっている時点で、
自分は迷惑をかけて、すでに巻き込んでしまっているのだと。


そんなことすら気づかなかった自分が
不甲斐なくて情けなかった。
自分は今まで一人で生きている気に
なっていたのかもしれない。




純心は改めてみんなに一緒に
探してくれるように頼んだ。




話を聞いて涙ぐんでいる生徒会長の目の前に、
夏希はハンカチを差し出した。


「べ、別に、泣いているわけじゃありませんでしてよ。
き、今日は暑いから、汗が目に入っただけですってよ。」



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