史上最凶の通り魔、異世界に転移す

ウロノロムロ

異形の魔物

タケシが目を醒ますと、
そこは眩いばかりに光が差し込む手術台の上であった。 
強烈な光の下、手術台に手足を拘束されているタケシ。 
光から目を反らすように横を向き、顔をしかめる。 


タケシはここが一体何処で、
自分がどうなったのか思い出そうとするが、 
バイク転倒の所で記憶の糸は
途中でプッツリ途切れてしまっている。


やがて手術室の扉が開き、
逆光の中に人影の姿が現れる。 
その影は手術台に拘束されているタケシの下に駆け寄って来る。 


影の主は白衣を纏ったドクターらしき年輩の男。 
その男は手術台で拘束されている
タケシの手と足にかせられている、
拘束器具を外す。


「ここは何処だっ?」


起き上がったタケシはその男の胸ぐらを掴もうとする。 


「説明は後だっ!
今はとにかくここから逃げるんだっ!」 


その男は驚いたように後ろに飛び退く、
まるでタケシに触れられることを
避けているかのようだった。 


「ふざけるなっ!」


タケシがそう怒鳴った瞬間、
手術室の入口にまたも数人の影が現れる。 


その影の主は、とてもこの世の者とは思えない
不気味な異形の姿をした魔物。
二足歩行でありながら獣の姿をしている者、
中には羽根や尻尾が付いている者、
牙や爪を長くとがらせている者もいる。


口々に奇声を発しながら
タケシと白衣の男の方へ駆け寄って来る魔物達。 


「なんだっ、こいつらはっ?」 


襲い掛かってくる不気味な魔物達、
タケシは条件発射でそのうちの一匹を思いっきり殴り飛ばす。 
タケシのパンチで顔面を砕かれ、後ろへ吹き飛ぶ魔物。 


タケシはそこではじめて自分の体の異変に気づく。 


「なんだっ、この力は?」


思わぬ怪力を発揮した自分の腕を見つめるタケシ。 


さらに襲い掛かって来る魔物。
タケシは条件反射で魔物の横っ面を思いっきり蹴り飛ばす。
首を百八十度後方へ捻らせて吹き飛ぶ魔物。 


タケシは自らの体の異変に驚きながら
次々と現れる魔物を蹴散らす。
ボディへのパンチ一発で血反吐を流し、
内臓破裂で崩れ落ちる魔物。 
頭上への踵落としで頭蓋骨陥没、
脳しょうを撒き散らしながら、膝をつき倒れる魔物。


「ふっ、はははっ……」


薄ら笑いを浮かべ、笑い声を漏らすタケシ。
この期に及んでタケシは魔物達を殴り飛ばすことを楽しんでいた。


殴れば殴る程にタケシの攻撃は威力を増し、
パンチ一発で魔物の首はちぎれ飛び、
どてっ腹を貫通して風穴を空ける。


辺り一面はあっという間に血塗れとなり、
魔物達の肉片が散らばり、
まるで凄惨な処刑場のようになる。
殴り続けるタケシもまた返り血を浴びて、
真っ赤な血に染まっていく。


次から次へと現れる魔物、
それをことごとく蹴散らして行くタケシ。 
魔物を倒し、その拳が血を吸うごとに、
自らの力が強くなっていくのをタケシは感じていた。











「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く