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史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

定例勇者会議

元警察官、岩槻いわつき吾郎ごろうは、七人目の勇者である
『木の勇者』となって異世界に転移した。


七人の勇者は協力して魔王軍と戦う、
事情はどうであれ、
体裁上、名目上はそうなっているので、
勇者達は定期的に集まり
情報交換などが行われていた。


「これでようやく勇者も七人集まった訳か」


火の勇者がそう言って、岩槻を迎える。


「これから、よろしく頼む」


そう挨拶をする岩槻だったが、
火の勇者はともかく他の五人の反応は薄い。


七人の勇者、その大半は
魔王を倒すことが目的ではなく、
最後の一人になるまで生き残り、
自分の願いを叶えることにある。


そのため、各人の能力などは
お互いに一切明かされておらず、
共闘をすることもほとんどないと言う。


最後に勇者同士で戦うことになった場合、
相手に能力を知られていないということが
圧倒的なアドバンテージになることは間違いない。
能力を知られてしまえば、
事前に対策を立てられる可能性が高い。


-


それでも定例の勇者会議を重ねる内に、
それぞれの人と成りが岩槻にも
少しわかるようになって来る。


『月の勇者』
元引きこもりで、陰気な性格の印象を与える。


『火の勇者』
元ニートで、単細胞熱血漢。


『水の勇者』
元プログラマーで、冷静沈着。
異世界であるにも関わず、常に眼鏡を掛け、
人間社会からノートPCを持ち込んで来ており、
電気の代わりに魔法で動かしている。
ノートPCで敵の情報収集や分析を行い、
戦略や戦術を好む。


きんの勇者』『土の勇者』
いつもほぼ何も喋らないため、
詳細はほとんどわからない。
きんは鉱物などを意味するところから、
属性的に二人の相性は良いのではないかと考えられる。


『日輪の勇者』
元もどこぞの財閥の御曹司で跡取りらしく、
美男子であり、性格は傲慢で不遜、
天上天下唯我独尊そのまま。


-


「俺はタケシを追うことにする。
この手でタケシを倒すこと、
それだけが俺の唯一の望みだ。
最後の一人になった時の願いもそれにする」


元々人間世界の住人である彼等、
史上稀に見る凶悪犯とされるタケシのことは
皆知っている。


「へぇ、
自分から願いの話する人、はじめて見たよ」


岩槻の突然の発言に火の勇者は


「タケシは今、魔王軍の改造魔神だったな」


情報収集が得意な水の勇者。


「しかし、
魔王軍が壊滅した後ということならば、
タケシも既に死んでいる可能性が高い、
その場合はどうする気なんだ?」


願いが先に叶ってしまった場合
その勇者はどうするのか、
それは他の勇者も興味深かった、
競争相手が一人減る可能性にも繋がる。


「他に願いはないから、辞退するかな」


何の考えもなく岩槻はそう答えたが、
日輪の勇者は不敵な笑みを浮かべる。


「じゃぁ、その時は素直に死んでくれるんだな?」


そう、七人の勇者が願いを叶えるルールは
『生き残った』最後の一人であり、
途中リタイアは死を意味するものでもあった。











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