神々の軍勢

ついに神々は軍勢を率いて
天から降りて来る。


軍勢の中には、神だけではなく
天使達も多数見られる、
いよいよ総力戦、
最終決戦に臨むのだろう。


敵のサイズも
人間よりやや大きい程度の小型から、
数十メートル級の中型、
百メートル前後の巨神級と様々。


敵の総勢はざっと数万というところだが、
まだ続々と天から降りて来ている。




神々からすれば、
もはや髑髏をタケシを
抹殺するためだけの戦い。


人間はおろか生命体すら
この世界にはいなくなり
自分達の存在意義すらなくし、
いつ消えてしまっても
おかしくない運命だと言うのに。


無益さを極めたような戦いではあるが、
それでも神々は戦うことを選んだのだ。




タケシからすれば、
人類が滅びようが
この世界が崩壊しようが
知ったことではない、
殴り合えればただそれでよかった。


自らの命への執着もなく、
ただ、生きている以上は殴り合う、
それだけのことでしかない。


「ふっ、はははっ」


いつものように
薄気味の悪い高笑いを上げる。


-


空を覆いつくさんばかりの神々の軍勢、
蝙蝠の羽を広げ立ち向かって行く髑髏。


髑髏は大き過ぎても
小回りが利かなくなるため、
数十メートルを基準とし、
後は相手に合わせ
サイズを変える気でいる。


空からは神の雷が降り注ぎ、
聖なる光りが髑髏目がけて照射され、
聖なる槍やブーメランといった武器が飛び交う。


これを飛び交わす髑髏、
接近すると敵軍勢の中に飛び込み、
蝙蝠の羽根を超硬質の刃と化し、
飛行したまま敵を次々と切り裂いて行く。


髑髏から放たれる闇のオーラ、
この世界にかって存在していた
生命達の怨霊は
傷を負った箇所から
神々や天使を次々と侵蝕していき、
穢れ神へと変貌させ無力化させた。


これはこの世界を滅ぼした神々と
滅ぼされた生命達の怨念の戦いでもある。




軍勢の中に入り込まれると、
同士討ちを恐れる神々は
迂闊に遠距離攻撃を放つことも出来ない。


髑髏は天使の背後にとりつくと、
まるで盾にするかのように
敵の攻撃をその天使の体で防ぎ、
そしてその天使の片翼に手を掛け、
これを引き千切る。


いつもは拳での戦いに拘るが、
こうした一対多の戦いとなると
外道な本領が発揮されるタケシ。


目の前で天使を嬲られ
さらに激怒する神々の軍勢。


怨霊に蝕まれた天使を手放すと、
また空を飛翔して行く髑髏。


-


神々の攻撃に被弾し右腕を失うと
飛行バランスを崩し
続いて左足にも被弾し、これを失う。


だが髑髏の最強チート能力でもある再生が
すぐに手足を生やし、これを回復していく。


この再生能力のお陰で
不死身と言っても過言ではない髑髏、
おそらくは細胞の一つでも残っていれば
みるみる間に全身を再生させるだろう。


となれば、後はどれだけ根気よく
痛みや苦痛に耐えながら戦い続けられるか、
どれだけ根気よく丁寧に
最後まで敵を皆殺しに出来るか、
それだけなのであるが、
その二つに関して髑髏であるタケシは
他の追随を許さぬ程に、
神をも凌ぐ程の才能を持ち合わせていた。