犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

生徒会長といじわるな女(4)

夏希が次の大会に向けて、
自主練を再開しようと
していたときだった。


犬女ちゃんを連れて、
近くの土手に行こうとしていると、
声をかけられた。


「夏希さん、ちょっとお話を
お聞きしたいのだけど、よろしくて?」


夏希が振り返ると
そこに立っていたのは
生徒会長の薫と副会長のルイだった。


「そういえば、県体出場ですってね、おめでとう。
是非、我が校のために頑張っていただきたくてよ。」


陸上部で県大会出場の夏希は、
学校から期待されていたために、
生徒会長も当然よく知っていた。


夏希はどきどきしていた。
犬女ちゃんを連れて、
純心の家から出て来たところを、
見られてしまった。


純心が犬女ちゃんと
一緒に暮らしていることがバレれば、
学校を退学になってしまうかもしれない。
自分のせいで純心を退学させるわけにはいかない。


ここはなんとしてでも
誤魔化さなくてはならなかった。
夏希はどきどきしながら、
必死に考えた。


「その犬女はどうされたのでして?」
夏希は心臓が止まるかと思った。


「あ、あぁ、
うちで飼っている
犬女ちゃんなんですよ。
可愛いでしょう?」


以前から何かあったらうちで
引き取ろうと言っていた
母親の言葉を思い出し、
とっさに夏希はそう言い訳した。


「自主練にも付き合ってもらったりもしるんですよ。
い、一緒に走ってもらうと、早く走れるんです。
い、今もこれから一緒に自主練に行こうとしてたんです。」


夏希は嘘に信憑性を持たせるために、
細かい情報を織り込んだ。
夏希は背中にいやな汗を
かいているのがわかった。


「まぁ、
それは随分変わった
練習方法でしてね。
初めて聞きましわ。
夏希さんが足が速いのには、
そんな秘密がありましたのね。」


生徒会長はちょっと気が利いた
ことを言ったぐらいの感じで笑った。


「…はは、そ、そうですね」


夏希は顔を引きつらせながら、
一緒に笑ってるフリをした。
ここはなんとか乗り切るしかない。


生徒会長は
咳払いをひとつして、本題に入った。


「今、そちらのお家から
出ていらしたようですけど、
何をされていらしたのかしら?」
夏希は再び心臓が止まる思いだった。


「おかあさんが、
一人暮らしの純心を心配していて、
ときどき様子を見に行って来いなんて
言われるんですよ。
お母さんがつくったご飯とかも
よく持って来たりしてるんですよ、あははは」


「ほら、うちら幼馴染なんで、
まるで兄弟みたいなものなですよ。
不順異性交遊とか、そんなのとんでもない、
絶対ないですって、あははは」


会長は冷静を装いながら、
夏希の話を頷いて聞いていた。




その後も、いろいろ質問が続き、
お嬢様のことも聞かれた。


「海外赴任中の純心のご両親が、
遥さんの親御さんと知り合いで、
面倒をみてくれと
頼まれたんじゃないですかねえ、あはははは」


お嬢様の金髪碧眼と、
純心の親が海外赴任していることを結びつけて、
夏希適当に話をつくった。
本人的には結構よく出来たと思っているようだ。


「そうなのでしてね。
しかし、一人暮しの男子の家に、
頻繁に出入りしているのは、
あまり感心できませんことでしてよ。」


生徒会長はやきもきした気持ちを押し隠し、
極めて冷静であるかのように振る舞った。


ずっと横で黙って聞いていたルイは、
それを内心面白がっていた。


「も、もちろん、
これは生徒会としての忠告ですから、
こ、個人的な感情とかは一切ありませんでしてよ。」


しかし誤解されたくないと思った
生徒会長の一言で、
そこそこ台無しになっていた。




夏希は早く解放されたくて
仕方がなかったが、
ここでなんとか納得して
帰ってもらわないと、
また来られても困るため、
必死に頑張った。


ようやく生徒会の二人を追い払い、
犬女ちゃんとの自主練を終えて帰るとき、
生徒会の人が、
まだ純心の家の近辺に
いるかもしれないと夏希は思い、
犬女ちゃんを一旦夏希の家に連れて帰った。






生徒会長は不本意ながらも、
多少納得はしていた。


しかし副会長のルイは、
まったく騙されてはいなかった。


『あの犬女ちゃんは、
いい玩具になりそうね。
もうちょっと本気で
調べてみようかしら。』


ルイはいじわるそうな笑みを浮かべた。

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