史上最凶の通り魔、異世界に転移す
火の勇者(1)
一人目の対戦相手は火の勇者だった。
岩槻にすら単細胞熱血漢だと
思われるぐらいだから相当なのだろう。
切り込み隊長としては打ってつけとも言えた。
「よし、俺も一緒に共闘しよう」
岩槻は張り切って申し出たが、
火の勇者はあっさりこれを断る。
「いや、
木の勇者であるお前と、
俺は最悪に相性が悪い」
「お前にとって
相性が最悪の場所で戦うつもりだし、
俺一人の方がいい」
足手まといだとは言われなかったものの、
火の勇者にとって、木の勇者は
いいパートナーにはなり得なかった。
-
その火の勇者は、
バトルフィールドに活火山を選ぶ。
火の勇者が大自然の力を
最大限に活かせる場所として。
この異世界最大の火山地帯、
常にどこかしらで噴火しているために、
普通の人では足を踏み入れることすら出来ない。
そして炎系モンスターの巣窟でもあり、
獅子の頭に山羊の体と竜の尾を持つ
キマイラが地を駆け、
火龍が何体も空を飛び回っている。
そんな火山地帯の今にも噴火しそうな火口、
それが火の勇者を指定したリング。
-
「悪いな、こんなとこまで来てもらって」
空から舞い降りて来る髑髏に
火の勇者はそう声を掛けた。
その身には炎の鎧を纏い、大剣を背負う火の勇者。
肉弾戦を警戒してか、
かなりの距離を置いている。
一方の髑髏はこれまでと同様に銀の骨と黒の肉、
赤い血の要素は見当たらない。
「悪いが、俺があんたを殺らせてもらう」
火の勇者がそういうと
火口から天にも届きそうな火柱が噴き上がる。
その火柱は幾本にも分かれ、
まるで炎の竜のようにうねり、
髑髏に襲い掛かった。
これを跳躍してかわす髑髏、
炎の竜はしつこく髑髏を追いかけ回す。
炎だけではなく、
火口の奥深くから溶岩が噴き上がり
髑髏を狙い撃つ。
これはすべて魔法ではなく、
本物の炎であり溶岩である。
ただ火の勇者がこれを魔法で操っているだけで。
だがどれだけ炎や溶岩が熱くとも、
核の炎に耐えた髑髏、
これぐらいは当たっとしても問題ないはず。
「あんた熱いのが好きらしいからな、
温度を上げさせてもらっておいたぜ」
事前に火の勇者は、
魔法を使い温度を何倍にも上げていた。
これが大自然の力を借りて、
魔法を効果的に使うということ、
少なくとも火の勇者はそう考えたのだ。
炎も溶岩も自然物であるから、
それ自体は髑髏には効く、
ダメージの大小は置いておいて。
それを自在に操るのは
火の勇者の魔法ということになる。
死神導師がミサイルの命中精度や威力を上げる
補助魔法を使っていたのと同じ道理だ。
-
炎と溶岩の攻撃をかわす髑髏に
背後からキマイラが突撃、これを弾き飛ばす。
吹っ飛んだ髑髏に
さらに火竜の尾が追い打ちを掛け、
火口へと叩き落とす。
蝙蝠の羽根で上がって来る髑髏。
「ルールには、一対一で
というのはなかったよな?」
タケシも一度に複数の相手と
戦うことを想定はしていた。
だがそれは複数の勇者が
共闘して来ると思っていたのであって、
まさか勇者とモンスターが共闘して来るとは
想像していなかった。
それ程までに勇者の仲が微妙であることを
タケシが知り得る筈もない。
火口から上昇して来たところを
再びキマイラの竜の尾で引っ叩かれた髑髏が
制御不能で飛んでいたところを
火竜は口に咥えて、そのまま火口の奥深く、
溶岩の奥底まで引き摺り込むのだった。
岩槻にすら単細胞熱血漢だと
思われるぐらいだから相当なのだろう。
切り込み隊長としては打ってつけとも言えた。
「よし、俺も一緒に共闘しよう」
岩槻は張り切って申し出たが、
火の勇者はあっさりこれを断る。
「いや、
木の勇者であるお前と、
俺は最悪に相性が悪い」
「お前にとって
相性が最悪の場所で戦うつもりだし、
俺一人の方がいい」
足手まといだとは言われなかったものの、
火の勇者にとって、木の勇者は
いいパートナーにはなり得なかった。
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その火の勇者は、
バトルフィールドに活火山を選ぶ。
火の勇者が大自然の力を
最大限に活かせる場所として。
この異世界最大の火山地帯、
常にどこかしらで噴火しているために、
普通の人では足を踏み入れることすら出来ない。
そして炎系モンスターの巣窟でもあり、
獅子の頭に山羊の体と竜の尾を持つ
キマイラが地を駆け、
火龍が何体も空を飛び回っている。
そんな火山地帯の今にも噴火しそうな火口、
それが火の勇者を指定したリング。
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「悪いな、こんなとこまで来てもらって」
空から舞い降りて来る髑髏に
火の勇者はそう声を掛けた。
その身には炎の鎧を纏い、大剣を背負う火の勇者。
肉弾戦を警戒してか、
かなりの距離を置いている。
一方の髑髏はこれまでと同様に銀の骨と黒の肉、
赤い血の要素は見当たらない。
「悪いが、俺があんたを殺らせてもらう」
火の勇者がそういうと
火口から天にも届きそうな火柱が噴き上がる。
その火柱は幾本にも分かれ、
まるで炎の竜のようにうねり、
髑髏に襲い掛かった。
これを跳躍してかわす髑髏、
炎の竜はしつこく髑髏を追いかけ回す。
炎だけではなく、
火口の奥深くから溶岩が噴き上がり
髑髏を狙い撃つ。
これはすべて魔法ではなく、
本物の炎であり溶岩である。
ただ火の勇者がこれを魔法で操っているだけで。
だがどれだけ炎や溶岩が熱くとも、
核の炎に耐えた髑髏、
これぐらいは当たっとしても問題ないはず。
「あんた熱いのが好きらしいからな、
温度を上げさせてもらっておいたぜ」
事前に火の勇者は、
魔法を使い温度を何倍にも上げていた。
これが大自然の力を借りて、
魔法を効果的に使うということ、
少なくとも火の勇者はそう考えたのだ。
炎も溶岩も自然物であるから、
それ自体は髑髏には効く、
ダメージの大小は置いておいて。
それを自在に操るのは
火の勇者の魔法ということになる。
死神導師がミサイルの命中精度や威力を上げる
補助魔法を使っていたのと同じ道理だ。
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炎と溶岩の攻撃をかわす髑髏に
背後からキマイラが突撃、これを弾き飛ばす。
吹っ飛んだ髑髏に
さらに火竜の尾が追い打ちを掛け、
火口へと叩き落とす。
蝙蝠の羽根で上がって来る髑髏。
「ルールには、一対一で
というのはなかったよな?」
タケシも一度に複数の相手と
戦うことを想定はしていた。
だがそれは複数の勇者が
共闘して来ると思っていたのであって、
まさか勇者とモンスターが共闘して来るとは
想像していなかった。
それ程までに勇者の仲が微妙であることを
タケシが知り得る筈もない。
火口から上昇して来たところを
再びキマイラの竜の尾で引っ叩かれた髑髏が
制御不能で飛んでいたところを
火竜は口に咥えて、そのまま火口の奥深く、
溶岩の奥底まで引き摺り込むのだった。
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