おっさんが転生したら、寝取られた元嫁と寝取った間男の息子だった件

ウロノロムロ

なんでお前がワイのおとうやんなんじゃっ!(怒

赤ちゃんとなって外の世界に出て、
おかあやんの母乳を飲むようになったおっさん。


おかあやんの胸に抱かれ、
母乳を飲んでいる時も至福の一時ひとときだが、
飲み終わった後、赤ちゃんにげっぷをさせるために、
おかあやんに縦に抱かれて、背中をトントンされるのも
おっさん赤ちゃんにはたまらなく嬉しかった。


赤ちゃんはミルクを飲む時、
鼻の穴から一緒に空気を吸い込んでしまい、
その空気を自分で上手く出すことが出来ないため、
母親が手伝ってげて、赤ちゃんに
げっぷをさせてあげる必要があるのだ。




  お嫁ちゃんに抱っこされて
  優しく背中をトントンしてもらえるなんて
  ホンマ幸せやで
  ええのう~




おっさんはおかあやんのことを心の中で
相変わらずお嫁ちゃんと呼んでいる。
おっさんがお嫁ちゃんという呼び方を
諦めるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。




兎にも角にも、
そんな赤ちゃんライフを満喫中のおっさんだが、
オムツにはまだ若干抵抗があった。


身動きが取れない体で、
抵抗ひとつ出来ないまま
下半身をむき出しにされる。


こう書くとまるでエロい三文小説のようだが、
事実なので仕方がない。


ただむき出しにされて出て来るのは、
ゴツくてえげつない何かではなく、
赤ちゃんの可愛らしいウインナーなのだが。




  あ~ これはあかんわ
  そういうマニアからしたら
  感涙ものなんやろうけど
  ワイ、そういう趣味はないから


  ワイが年を取ったらいつか
  お嫁ちゃんには高齢者介護で
  オムツ替えてもらうように
  なるかもしれんとは思とったけど
  まさかこんなことになるなんてな~




人間年を取ると
段々赤ちゃんに戻って行くとは
よく言われていることだ。


身体機能が低下して来るお年寄りは
自分一人で身の回りのことが出来なくなってしまうため、
誰かの手助けが必要となり、
やはり一人では生きていけない
赤ちゃんのようになってしまうということだろう。


-


おっさんがいつものように母乳を飲んでいる時、
元お嫁ちゃんであるおかあやんは、
おっさん赤ちゃんを胸に抱きながら
しみじみと語りかけはじめる。


当然、おかあやんは赤ちゃんが
実は言葉を理解出来ているなど知るはずもないので
ひとり言のようなものなのだが、
その言葉はおっさんの胸に深く突き刺さるものだった。




「私は、ずっとずっと、
赤ちゃんが欲しいと思っとったんやで……


でもずっと赤ちゃんが出来なくてな、
ホンマに悔しい思いしとったんや……


だからあんたがお腹にいるってわかった時は、
ホンマに嬉しくて、嬉しくて涙が出たわ……


ホンマに、生まれて来てくれて、おおきに
ありがとうやで……」




おかあやんは途中から涙声になりながら、
ずっと『ありがとう』の言葉を繰り返していた。


出産後少し情緒が不安定で、
感傷的になっていたのもしれない。


おっさんの胸に刺さったというのは、
お嫁ちゃんの言葉に感激したからではなく
どちらかと言えばむしろその逆だった。


確かにお嫁ちゃんと前世のおっさんの間には子供はいなかった。
というよりは出来なかったと言った方がいいだろうか。




  お嫁ちゃん……


  ずっとそんなこと思ってたんかいな


  ワイ、お嫁ちゃんの気持ち
  ちっともわかってなかったわ




  確かにお嫁ちゃん、
  子供欲しいって言うとったけど


  ワイ、お嫁ちゃんさえいてくれたら
  それだけでワイは幸せやって
  ずっと言い続けとったわ




  もちろん子供が欲しくないわけやなかったんやで


  でも子供が出来んことを
  お嫁ちゃんが気にしてしまわんように
  ワイも気にせんようにしとったんや




  それにな、
  ワイはホンマにお嫁ちゃんさえいてくれたら
  それだけでよかったんやで
  それだけでホンマに幸せやったんやで




  ワイ、お嫁ちゃんの気持ち
  ちっともわかってなかったがな


  そりゃ、浮気されても仕方ないんかな


  いや仕方ないことはないな……


  でも仕方ないんかな……




お嫁ちゃんの言葉を聞いて、
赤ちゃんの中のおっさんは激しく落ち込む。


自分がどんなにお嫁ちゃんを愛していると言っても、
まったくお嫁ちゃんの気持ちを
わかってあげられていなかったことに。


-


しばらくずっと落ち込んでいる、
そんなおっさんの気持ちを見るに見兼ねて、
もう出て来ることはしまいと誓っていた
卵ちゃんの思念が再びおっさんに呼び掛ける。




「それでも、
それでもいいじゃないですか……


そりゃぁ、前世では
赤ちゃんが欲しいという彼女の願いを
叶えてあげられなかったかもしれませんけど……


こうしてあなたが転生して
彼女の子供になってあげたことで、
彼女の願いを叶えてあげられたじゃないですか……


前世で叶えてあげられなかった彼女の願いを
彼女の子供に転生することで叶えてあげたんですよ」




  そ、そうなんか?
  そんなことってあるんか?




「えぇ、き、きっとそうですよ、
あなたが転生してくれなかったら
赤ちゃんは出来なかったかもしれません」


卵ちゃんも確証があるわけではなかったが、
それでもそんな風には感じてはいた。


これまで妊娠しなかったのは、ぶっちゃけて言えば、
おっさんが種なしだったという可能性もある。
だが卵子さん達の態度を見るに、
お嫁ちゃんサイドにも問題がなかったとも言い切れない。


結局のところはわからないのだが、
それでも卵子である卵ちゃんがそう言うと
やはり説得力があると言うものだ。




  そうかぁ……
  そうなんやな……


  ワイはお嫁ちゃんの
  子供が欲しいっちゅう願いを叶えるために
  お嫁ちゃんの子供に転生して来たんやな




生前お嫁ちゃんの気持ちを
わかってあげられなかったという後悔は消せないが、
それでもおっさんはそう考えると気持ちが少し楽になる。


「そ、そうですよ、きっと……」


「それにあたなは
彼女が世界で一番愛している、
最愛の人になれたんですよ……」


転生の因果関係には
はっきりと自信を持てない卵ちゃんだが、
これに関してはハッキリと断言出来た。


世の男性諸氏もこれについては、
諦めておいたほうがいい。


ここまで見て来てわかるように、
もともと肉体が物理的にヘソの緒でつながっており、
外の世界に出た瞬間にそのつながりを
チョキンとちょん切られただけなのだから
新生児はそもそも母親の体の一部であり、
母親の分身と言ってもまったく問題ない。


なのでこの世で一番誰が大事かと問われれば
間違いなく我が子だというのが母親である。


男性にはわかりづらいが、
体内の、例えば胃の一部が人間となって、
子供になって外に出て来たようなものである。
そう表現するとまるで
B級ホラーのようになってしまうのだが。


だからゆめゆめ間違えても
俺と子供のどっちが大事かなどと
愚かな質問を決してしてはならない。
そんな質問をするような男だったのかと
さげすまれるのがオチというものである。


中には子供よりも男性を選ぶという
苛烈な女性もいるだろうが、
世の母親のほとんどが子供を選ぶ。




「そりゃぁもう、これから先は、
男女の恋愛関係とかは望めませんけど、それでも彼女が
この世界で一番愛している人には間違いないんですよ」


それは当然というもので、この先、
母と息子で男女の色恋沙汰になどなろうものなら
それこそアダルトビデオ顔負けな設定になってしまう。




  そういうことなんやな


  ゼウスはんがワイを
  お嫁ちゃんの子供に転生させてくれたんも


  お嫁ちゃんの一番大事な人になるっちゅう
  ワイの願いを叶えてくれるためやったんやな


  ゼウスはん、おおきに、
  ありがとうやで




ここまで散々オネエゼウスをディスって来ておきながら
突然オネエゼウスを褒め称え感謝しはじめるおっさん。
なんという超高速手のひら返しであろうか。
まぁおっさんの手のひらはクルクルよく回るのだが。


卵ちゃんの呼び掛けのお陰で、
一時どん底まで落ち込んだおっさんのメンタルも
なんとか立ち直りの兆しを見せる。
もともとは単純であるのだから、
きっかけさえあればすぐに元気にはなるのだが。


しかしおっさんへの追い打ちは
これだけでは済まなかった。


-


産後一週間が経ち、
そろそろおかあやんとおっさん赤ちゃんが
病院を退院しようかという頃。


おかあやんが退院手続きに行っている間、
おとうやんがおっさん赤ちゃんを抱っこして待っていた。


「ほ~ら、いないいないばあっ!」


おとうやんはおかあやんがいない間、
赤ちゃんが泣かないようにあやしているつもりらしい。




  ぷぷっ
  いい年して「いないいないばあっ!」とか
  こいつアホなんちゃうか




年は関係なく赤ちゃんをあやす時の定番といえば
「いないいないばあっ!」に文句を付けるのはおかしいだろう。
やはりおっさん、おとうやんには敵意むき出しの模様。


普通赤ちゃんはちゃんと物が見えるようになるまで
最低でも三か月以上はかかるのだが、
なぜかこの時だけは、おっさんの目には
「いないいないばあっ!」と言いながら
目の前に近づいて来るおとうやんの顔がハッキリ見えた。




  ……


  …………?


  こいつどっかで見たことあるような気ぃするわ


  どこやったかなぁ……


  まぁこんなしょうもない顔の男
  どこにでもいるやろうけどもや




おとうやんはその後も何度か顔を近づける。




  ……ん?


  んんんっ?


  !!


  あかんやんっ!!


  こいつ、あん時の間男やんけ!!


  なんでコイツがワイのおとうやんなんやっ!!




ようやくおとうやんの顔を
どこで見たかを思い出したおっさん。


お嫁ちゃんの浮気現場を目撃した時に
そこにいた間男こそが、
おっさん赤ちゃんのおとうやん、その人であった。




  ワイ、こいつのキャンタマにおったん言うんかっ!
  クッソ! あのクソボケオカマジジイが!
  こんな奴のキャンタマなんかに転生させよってからに!




結局はまた手のひらを返して
オネエゼウスをディスりまくるおっさん。




  あかんっ!あかんっ!
  いくらなんでも、こんなんあんまりやっ!
  こんなん最悪やっ!
  ありえへんやろっ!


  あかんがなっーーーーーー!!




おっさんの心の叫びは
赤ちゃんの肉体で表現されると泣き声になる。


「おぎゃぁぁぁぁぁ! おぎゃぁぁぁぁぁ!」


そしてこの先、おとうやんこと
お嫁ちゃんを寝取った間男と、
おっさんとの熱い戦いがはじまる、
……かもしれない?











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