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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと純心の闇(4)

純心は壊れた。


自分の衝動を抑えきれる限界を
超えてしまったことが、
純心自身にもはっきりわかった。


純心は幽鬼の如く立ち上がると、
壇上の女子に近づいて行く。


その殺気を放つただならぬ雰囲気に
それまで罵声の渦だった会場は、静まり返った。


まるで鬼のような形相をして、
殺気を放って近づいて来る
純心を見た女生徒は戦慄した。


背筋にゾクゾク冷たいものが走り、
震えが止まらなくなった。


「な、な、な、なんですか」


振り絞って出したはずの声は震えて、
虚しく誰にも届かない。


生物の本能的に、
間違いなく殺されると女生徒は思った。


「…ひぃぃぃっ…」


心ない女生徒に近寄る純心の前に
立ちはだかったのは、生徒会長だった。


純心は生徒会長の胸ぐらを
つかんで高く持ち上げた。
生徒会長の体は宙を浮いている。
自分の胸ぐらをつかんでいる純心の手をつかみ、
必死に純心に言い聞かせる。


「やめなさい!
あなた、ここでこのまま暴力を振るえば、
間違いなく退学になってしまいましてよ!」


意外にも生徒会長は、
純心をなんとか庇おうとしていた。
救おうとしていた。


-


お嬢様は純心の鬼気迫る姿、
鬼のような形相を見て、
血の気が引いた青ざめた顔をしている。


副会長のルイがお嬢様の横で囁いた。


「あら、あれは、心に鬼が住んでますね。」


「私の親族にも修羅の家が多いのでわかりますわ。
今の彼はDV男の顔してますもの。」


今にも倒れそうなお嬢様。


-


生徒会長の胸ぐらから手を離す純心。


鬼のような形相で、
心ない女生徒を睨みつける。
女生徒は恐怖のあまり涙目で
ガクガク震えている。
鬼純心は、女生徒に向かって、
凄みを利かせて悪態をついた。


「お前、
犬女が保健所に連れて行かれたら、
どうなるか知ってるのか?」


「変態おやじの玩具にされるか、
殺処分で殺されるんだそ」


「お前も、俺が、同じ目に合わせてやろうか?」


女生徒は怖さのあまり、腰を抜かして、
そのままペタンとその場に座り込んでしまう。




どす黒い感情に、
湧き起こる衝動、激情に、抗い続け、
まだ自分をコントロールしようとする純心は、
そのまま会場を立ち去る。
これ以上ここに居ては
もう自分を抑えきれない。




純心のただならぬ様子を
感じ取った犬女ちゃんは後を追った。
お嬢様も夏希も、その後を追う。


犬女ちゃんは純心が心配だった。
今の純心は、犬女ちゃんにとっても忌まわしい、
あの男の姿にそっくりだと感じていた。


生徒会長はその場をおさめるため残ったが、
副会長のルイは面白そうだと思い、
純心のほうについて行った。




純心の頭が痛い原因のひとつは、
過去を思い出そうとすると、
過去を思い出すことを
脳や体が拒絶するため。


そしてもうひとつは激しい怒り、憤怒。
常に頭に血が激しく上り続けているのだから、
頭が痛くなるのは当然でもある。


だが、今の純心が覚えていない過去の経験から、
これまでは無意識のうちに、
怒りの感情を極端に抑え込もうとしていた。
そのため本人は怒っている自覚がなくても、
体は激しく憤怒しているのだ。


純心の闇の原因は、
すべてその過去にあると言っていい。

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