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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんと純心の匂い

おばあちゃんの家にいた犬女は
親戚のみなから
『犬女ちゃん』と呼ばれていた。


親戚の話によれば、
近所のおばさんが、
飼い主を亡くした
身寄りのない犬女の子供がいるから、
もらってあげてくれないかと、
おばあちゃんに言ってきたらしい。


「この子は?」


おばあちゃんが
犬女の子供見て尋ねると、


「おばあちゃん、
この子は犬女なんですよ」


近所のおばさんはそう答えた。


「まぁ、
『犬女ちゃん』ってお名前なのね」


おばあちゃんは
犬女という種族名を
名前だと勘違いしたようだ。
それ以来おばあちゃんは、
犬女の子供を
『犬女ちゃん』と
呼ぶようになったそうだ。


純心は、おばあちゃんが
犬女の子供を育てていたなど、
全く知らなかった。
おそらくは、
純心達が家を出て行って、
おばあちゃんは、ひとりぼっちで
寂しかったのだろう。
純心はそう思うと
少しせつない気持ちになった。


犬女ちゃんも、おばあちゃんに
大変よくなついていたそうで、
おばあちゃんが亡くなる時も、
この犬女ちゃんが
ずっと添い寝をしてくれていて、
それでおばあちゃんは
安らかな顔で逝けたのだろうという話だ。


服を着ていて今は見えないが、
犬女ちゃんの胸の下あたりには
傷があるらしい。
それもおばあちゃんが
崖から落ちそうになったのを
助けようとして、
出来た傷だということだ。


純心は、
犬は忠誠心が強いというが、
犬女も忠誠心が強いのかと
素直に感心した。


「どれどれ、どんな傷か
ひとつ見てやろう」


親戚の叔父さんが、
冗談半分でそう言ったら、
奥さんに物凄い勢いで怒られた。


『やれやれ
どうりで叔父さん達が
そわそわしていたはずだ。
そりゃこんなJKみたいな姿をした
美少女の犬女がいたら、
鼻の下を伸ばして、
デレデレするのも無理はない。』


純心はそう思った。




それから、
親戚一同は、犬女ちゃんを
誰が引き取るかで揉めはじめた。


叔父さん達は、
若い犬女ちゃんに興味津々であった。
しかしその奥さんやおばさん達は、
当然ながら
自分の家に引き取ることに
猛反対していた。


「家で犬女を飼っているなんて
ご近所に知られたら、
どんなに恥ずかしいことか」


「白い目で見られてしまいますわ」


この社会の感覚でいけば
当然そうなるだろう。


「やはり保健所行きですかね」
保健所に行けば、
貰い手がいなかった場合、
犬女ちゃんは殺処分されてしまう。
貰い手も、本当に
いい人に貰われるならいいが、
変な人に貰われた場合は、
酷い目に合うことはお察しだった。
さすがに一同も保健所行きには
心苦しさを感じ、躊躇っていた。


「おばあちゃんも随分と厄介なものを
残していってくれたもんね」


叔母さんの一人がそう言った。
おばあちゃんが悪く言われて、
純心は内心少しむっとした。




そこにちょうど、
席を外していた叔母さんが、
葬儀社との打ち合わせから戻って来た。


「あら、犬女ちゃんなら、
純ちゃん家で引き取るって、
あや子さん言ってたわよ」


「はぁっ!?」


純心は思わず大声を上げた。
あや子は確かに
母親の名前ではあるが。


「な、なんでですか?
俺そんな話一言も聞いてないですよ」
純心は思いっきり動揺していた。


「さっき、
あや子さんから電話があったから。
純ちゃんにはまだ
言ってなかったんじゃないかしら。」


『いや確かにあのおふくろなら、
そういうこともあるかもしれない。
しかし現在絶賛一人暮らし中の俺が、
こんな見た目美少女JKの犬女と
二人きりで暮らすとか有り得ないでしょ!』


純心はなんとか
この危機を乗り越えようと必死だった。


「あら、いいじゃない、あんた昔は…」


叔母さんが説得しようとしていた時、
別の叔母さんがとどめの一言を放った。


「まぁ、
おばあちゃんの形見だと思えばいいじゃない。
あんた、おばあちゃん子だったんだから。」


純心は一番痛いところを突かれた。


『おばあちゃんの形見』という言葉は
純心にとっては殺し文句だった。


それにこの犬女ちゃんが、
おばあちゃんを事故から助けてくれ、
さらに看取ってくれたというのなら、
大恩ある人、いや犬女だから
無下にするわけにもいかなかった。


親戚一同に押し切られる形で純心は
犬女ちゃんを引き取ることになってしまった。




純心のもとに
連れて来られた犬女ちゃん。
改めてよく見てみても、やはり
非情に整った顔立ちをした
美少女顔であった。
大きいくりくりした瞳を
きらきら輝かせて、
嬉しそうに尻尾を振りながら、
純心をじいっと見つめている。


純心は思わずドキッとした。
見つめられ、照れて顔が赤くなり、
耳まで熱くなっているのがわかる。


だが、犬女ちゃんは
純心のそばに近寄ってくると、
その美少女顔を股間に近づけ、
くんくんと匂いを嗅ぎはじめる。


「うわ、なんだこいつ」


純心は慌てふためく。
犬は人の匂いを嗅いで、
その人のことを調べるという。
おそらくは純心のことを
調べたのだろうが、
純心からすると
ただの痴犬女にしか思えなかった。


こうして純心は犬女ちゃんと
一緒に暮らしはじめることになる。


犬女ちゃんは、
大好きだったおばあちゃんと
ずっと暮らして来た家を
離れるのが嫌で、
鳴きながらいつまでも
動こうとはしなかった。


しかし
純心がもう放っておこうと歩きはじめると、
犬女ちゃんはその後を追ってついて来た。


犬女ちゃんは、
大好きだったおばあちゃんと
同じ匂いがする純心のことが
気に入ったようだった。

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