史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

魔神・鉄蠍(1)

痩せた大地。
荒涼とした平原、乾いた風と砂埃。
広がる荒野をさらに西へ進んで行くと、
その先は砂漠地帯へとつながっていく。


この慢性的な水不足に悩む土地でも、
ここで暮らして行こうとする開拓民がおり、
街が存在している。




さそりだっ!! 砂漠の蠍が来たぞっ!!」


そう叫びながら逃げようと走る男。 
男の背後からは鉄のバイクに乗った集団が、
その男をいたぶるかのように追いかける。 


街の人々は砂漠の蠍の名を聞き、
震え上がり、逃げ出し隠れる。 


バイクに乗る、腕にタトゥーをした男が
手に持つ銃を指で回し、
面白半分に逃げる男の脚を撃ち抜く。 
転倒し悶絶するその男をバイクの集団は容赦なく轢殺す。 


砂漠の蠍、泣く子も黙る荒らくれ者、荒野の無法者集団。 
鉄のバイクに乗り、略奪、強盗、殺人、強姦、放火、破壊、
無法の限りを尽くす者達。 


砂漠の蠍と呼ばれるバイク集団は、
奇声・雄叫びを上げながら街の人々を次々に襲って行く。 
バイクに乗りながら鉄パイプで
逃げ惑う人々を殴り倒し喜ぶ者、 
逃げ惑う人々を拳銃で撃ちまくる者、
バイク集団の出現で
街は一瞬のうちに地獄へと変わり果てていく。 




逃げ遅れた男女がバイク集団に囲まれる。 


「へっへへ、いい女じゃねぇかよ」


タトゥーの男はニヤニヤしながら言う。 
その発言に怯えきった目で震える女。
震えながらもその女を庇おうとする男。 


「ボス、俺らの好きにしてもいいっすよね?」


タトゥーの男が目をやる先には、
バイクに跨ったモヒカン頭の男がいる。 


「好きにしろ」


ボスと呼ばれる男は、
バイクを降りて街の酒場へと入って行く。 


「へっへへ」


タトゥーの男はニヤニヤ笑う。 


「やめろ彼女には指一本触れさせないぞっ!」


連れの男は勇敢に立ち向かおうとするが、
砂漠の蠍一同は大爆笑する。


「おいおい聞いたかよっ、今の」 


バイクのエンジンを吹かす音が響き渡る。


「こいつ、ちょっと痛い目にあわせてやんなっ」 


砂漠の蠍のナンバーツーである
タトゥーの男はメンバーに合図する。 




女を守ろうとする男の首に縄がかけられる。
その縄の先はタトゥーの男が乗るバイクにつながっている。 
タトゥーの男は女を片手に抱きかかえ、
バイクはエンジンを吹かし走り出す。 


「やめてぇぇぇ!!やめてぇぇぇ!!やめてぇぇぇ!!」


タトゥーの男の腕の中で泣きながら狂乱する女。 
バイクに引きずられる男、
首に締まる縄を両手で抑えようとするが、
それも虚しいあがきでしかない。 
みるみるうちに首にかけられた縄は男の首を締め上げ、
男は泡を吹いてそのまま動かなくなる。 
その男の死体はそのまま酒場の屋根から吊るされた。 













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