閉じる

史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・蟷螂(3)

「こっ、こうなったら仕方ないアルネ」


李大人は傍らにあったガウンを手に取り、
ガウンの影に身を隠す。 
再びガウンから現れた李大人は
魔神・蟷螂マンティスの姿であった。 
手に鎖鎌を持つ蟷螂、
右手に持つ分銅の着いた鎖を振り回す。 
回転しながら空を切り裂く分銅が
ブォンブォンと不気味な音を立てる。 


「武器か?つまらんなぁ」


「まぁいい、少しは遊んでやろう」


魔神・髑髏スカルはそう言い身構える。 
蟷螂は回転する分銅の着いた鎖を投げ放つ。


鎖の先の分銅は物凄い勢いで突進する。 
これを上体をひねり軽くかわす髑髏。 
蟷螂は上から下から、左右から、
伸縮自在に巧みに鎖を操り、髑髏を攻めたてる。 
だがこれをすべて余裕でかわし続ける髑髏。




蟷螂の攻撃の隙を縫って、
突進し一気に間合いをつめようとする髑髏。 
そこへ蟷螂の鎖が至近距離から再び髑髏を襲い、 
右手に鎖が巻き付いて、右手の自由を奪う。


蟷螂はここぞとばかりに
鎖鎌の鎌を手に髑髏に襲いかかる。 
右手の自由を鎖によって奪われた髑髏、
蟷螂の鋭い刃の鎌が髑髏の首下めがけて振り下ろされる。 
勢い良く振り下ろされた鎌の刃を左手で受け止める髑髏。


「この鎌の刃は錆付いているのか? 全く効かんぞ」 


「ばっ、馬鹿な、私の鎖鎌がっ!?」 


髑髏はそのまま鎌の刃を握り潰し、鎌の刃を砕く。 
その体勢から蟷螂の顔面に頭突きをぶちかます。 
顔面に強い衝撃を受けた蟷螂は
その場によろめき倒れそうになる。 
髑髏は右手に巻き付いた鎖を
左手でいとも簡単に引き千切る。 


蟷螂の鎖鎌を奪い取る髑髏。 


「お前は武器の使い方というものを知らんらしいな」 


髑髏はそう言うと蟷螂の鎖鎌を振り回しはじめる。 
蟷螂目がけ鎖を投げる髑髏、
猛スピードの勢いで蟷螂に直進する鎖。 
これをかわす蟷螂


「お前も口ほどにないわっ」 


だが髑髏はそこで手首のスナップをかえす。 
直進していた鎖鎌は軌道を変え、
蟷螂の体にぐるぐると巻き付く。 
鎖に体の自由を奪われ身動きが取れなくなった蟷螂。 
そこへ髑髏の容赦のない猛攻が蟷螂を襲う。 




鉄拳が何度となく蟷螂を打ち砕く。
苦痛に悶絶する蟷螂。 
蟷螂は耐え切れなくなり、
倒れるようにして床に膝を着く。 
だが髑髏はそれでも許さず、止めを刺す。 


「はぁっ!!」


ジャンプして宙を舞う髑髏。 
キックが蟷螂の顔面に炸裂する。 
キックの直撃を顔面に受けた蟷螂、 
首から上の頭が引き千切れて、吹き飛び、
地面に転々と転がる。 


地面に着地する髑髏、
その足元に転がって来る蟷螂の頭。 
髑髏は躊躇無く、その蟷螂の頭を足で踏み潰す。 
グシャッという音と共に血飛沫が飛び散り、
周囲を赤く染める。 


「処刑 完了」


髑髏はそう言い残しその場を立ち去る。 




変身を解いたタケシ。 
そこへこの船に囚われていた女達が、
この混乱に乗じて逃げ出して来る。 
女達はタケシが自分達を助けに来てくれたものだと思い込み、
涙ながらに礼を言う。 


「あ、ありがとうございました……」 


「うるさいっ、気安く話かけるな、殺すぞっ」 


それでも元の人間世界に帰らせてくれと
涙ながらにタケシに訴える女達。


「どうすれば私達は元の世界に帰れるのでしょう?」 


「はんっ、知ったことか」


タケシはそう言うと
港に止めてあったバイクに跨り、去って行く。 
その後、女達が元の世界に帰れたかは定かではない。











「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く