傷つけられる者（2）

改造手術を受け魔神・蛇女スネークとなった女は、
男達に復讐するため、
真っ先に人間社会へと向かう。


異世界に渡り改造手術を受ける際も、
どうやったらあの男達が
もがき苦しみながら死んでいくか、
ひたすらそのことばかりを考えていた。


長い間陵辱され苦しんでいた時間、
その後セカンドレイプにも等しい
数年にも及ぶ心的苦痛。
自分が味わったのと
同じぐらいの長い苦しみを
あの男達にも味わってもらわなければ
気が済まない。


その執念だけが
彼女を突き動かす原動力であり、
心の支えでもあった。


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主犯格の男は、
まず部屋に拘束監禁して、
それから男の家族や恋人、
友人を一人ずつ殺していき、
その首を身動きが取れない男の前に飾った。
時間が経つに連れ、
その生首の数は増えていく。
男が次第に発狂していく
経過を見て涙して喜んだ。
その後男が餓死する前に
生きたまま切り刻んでから殺す。


二人目の男は、
古代中国の残虐な処刑方法を参考にして、
手足と男性器を切り落とし、
塩が詰まった樽の中に首から下を埋めた。
痛みに絶叫する男の声に女は溜飲が下げる。


三人目は、生きたまま少しずつ体を切り刻み、
その後、腹を裂き内臓を取り出し解剖した。


四人目は軽トラの男であったが、
散々いたぶった後、棺に入れ生き埋めにして
長い時間迫り来る死の恐怖を
味わってもらいながら死んでもらった。




女も段々と復讐の虚しさを感じてはいた。
それでも自分を苦しめた男達を
殺さずに許すことは出来なかった。


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恨みを存分に晴らした女に
組織から髑髏スカル討伐の命令が下る。


タケシと対峙する女。


「あんたはいいね、タケシ。
あんたは有名人だからね、私でも知ってるよ。
ずっと傷つける側にいたんだろ？」


「私はね、
ずっと誰かに傷つけられて来たんだよ。
身も心もボロボロになるぐらいにね」


女は魔神・蛇女スネークへと姿を変えていく。
ボディには巨大な大蛇が巻き付いている。


「他人たにんが私を傷つけるのなら、
私だって同じように
他人たにんを傷つけても構わないだろ？」


だが、この手の自分語りは大抵、
タケシには興味がない。


「はんっ、知ったことかっ」


タケシも髑髏スカルへと姿を変える。




勝負は一瞬だった。
蛇女スネークの体に巻き付いている大蛇が
襲い掛かって来るのをかわし、
瞬時に間合いを詰めた髑髏の鉄拳が、
魔神・蛇女スネークの胴体を貫く。


髑髏が拳を抜くと崩れ落ちる蛇女スネーク。


『私を嬲ることもなく、
ひと思いに、一瞬で殺してくれるなんて、
あんたは随分と優しいんだね』


倒れ行く蛇女はそう感じていた。


もちろんタケシに
そんな気持ちは微塵もなかったが、
通常の魔神であればたった一撃で倒せる程、
髑髏は強くなっている。


蛇女の血をその身に吸収する髑髏。


「弱いのが悪いっ」


タケシは蛇女スネークの亡骸に向かってそう言い放つ。




もし幼少期の貧民街で、タケシが強くならずに
ずっと殴られ続ける立場であったなら、
今タケシはどうなっていたのであろうか。