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犬女ちゃん -見た目は美少女、知能は犬並みー(旧題:犬女ちゃんとピュアハート)

ウロノロムロ

犬女ちゃんとおばあちゃん家

春、桜の舞い散る頃。
純心じゅんしん
『犬女ちゃん』に出会ったのは
そんな季節だった。


純心は、急逝した
おばあちゃんの家に
向かっていた。


純心もかつて小さい頃に、
暮らしていた
おばあちゃんの家に。


おばあちゃんの家を
訪れるのは小さい頃以来、
久しぶりのことだった。




純心は、この春
高校二年生になる十六歳。
田舎の私立高校に通っている。
今はちょうど春休みだ。


現在の両親はともに
仕事で海外に赴任しており、
家では一人暮らしをしている。
今日も両親がどうしても
帰国出来なかったため、
一人でおばあちゃんの
お通夜に来ることになった。




おばあちゃんの家には
すでに親戚が集まっている。
田舎によくある
敷地が広くて、庭が広い家。
小さい頃は、
幼馴染の夏希と一緒に
庭を走り回っていたものだ。


門の前では、
叔母達が立ち話をしている。
叔母達は純心の顔を見ると、
懐かしそうに声をかけて来た。


「あら、純ちゃん、
久しぶりだねえ。
ちょっと見ないうちに
すっかり大きくなっちゃって」


「あんたは
おばあちゃん子だったからね。
あの時はいろいろと
大変だったみたいだけどねえ…」


「ちょっと、
昔の話はいいじゃない」


親戚の反応は
だいたいこんな感じだった。
みんな昔の話を避けたがっている。


昔、本当の親父とおふくろと、
おばあちゃんの四人で
この家に暮らしていた。


その頃の純心は
おばあちゃんが大好きで、
いつもおばあちゃんに甘えてばかり。


当時、人見知りで
暗くて友達がいなかった自分と、
いつも一緒に遊んでくれたのが
幼馴染の夏希だった。
純心は夏希のことを
兄弟のように思っている。


しかし、
本当の親父が死んで、
おふくろが、今の父親と
再婚することになって、
自分を連れてこの家を出て行った。


『まぁ、あのおふくろのことだから、
親戚とよっぽど揉めたに違いない』


親戚が昔の話をしたくないのも
わかるような気がする純心。




おばあちゃんの
死に顔は思った以上に、
安からそうな顔で純心は安心する。


この広い家に一人で暮らしていて
逝ってしまったから、
もっと寂しそうな顔を
しているのではないかと思っていた。


純心の幼い頃の思い出といえば、
ほとんどがおばあちゃんと
夏希のものばかりだった。
生前のおばあちゃんを
思い出して純心は泣く。




お通夜が終わり、
お清めの席で、
純心は少し雰囲気が
おかしいことに気づく。


なぜか親戚の叔父さん達が、
妙にそわそわしており、
時々ひそひそ声で
「犬」と言っているのが聞こえる。


しかし、誰かが犬でも
連れて来ているのだろう、と
純心はあまり気にもしていなかった。




しばらくして純心がトイレに行くと、
台所からなにやら声が聞こえてくる。


「ほら、
いい子だから、 こっちにおいで」


「なんにしもしなから」


純心が不思議に思い、
台所を覗くと、
親戚の叔父さんが慌てふためく。


まるでなにかやましいことでも
していたかのようだ。


叔父さんは慌てて純心に
言い訳をしはじめる。


「いやぁ、
犬女なんて珍しいだろう」


「珍しくてつい、
かまってしまってね」


純心が目をやると、
台所の片隅には、
犬女がお座りして
尻尾を振っていた。




犬女。
見た目は人間の女と
ほとんど同じだが、
知能が犬並み。
犬の耳と尻尾を生やし、
手足は犬。
言葉が通じず、
道具も使えないため、
社会からは
犬と同じ扱いを受けている。


その犬女は
黒髪のショートヘアで、
ホットパンツを履いて、
ヘソと胸の谷間が見える
デニムのノースリーブを着ていた。
見た目も純心と同じ
高校生ぐらいの年齢に見える。


叔父さんの話しを聞くと、
どうやら死んだおばあちゃんが
飼っていた犬女らしい。


犬女はハッハッと呼吸しながら、
尻尾を振っている。
そして、その大きなくりくりした瞳で
純心の顔をじっと見つめていた。











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