犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと遅すぎたメール

濡れたリビングを拭いて、
なんとかひと段落した純心。
犬女ちゃんのために必要な物を
買いに行く必要を感じる。


しかし今が春休みで
本当によかったと思う。
これが学校がある時なら、
犬女ちゃんのために
学校を休まなくては
いけないレベルだ。


スマホが鳴ったので、
確認すると
母親からのメールであった。


「明日から毎朝、
散歩に連れて行ってあげてね」


メールにはそれだけ書かれていた。


『注意事項ってそんだけかよ』


純心は母のいい加減さに脱帽する。


『ちょっと待ってよ。
散歩ってめちゃくちゃ
ハードル高いだろ。
こんな普通の
女の子みたいなこいつに、
首輪つけてリード
引っ張って歩いてたら、
確実にハイレベルな変態だろ。
未成年に関する条例とかで
逮捕されるやつだろ、それ』


純心はさらに気が重くなった。




そんな純心のもとに、
犬女ちゃんがやって来て、
わんわん鳴いて、
何かを必死に訴えかけている。


「うん?なんだ飯か」


どうもそういう雰囲気ではない。
なんだか顔を赤くして、
うーと気張っている。
純心は物凄く嫌な予感がした。
赤ちゃんが、うんちをする時、
よくそういう感じになる。


「ちょっと待て、ちょっと待って」


『落ち着け自分、落ち着け』


犬女ちゃんに言い聞かせるとともに、
自分にも言い聞かせる。


『犬用のトイレがない時は、
どうするんだ?
新聞紙なのか?
高校生の一人暮らしが、
新聞取ってるわけねえだろ!』


もはや自問自答してツッコミまで
自分でするレベルだ。




純心の機転により、
準備された大きな
段ボール箱の中に入って、
用を足す犬女ちゃん。


段ボールというのは
ナイスアイデアだった。
側面が見えないため、
レディが用を足してしている
姿を見ないで済んだ。


『どんなに可愛くても、
うんこはダメだわぁ、引くわぁ
家のリビングで
うんこの匂いするとかないわぁ』


純心がそう思っていると、
用を足したレディが、
段ボールから出て来た。


純心があれこれ考えていると、
可愛いお尻が純心の
顔の前に突き出された。


「はっ?」


『いやいやいや、さすがにそれはないっしょ』


「犬女さん、
一体何をしてやがりますか?
十八歳未満が見てはいけないものが、
思いっきり見えそうなんですが」


純心は大事なところが
見えないように、
顔を横に向けていた。


それでも犬女ちゃんは、
その可愛いお尻をさらに突き出して来る。


『この犬女、本当に痴犬女なのか?』


「顔にうんこ付きそうなんですけど」


純心はそう言った時に
はじめて意味を理解した。
純心にお尻を拭け、
と言っているのだ。


犬女は手が犬と
同じ様になっているため、
手で道具を使うことが出来ない。
当然犬女ちゃんも
お尻を拭くことが出来なかった。


犬とか動物を飼ったことがない
純心には相当に高いハードルだった。


『うんこした尻拭くとか
ないわぁ、まじないわぁ』


純心は大事なところが見えないよう、
目をつぶってティッシュで拭こうとする。


手にぬるとした感触があり、
犬女ちゃんがワンと吠える。
純心に向かってワンワン吠え続けて、
苦情を訴え掛けている。


目をつぶっていたため、
どうやら触っては
いけない大事な場所に、
触れてしまったようだ。


とは言え、直視するのは、
童貞には刺激が強過ぎると判断した純心は、
犬女ちゃんの顔前にポジションを取り、
そこから手を伸ばして、お尻を拭き、
なんとかミッションをクリアした。


『うんこした尻拭くとか
ないわぁ、まじないわぁ』


見た目は抜群なのだが、
中味はそのまま犬という、
残念な犬女ちゃんを、
純心は次第に馬鹿犬と
呼ぶようになっていく。




スマホが再び鳴って、
再度母親からのメールが届く。


「水洗トイレとウォシュレットの
使い方、教えてあげてね。
教えてあげれば、
ちゃんと使えるようになるから。」


「遅えんだよ、ババア!」
純心はスマホを放り投げた。











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