おっさんが転生したら、寝取られた元嫁と寝取った間男の息子だった件

ウロノロムロ

二度もおっさんやる奴とかそうそうおらんやろ?

結局、高校を辞めることを
思いとどまったたっくん。
高校野球部も最後まで続けて、無事に卒業。


その後は、家から通える距離圏にある
学費が安い国公立大学に入学し、
奨学金をもらいながら大学に通う。
空いている時間はすべてバイトを入れ、
稼いだお金は学費や生活費の足しにした。


おとうやんが死んでしまってから
暮らし向きは質素にならざるを得なかったが、
たっくんもおかあやんも一緒にいられれば
それは大した問題ではなかった。


おかあやんは、いろいろあったが
結局死んだおとうやんの会社で
事務員として働くことに。
その後も再婚はしていない。


たっくんは結局、
おかあやんの希望を受け入れながらも
極力おかあやんに負担をかけないで済むように
道を切り開いて進んで来た。


転生エージェントであるゼウスから
何一つ能力などを授からずに
転生したたっくんだったが、
この時のことを思うと、
いざという時に発揮されるチート能力が
実は備わっていたのではないかと思えるらしい。
火事場のクソじから的な。


それぐらい自分でも信じられないほど
頑張れたということらしい。


-


大学を卒業した後は
一般企業に就職し十年近く勤めた。


最近、その会社を辞め、
おとうやんが死んだ後に
滝野さんが継いだ形になっていた
おとうやんが創業した会社に勤めることになった。


滝野さんは
『自分もそろそろ年だから、
隠居して後を若い者に任せたい』
と口癖のように言っているらしいが、
おかあやんが言うには
『後二十年ぐらいは元気に働いているに違いない』
ということだ。


-


そしてなによりも意外なことに、
現在たっくんは結婚しており奥さんがいる。
もちろん相手はおかあやんではない。


ニ周目の人生を中のおっさんが前向きに考えた結果、
そういうことになったようだ。


それは前世のように情熱的な恋愛ではなかったが、
それでも出会った瞬間に、
この人が今世での結婚相手だとたっくんは悟った。


奥さんはショートカットに眼鏡で
普段は無口という地味な印象の女性だが、
実際は眼鏡を外すと美人であったり、
二人だけの時は可愛いかったり、甘え上手だったりと、
夫婦でなければ知らないことはいっぱいある。


結婚をするつもりだと紹介した時、
おかあやんは焼きもちをきまくったが、
二人の結婚には反対しなかった。
なお、おかあやんの焼きもちは
現在進行形で妬かれまくっている模様。


奥さんは自分も早くに母親を亡くしおり、
父親に男手ひとつで育てられたため、
たっくんとおかあやんの関係に理解を示してくれている。
そういうところがないと、
この母子おやこの家族になるのは
ちょっと難しいところがあるだろう。
ちなみにその父親もすでに亡くなっている。


筋金入りの焼きもち妬きなしゅうとめがいるのに、
文句も言わずにやってくれている奥さんを
本当によく出来た女房だと真剣にたっくんは思う。




「私も早く孫の顔が見てみたいわ」


姑の常套句のようなことを言い出すおかあやん。
年のせいなのであろうか。


「すいません、お義母かあさん。
私が不甲斐ないばかりに」


申し訳なさそうにする奥さんを
横からフォローするたっくん。


「まぁまぁ、おかあやんもそんなこと言わんと
これでもワイも頑張ってるんやけどなぁ……」


その一言がおかあやんの
焼きもちスイッチを押してしまったのか。


「が、頑張るって……
まさか、たっくんもあんなことを……」


「あかん、あかんわ、たっくんは
あんなことなんてしたらあかん」


「あんた達の赤ちゃんは
コウノトリが運んで来るんやから
あんなことなんてしたらあかん」


「そうやなかったら、
キャベツ畑で生まれてるんやから
あんなことなんてしたらあかん」


まさかおかあやんも
いい年したおっさんの息子が、
本気であんなことをしていないと
思っているわけでないのだが、
焼きもちスイッチが入ってしまうと
とんでもないことを言い出したりする。


そしてそのとんでもない内容が
結構おっさんの言うことに似ていたりもする。


まさに『この親にしてこの子あり』ということなのか、
それとも元は夫婦なので『似た者夫婦』なのか、
よくわからないところではあるが。




  おかあやん、言うてることがメチャクチャやで


  自分達の時は
  ワイが寝てる横で堂々とやりまくってたのに
  よう言うわ、ホンマ




後で奥さんをケアするたっくん。


「おかあやんがいつもあんな感じで、すまんな、ホンマ」


たっくんは前世での反省を踏まえて
奥さんへのケアやフォローには心を配り、
何事にもお互いが納得するまで話し合い、
理解を深めようと心がけ、努めるようにしてはいた。


「大丈夫。
義母かあさん、いつもは優しくしてくれてるのよ。
あなたのこと以外では……」


もうその言葉だけでいろいろと察してしまうたっくん。


「お、おう、すまんな」


ちょっと今回はいろいろと聞くのがこわすぎて
深入りすることが出来なかった模様。


-


  ワイついに二度目の人生でも
  おっさんになってしもうたわ
  二度もおっさんやる奴とかそうそうおらんやろ?


  もうじきワイが前世で死んだ年を越してまうやんけ
  その先はワイも経験したことがない年齢てことやな


  元お嫁ちゃんのおかあやんとは
  前世で夫婦だった年月よりも
  今世で母子おやこでいる年月のほうが
  遥かに長くなってしまったしな……




  そもそも、ワイももう
  たっくん呼ばれる年ちゃうんやけどな


  『たっくんの中のおっさん』が
  『おっさんの中のおっさん』になってしもうたわ


  ……


  『おっさんの中のおっさん』ってなんやねん?


  おっさん オブ おっさん
  『King of おっさん』『No.1 おっさん』
  みたいになっとるやんけ!
  ワイはおっさんの王者か!


  あれか、おっさんトーナメントみたいなんがあって
  誰が最強のおっさんか決めるみたいな奴なんか?
  でも力勝負やとワイ勝たれへんぞ


  あれか、おっさんぽさでNo.1決めるんやな?
  それならワイも勝てるやろ
  なんせ二度目のおっさんやからな
  二度もおっさんやる奴とかそうそうおらんやろ?


  結局そこに戻っとるんかい!




たっくんの中のおっさん、相変わらずと言うべきか、
身も心もおっさんになったと言うべきなのか。










 


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