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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

純心と転校生

「純殿、絶世の美少女が転向してきたと、
学校中で噂が持ち切りなのをご存じですか、な」
「アイドル以上の美少女だそうですぞ」
「理想的なのは妹キャラ、だよね」


三馬鹿トリオと校内を移動していると、
メガネがそんな話をはじめた。


「ほら、あの教室ですぞ」


美少女転校生がいるという教室には
人だかりの山が出来ていた。
人だかりの山というよりは、
ほぼ男子の山だが。


騒ぎを聞きつけて、
純心が苦手な生徒会長の薫と役員のルイも
様子を見に来ていた。


純心が教室を覗くと、
金髪碧眼で、光輝くオーラを放つ、
朝散歩のお嬢様・遥がそこに居た。
『ええええええ!』


今朝、犬女ちゃんの散歩で会ったときには、
確かに今日から新しい学校に
転校すると言っていた。


しかし純心はこんな田舎の、
普通の学校に転向してくるとは思っていなかった。
もっと良家のお嬢様が行く学校だと思っていたのだ。
この近辺にも名門校はいくつもあった。


これから、あの純心のマドンナである遥と
同じ学校生活が送れると思うと嬉しくて、
飛び上がって叫びたいぐらいの気分でもあった。


一方で、自分だけの心のマドンナが、
学校中のマドンナとなってしまった、
競争率が一気に上がって、
自分に全く勝ち目がなくなってしまった、
というがっかりした気持ち、絶望感もある。


この先、自分の憧れのマドンナを誰かに取られ、
その姿を卒業まで、切ない気持ちで
見続けなくてはならない自分。
なんという苦い高校生活であろうか。


というようなネガティブな妄想を繰り広げていた。
どうも純心はお嬢様のことになると、
ネガティブ妄想が止まらなくなるようである。


***


いや、待て待て待て待て。


それよりも何よりも、
彼女は、俺が犬女と暮らしていることを知っている、
この学校で唯一の存在ではないか。


まずい!非常にまずい!


なんとしてでも、
早々に彼女に口止めしなくては。
俺と犬女のことを、
学校の誰かにしゃべられでもしたら、
即退学になってしまうではないか。


しかし、この場で彼女に
声を掛けるわけにはいかない。


生徒会の薫とルイもいるし、
三馬鹿トリオもいるし、
その他大勢のモブ男子だって山ほどいる。


こんなところで彼女に声をかけようものなら、
目立って、目立って仕方がない。
これから俺のこと注目してくださいね、
と自ら名乗りを上げるようなものだ。
生徒会長のマークだって、
今以上厳しくなるに決まっているではないか。


俺はただひたすら目立たないようにして、
この先、卒業まで静かに、
退学にならないように、
学園生活を送りたいだけなのだ。


頼むから、俺に静かな学園生活を
送らせてください。お願いします。


となると、
ここはまずこのままやり過ごして、
明日の朝、散歩で会ったときに、
誰にも言わないでくださいと、
土下座してでもお願いするしかない。


***


ということを一瞬で考えた純心だが、
その目論見は一瞬で崩れ去った。




「純心さん!」
「やはり同じ学校だったのですね。
そうだったらいいなぁと思っていたのです。」


お嬢様が先に純心を見つけ、声を掛けたのだ。
その場にいた大勢の視線は、一気に純心に向けられた。


『終わったー』
『俺の学園生活、マジ終わったー』


その場の一同は、一気にざわめいた。
「じゅ、純殿、あんな美少女と知り合いとは
どういうことですか、な」
「国民的アイドルレベルですぞ」
「妹キャラじゃないけど、だね」
三馬鹿トリオも騒ぎ立てる。


こうなってしまっては、
もはやこの場から彼女を連れ出すしかなかった。
この場で、犬女ちゃんの話でもされれば、
一発退学間違いなしだ。




「遥さん、ちょっといいですか」
純心は、慌てて遥の前に行き、
お嬢様の手を取り、その場を抜け出した。


はじめて手をつないだのだが、
純心はもはやそんなことを
気にしている余裕もなかった。
お嬢様は顔を赤らめながら、
照れながらついて行った。


その場に居た大勢は「おぉっ」と
声をあげてざわめいた。
その後、転校生に
早速告白した挑戦者がいると、
学校中の噂になった。




純心は屋上までお嬢様を連れて行き、
二人きりであることを確認すると、
ことの次第を説明した。


「この学校は風紀が厳しいので、
俺が犬女と一緒に二人きりで暮らしていことがバレたら、
退学になってしまうかもしれないんです。」


「だから、お願いですから、
どうか犬女のことは、誰にも言わないで、
秘密にしておいてもらえませんか?」
純心は誠意を込めてお願いした。




「わかりました。
犬女さんのことは誰にも言いません。」


「でも随分と酷い話ですのね。」


「犬女さんは、今では
お年寄りの心の癒し、
メンタルサポートをしたり、
身体の不自由な人たちの手足の代わりになる
介助犬として活躍してくれたり、
盲導犬や聴導犬として働いたり、
人間のサポートをしてくれる、
人間のパートナーですのに。」


犬女が人間のパートナー。
純心はそんなことを考えたこともなかった。


そしてお嬢様は、見た目だけではなく、
心も本当に美しいお嬢様であると知った。




***


この後、純心は、生徒会長や三馬鹿トリオ、
ほぼすべての全校生徒に説明責任を追及されることになる。
嘘を吐いてみなを納得させるのに四苦八苦する純心であった。




一方その頃、
純心の悩みの種である犬女ちゃんは、
家の縁側でほっこりお昼寝をしていた。

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