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史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

狂気

勝利を確信する赤い髑髏スカル


銀の髑髏の心臓を、
背後から手刀で貫こうとした瞬間、
銀の左手で顔を鷲掴みにされた。


たった今、切り落とした筈の
銀髑髏の左腕がもう再生されている。


それは瓦礫を宙に放り投げてから落ち切るまでの、
わずか数秒の出来事であるにも関わらず。


顔面を鷲掴みにされたまま
銀の髑髏渾身の一撃が腹に打ち込まれる。


「グハッ」


顔から手を放し、
両の拳で赤い髑髏を高速連打する銀の髑髏、
そして最後は一撃必殺の拳で打ち抜く。


ドラゴンの背から遥か彼方の地上へと
吹き飛ばされる赤い髑髏。


-


銀の髑髏、最大のチート能力は、
破壊力や攻撃力、防御力でもなく、
その再生能力にこそある。


敵が現代兵器を使った戦いで見せた、
核の業火に焼かれ続けて、
なお焼き尽くされるよりも早く
再生を繰り返す能力。


例え、体の大半を失ったとしても、
再生してみせるその回復力と
驚異的な再生スピード。


その再生能力の根源は
タケシの生命エネルギーであり、
それが銀の髑髏最大のチート能力であり、
殴り合う戦闘スタイルを成立させてもいた。




赤い髑髏も再生能力は有していたが
ここまでではなく、
魔神・鳥兜トリカブトから
再生阻害能力も吸収していたが、
銀の髑髏のように自動で発動することはない。
有栖川博士オリジナルと魔王の模倣品という
歴然とした差がそこには存在していた。




-


銀の髑髏、渾身の連打で、
吹き飛ばされた赤い髑髏。


力尽き崩れ落ち、
瓦礫の壁にもたれかかるように座る。


その前に舞い降りる銀の髑髏。


「結局、
血を吸った回数の差が
出ちゃった感じか……」


息も絶え絶えの赤髑髏。


「俺もそういうの興味ないんだけどね……」


「あんた、さすがに殺し過ぎだよ」


勝敗が決したためか、
髑髏の変身を解除するタケシ。


「ふっ、はははっ」


「もっとだ!
もっと俺を楽しませろ」


ずっと待ち望んでいた戦いが出来、
感情を激しくたかぶららせ、
赤い髑髏に向かって叫ぶタケシ。


「もっと! もっとだ!」


目を見開き、口角を吊り上げ笑う、
その顔は狂気に満ち溢れている。
いや元々この男には狂気しかなかった。


この異世界に来てから
圧倒的な勝利を収めて来たタケシ、
これまで自らが望むような
殴り合いは存在しなかった。


ようやく自らが望む、
殴り合いが出来る相手に巡り会え
タケシは常軌を逸して昂揚している。


赤い髑髏の鳴門は起死回生の策として、
先程、四肢を切断した時に付着した
銀の髑髏の血を吸収してみたが
何も変化は起こらない。
まだ血が足らないのか。


「もっと俺を楽しませろ」


「俺を楽しませられるのはお前だけだ」


そう叫ぶと、タケシは突然
右腕で自らの左腕を掴み、そのまま引き千切った。
先程切断されたばかりだというにも関わらず。
千切られた腕からは血が噴き出している。


「ふっ、はははっ」


自らの腕を引き千切りなお笑うタケシ。


引き千切った左腕を
真紅の髑髏に向かって投げつける。


「俺の血を吸え」


「俺の血を吸って、
究極魔神になってみせろ」


「そして、俺をもっと楽しませろ」


あまりの狂気に満ちたタケシの行動に
赤髑髏は呆れるしかなかった、
自分が今にも死にそうだというのに。


「お宅がヤバい奴だってのは知ってたけど、
ここまでイカれてるとは思ってなかったわ」


タケシの千切れた左腕を手にする赤髑髏。


「俺もね、
このまま死にたくないから、
吸わせてもらうんだけどね」


腕から滴り落ちる血が
赤い髑髏の体に付着し、
それが吸収され消えていく。


「俺もイカれた奴の仲間入りかね」


引き千切った筈のタケシの左腕は
この間にもう再生されている。


そして、赤い髑髏の肉体は異変を来たし、
究極の魔神へと変貌していく。











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