おっさんが転生したら、寝取られた元嫁と寝取った間男の息子だった件

ウロノロムロ

こんなブサイク、どこがええんや?(ブーメラン

はっきりといろんなものが
見えるようになって来たおっさん赤ちゃん。


「たっくん、今日は大人しいな」


こちらをを見ているおとうやんの顔を
改めてまじまじと見つめるおっさん赤ちゃん。


今はおとうやんではあるが、
自分からお嫁ちゃんを奪った男でもある。




  しっかし、ブサイクやなぁ


  強面コワモテのヒゲダルマで、
  ガッチリしたいかつい体型、
  まるで戦国武将やんけ


  お嫁ちゃんもこんなんのどこがよかったんやろ?


  こんなんきっと、夜とかもうただの野獣やろ?
  単なるセックスマシーンやろ?


  はっ!? まさか
  荒々しくて力強い、
  激しい性獣みたいなところがよかったんか?


  グホッ!


  あかん、
  あやうくまた吐血しそうになるところやった
  いらん妄想して、
  自ら傷口に塩塗って行くスタイルやぞ




  んでも
  そもそもコイツどこの馬の骨やねん


  毎日仕事に行く言うて出掛けとるから
  ちゃんと働いてはいるようやけど、
  何の仕事しとんねん?


  まぁこのごっつい体やから
  ガテン系かなんかやろうけど、
  妙にコワモテでいかついしな
  コワモテのブサイクとか最悪やんけ


  はっ!? まさか
  堅気カタギじゃなかったりするんか?
  ご、極道とか?


  あかんがな!
  お嫁ちゃんがリアル極妻ごくつまになってまうやん!


  極道モンにワイのお嫁ちゃんは渡さんぞ(震え


  はっ!? 
  よう考えたら、ワイも極道の息子になるやん
  ワイ、将来組の後とか継いだりするんか?


  そんなん抗争とかになったら、
  鉄砲玉がタマとりに来たりするやん!


  そないなったら、おちおち寝てもおられんやろ
  お嫁ちゃんがまた寝不足になるがな!


  いややぁ〜!
  そんな修羅の道はいややがなぁ~!




おっさん今日も元気に妄想に余念がない。
ここまでの奥さんに頭が上がらなそうな
おとうやんの感じからして、
極道ではなさそうなことぐらい
わかりそうなものなのだが。




  それとなぁ、
  ずっと気になとったんやけど
  なんでコイツだけ標準語やねん?
  ホンマ、好かんわぁ


  そもそもここどこなんや?
  関西違うんけ?
  東京なんて言われたら、ワイ蕁麻疹じんましんでるわ




おっさん、よくよく考えてみると
あまりに知らないことが多過ぎる。


元嫁が存在している以上、異世界などではなく
前世の自分が住んでいた世界
ということは間違いないだろうが、
それ以外のことはまったくもってわかっていない。


もっと早く気にしてもよさそうなものではあるが、
今までは見ることすらままならなかったのだから
仕方ないと言えば仕方ない。




  このブサイクが
  どこの馬の骨かさぐらなあかんな




おっさん赤ちゃん、
これから成長とともに徐々に
新生活のこと、今のおとうやんである人物のことを
知っていくことになる。


-


そんな折、おかあやんの母親と父親、
つまり今の爺ちゃんとお婆ちゃんが
赤ちゃんに会いに家へと遊びに来た。


「あら、今日は赤ちゃん起きてるみたいね」


お爺ちゃんお婆ちゃんが
おっさん赤ちゃんを覗き込む。




  これはこれは
  お義父とうさん、お義母かあさん
  大変ご無沙汰しておりましたなぁ
  お二人ともお元気そうでなによりですわ


  いやぁ、こんな格好ですんませんなぁ
  なんかワイ転生してもうて
  今は赤ちゃんなんぞやってるんですわ




前世のおっさんからすれば、義父と義母であっただけに、
おっさんにはまだ今の自分のお爺ちゃんお婆ちゃんだという認識はない。


元気そうな孫の姿に顔をほころばせながら
見守るお爺ちゃんとお婆ちゃん。


「しかし、ホンマ、たっくんはパパによう似とるわ」


「そうやな、パパそっくりやなぁ」




  えぇぇぇぇぇ……


  ワイ、こんなブサイクに似とるんか?


  ワイ、こんなブサイクなんか?




おっさん赤ちゃん、ここまで確かに
鏡で自分の姿を見たことがなかった。




  なんでやねん!
  なんで、お嫁ちゃんに似なかったんや


  美人で可愛いお嫁ちゃんに似たら
  ワイ、めっちゃイケメンになれてたやんけ


  イケメンやったらめっちゃ人生イージーモードやろ?


  女子にもキャーキャー言われてモテモテやろ?
  べ、別にワイはお嫁ちゃん一筋やから
  女子にモテなくてもかまへんけどな(震え


  それでも顔はええに越したことはないやろ
  いろんな人からも好かれやすいし
  人間、第一印象っちゅうもんは大事やろ


  せっかく転生したのに
  なんで顔面偏差値がハードモードやねん!


  そこはイケメンオプションつけろや
  クソボケオカマジジイが!




おとうやんのことを散々ブサイクと罵っていたら、
盛大に特大ブーメランが返って来た訳だが。




  お、男は顔ちゃうし、ハートが肝心やし(震え


-


家の中に居るだけではなく、外出する機会も
徐々に増えて来るおっさん赤ちゃん。
もちろんまだベビーカーに乗せられてのお出掛けだ。


はじめはベビーカーに乗るのにも
違和感しかなかった赤ちゃんの中のおっさん。




  ワイを御車おくるまに乗せて
  お嫁ちゃんがワイの御車を押して運ぶやて?


  あかんわ
  そんなことお嫁ちゃんにようさせられんわ


  そんなん、ワイ自分で歩くわ




自分で歩けないからベビーカーに乗るのだが。




「俺がベビーカー押すから」


たまたま仕事が休みで家に居たおとうやんも
どうやら一緒にお出掛けするらしい。




  そうや! お前が押さんかい!
  お前なら、ワイの御車押させても心が痛まへんわ




しかしおっさん、おとうやんに
ベビーカーを押してもらっていても
次から次へと不満が溢れ出して来て、
留まることを知らない。




  ガタガタさせんなや、ボケ!
  段差とかいろいろ丁寧にやらんかい!
  ホンマ、気の利かんやっちゃで!




近所の公園まで行くと、
おかあやんが出産時の病院やら検診やらで知り合った
ママトモダチが子供を連れて遊びに来ていた。


「あら、たっくん、久しぶりやねぇ~」


おかあやんのママ友達は
おかあやんに抱っこされた
たっくんの顔を覗き込みながら
次々と話掛けて来る。


ママ友達は再婚して初産だった
おかあやんよりもはるかに年下の若いママ達ばかり。
中には二十歳ぐらいにしか見えないママもいる。




  いやぁ、若いお母さん達ばっかりやな
  これやとお嫁ちゃん最年長なんと違うか?


  しかもなんかあれやな
  いろいろとあかんな
  なんか知らんがみんな
  巨乳グラビアアイドルみたいなことになっとるな




「ちょっと、抱っこさせてもらっていい?」


ママ友の一人が赤ちゃんを
おかあやんから手渡される。




  はっ?


  奥さん、あきません!


  こんな白昼堂々、昼日中から公衆の面前で
  他人ひと様の奥さんと抱き合うやなんて




おっさんは咄嗟に何かあると
自分が今は赤ちゃんだということを忘れるらしい。


「やーん、かわいい~」


おっさん赤ちゃんの顔には
ママ友さんの豊満な胸が押し付けられる。




  ええんか? ええのんか?
  こんな破廉恥ハレンチなことして大丈夫なんか?


  ……


  ……ええ、感触やなぁ……


  まぁ、ええか……


  いや、あかんがな!


  こんなんで喜んどったら
  お嫁ちゃんに尻の軽い赤ちゃんやと思われるがな!


  他所よそのおっぱいに鼻の下伸ばしてたら
  お嫁ちゃんがっかりしてまうがな!




ここにいるお母さん達、
おかあやんのママ友と言うことは、
全員まだ小さい子供がいるというわけで、
授乳もしていて期間限定絶賛増量サービス中なのだから、
巨乳グラビアアイドルのようなことになっていても仕方ない。




  お、奥さん! いけません!
  やめてつかーさい!


  そんな、たゆんたゆん、ばいんばいんを
  ワイに押しつけるやなんて……


  ワイの顔を胸の谷間に埋めさせるやんなんて……


  ワイにはお嫁ちゃんという立派なおかあやんがおるんです!




他所のお母さんに抱っこされて、
顔を真っ赤にして興奮しながら
手足をバタバタさせている赤ちゃん。


「私よりも若くて大きいおっぱいで、喜んでるんと違うかしら」


おかあんやんはニコニコ笑顔で
そんな冗談のひとつも言ってみせる。
我が子が他の母親に可愛いがってもらっているからと言って、
嫉妬するような母親はいない。
そこはやはり自分がお腹を痛めて生んだという
絶対的な自信があるからなのか。


それはさて置き、この家族
三人の中で一番貞操観念にこだわりを見せるのが
赤ちゃんであると言うのはいかがなものであろうか。




「可愛いわね~」
  



  ホンマっすか?
  ワイ、可愛いんですか?




「ホント、お父さんそっくりやね~」


ママ友さん達の言葉に一喜一憂する赤ちゃの中のおっさん。




  こんなブサイクに似とったら、可愛いわけないやろがっ!
  可愛いんか、可愛くないんか、どっちやねんっ!




「お前、随分といい思いしてたなぁ」


後でこっそりおとうやんが
おっさん赤ちゃんに向かってこっそりそんなことを言う。




  はぁぁぁっ?
  誰のせいでこんな心配してると思ってんねん!
  お前に似たブサイクなんか
  ワイは心配で仕方ないんじゃ
  このクソボケがぁ!


  よっしゃ!
  睨みつけたろっ!




「なんだ、たっくん、
そんな凛々(りり)しいドヤ顔して、
俺モテてますアピールしてんのか?」


おとうやん、まさか睨みつけられているなどとは微塵も思ってはいない。


「随分と男前だな、カッコいいぞ」


そう言いながらスマホを取り出すおとうやん。


「せっかくだから写メ撮っとくか、
会社の仲間に男前な息子を自慢しなくちゃな」




  あかん、そう言えばコイツ
  ポジティブなポンコツやったわ




-


それからしばらくお風呂に入る際に、
お風呂場に置いてある鏡で
自分の顔を確認しようと試みるおっさん。


何度かトライして、おかあやんに抱っこされた状態で
鏡に映る自分の顔を目撃することにようやく成功する。




  うーん……
  似とるか?




はじめて鏡で今現在の自分姿を確認したおっさんだったが、
鏡の中の姿がどこか他人事のように思えて仕方ない。
まさか目の前の赤ん坊が今の自分の姿などとは到底思えない。




  似てる似てないどっちにしても
  会社の仲間にスマホで子供の写真見せられて
  リアクションに困る時ぐらいに微妙な感じの顔やな











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