史上最凶の通り魔、異世界に転移す
憎しみの連鎖(3)
あれ以来ずっと心身喪失の娘。
あの時のことが
頭から離れず気が狂いそうになる。
いくら父の顔を思い出そうとしても、
首のないあの父の姿しか思い浮かばない。
そして決して耳から離れないあの言葉。
『処刑、完了』 
恐怖と不安と悲しみで夜も眠れず、
漠然と怯え続ける日々。
心に深く残る傷、
消えることのないトラウマ、
娘は心療内科に通い続ける。
-
そんな娘の前にあの初老の紳士が姿を現す。
白いタキシードに白いマント。
「この度は本当にお気の毒なことでした……
さぞや、お心を痛めておられることでしょう……」
老人は神妙な顔でお悔やみを述べる。
「でも娘さんであるあなたには、本当のことを
お伝えしないといけないと思いました……」
老人は伝える。
難病にかかった娘の治療費のために、
父が老人の属する組織に頼んで
大金を用意したこと、
その代わりに組織の敵を倒すため
自ら進んで改造手術を受け、敵と戦ったこと。
その敵が娘と再会した隙を付いて
父を殺したことを。
そして、父を殺したのは
あの有名な凶悪犯タケシであることも。
「……許せない……許せない……」
涙ながらに話を聞いていた娘は何度も呟く。
「あんなに優しかったお父さんを……
殺した奴を……私は許せない……」
その口調は段々と強くなっていく。
「私のお父さんを、
あんな酷い姿にした男を」
娘は絶叫する。
「絶対に許せないっ!」
その言葉に深々と頷く老人。
「そうでしょうな。
それは人ならば当然と言うものですよ。
もしよろしければ、
私達はあなたのお力になりたい」
「あなたの復讐、そのお力になりたい」
-
娘は父と同じ道を歩む。
異世界で改造手術を受けて魔神となる道を。
父の仇であるタケシに復讐するために。
「タケシ、お前だけは、
私が必ず倒す、この命に代えても」
改造魔神となりタケシに対峙する娘。
「はんっ、知ったことか」
憎しみの連鎖。
だがこの男にはそんなことは関係ない。
むしろ自分に向かって来る者が増えることを
まるで喜んでいるかのようである。
闘争本能こそが
人間の真の姿であると言わんばかりに。
髑髏となったタケシは、
改造魔神の体をその拳で貫く。
魔神となった娘は執念で、
自らの胴体を貫いた髑髏の腕を
両手で力強く握り締め、咆哮を上げる。
「お前だけはっ、お前だけはっ!」
「チッ、刺し違える気か?」
魔神の体は髑髏を巻き込み大爆発を起こす。
魔人となった娘があの忌まわしい
『処刑、完了』 という言葉を
聞くことはなかった。
タケシに殺されるぐらいなら、相打ちを狙って
自爆という道を選ぶということだろうか。
爆炎の中、損傷を負い立っている髑髏。
だが再生能力が発動、それも一瞬の内に修復される。
-
娘の墓前でずっと泣いている青年がいる、
親類縁者なのかそれとも娘の恋人だったのか。
その青年の前に現れる白い服の初老の紳士。
「この度は本当にお気の毒なことでした。
我々はあなたのお力になりたい……」
あの時のことが
頭から離れず気が狂いそうになる。
いくら父の顔を思い出そうとしても、
首のないあの父の姿しか思い浮かばない。
そして決して耳から離れないあの言葉。
『処刑、完了』 
恐怖と不安と悲しみで夜も眠れず、
漠然と怯え続ける日々。
心に深く残る傷、
消えることのないトラウマ、
娘は心療内科に通い続ける。
-
そんな娘の前にあの初老の紳士が姿を現す。
白いタキシードに白いマント。
「この度は本当にお気の毒なことでした……
さぞや、お心を痛めておられることでしょう……」
老人は神妙な顔でお悔やみを述べる。
「でも娘さんであるあなたには、本当のことを
お伝えしないといけないと思いました……」
老人は伝える。
難病にかかった娘の治療費のために、
父が老人の属する組織に頼んで
大金を用意したこと、
その代わりに組織の敵を倒すため
自ら進んで改造手術を受け、敵と戦ったこと。
その敵が娘と再会した隙を付いて
父を殺したことを。
そして、父を殺したのは
あの有名な凶悪犯タケシであることも。
「……許せない……許せない……」
涙ながらに話を聞いていた娘は何度も呟く。
「あんなに優しかったお父さんを……
殺した奴を……私は許せない……」
その口調は段々と強くなっていく。
「私のお父さんを、
あんな酷い姿にした男を」
娘は絶叫する。
「絶対に許せないっ!」
その言葉に深々と頷く老人。
「そうでしょうな。
それは人ならば当然と言うものですよ。
もしよろしければ、
私達はあなたのお力になりたい」
「あなたの復讐、そのお力になりたい」
-
娘は父と同じ道を歩む。
異世界で改造手術を受けて魔神となる道を。
父の仇であるタケシに復讐するために。
「タケシ、お前だけは、
私が必ず倒す、この命に代えても」
改造魔神となりタケシに対峙する娘。
「はんっ、知ったことか」
憎しみの連鎖。
だがこの男にはそんなことは関係ない。
むしろ自分に向かって来る者が増えることを
まるで喜んでいるかのようである。
闘争本能こそが
人間の真の姿であると言わんばかりに。
髑髏となったタケシは、
改造魔神の体をその拳で貫く。
魔神となった娘は執念で、
自らの胴体を貫いた髑髏の腕を
両手で力強く握り締め、咆哮を上げる。
「お前だけはっ、お前だけはっ!」
「チッ、刺し違える気か?」
魔神の体は髑髏を巻き込み大爆発を起こす。
魔人となった娘があの忌まわしい
『処刑、完了』 という言葉を
聞くことはなかった。
タケシに殺されるぐらいなら、相打ちを狙って
自爆という道を選ぶということだろうか。
爆炎の中、損傷を負い立っている髑髏。
だが再生能力が発動、それも一瞬の内に修復される。
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娘の墓前でずっと泣いている青年がいる、
親類縁者なのかそれとも娘の恋人だったのか。
その青年の前に現れる白い服の初老の紳士。
「この度は本当にお気の毒なことでした。
我々はあなたのお力になりたい……」
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