史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

怨霊の拳

神々の逆鱗に触れ、
天から降りて来た
いきどおる女神』の『裁きの雷』により
この世界の人間、その大半を失ってしまっていた。


この世界にまだ生き残っているのは、
ドラゴンや魔獣といった
人間よりも頑丈な身体を持つ者達だけ。




神々は初手から
大きなミスを犯していた。


この世界の人間は
神々がつくったものであるが、
神々もまた人間のよってつくられたもの。


この世界の人間が神々を信じるからこそ
神々は存在していられたのだが、
この世界の人間の大半を殺してしまった今、
神々の力は確実に弱まりつつあった。


だからこそ
信仰から離れようとする人々に
神々は怒り、天罰を下したのだが、
いきどおる女神は
いきどおり過ぎてしまったのだ。


-


憤る女神の次に
天から降りて来たのは『怒れる闘神』、
その名の通り闘いの神。


やはり巨大な体に筋骨隆々な肉体、
まさに闘いの神に相応しいと言えた。


こちらも髑髏の
何十倍以上の大きさであろうか
という巨神、巨大サイズの敵と
再び相見えることとなった髑髏。




宙を飛び、闘神のボディに
連打を繰り出す髑髏。
闘神は後ずさるが
致命打にはなり得ない。


闘神の手が伸び、髑髏を鷲掴みにすると、
そのまま髑髏を握り潰そうとする。


しかし、羽根を超硬質の刃と化し、
痛みで闘神の手が開いた隙に窮地を脱す。


そこに闘神が振るう拳が直撃すると
遥か後方へと吹き飛ばされた。


-


体格差があり過ぎる肉弾戦で
圧倒的に不利な髑髏。


もう一つ神々が犯したミス、
それがこの戦局を、
この流れを大きく変えることになる。


憤る女神が殺してしまったこの世界の生命達、
そのほとんどが怨霊と化して、
髑髏が放つ闇のオーラに吸収されていた。


それは人間だけでなく、
亜人や魔物、魔獣をはじめ、
虫や木々や草花に至るまで。
この世界を死滅させられた恨みをもって。


今回は神に直接殺されたのだから、
神を恨むのは至極まっとうなことでもある。


直接神にとり憑くことは出来ないが、
髑髏を経由してなら神の体を蝕むことも出来る。


そして、それにより髑髏の怨霊の鎧は
とてつもなく強化され、
対神専用の究極防具になり、武器にもなった。


-


闘神の頭上を高速で飛び回る髑髏、
巨大な闘神の手に掴まれないため、それもある。


髑髏が放つ闇のオーラ、
その量は急速に増える一方で
次第にその体を包み込んで行く。


やがて中心にいた筈の髑髏の姿は見えなくなり、
もはやただの巨大な黒い塊にしか見えなかった。


その塊は高速で飛び続け、
そのまま闘神からどんどん離れて行くが、
それは逃げている訳ではない。


黒い塊は途中で旋回すると
そのまま闘神目がけ突っ込んで来る。


その形状は巨大な黒い拳。


悪霊の集合体である闇のオーラ、
それで体を包み込み、硬質化させ、
髑髏は自らの体全体を
巨大な拳と化したのだった。


そして高速で飛び続けて
加速を増した最高速で、
巨大な怨霊の拳は闘神の胴体を貫く。


「オォォォォォォッ」


前回自らの全身を刃に見たて
憤る女神を倒した髑髏ではあったが、
タケシはその倒し方に
納得がいってはいなかった。
拳で殴るというタケシのこだわりが
巨大な黒い怨霊の拳と化した。




悪霊に体を蝕まれた
闘神もまた地上に堕ちて逝く。











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