非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

博士のお世話衆(愛人)

その後、
博士が人間の情欲に
溺れていることを知った進士司令官は、
博士を篭絡するために、
身の回りの面倒を見る
お世話衆(愛人)を付けることにする。


それを知った蘭は当初猛反対したが、
博士の人間(女性)に対する
知的好奇心は尽きることなく、
高次元的な視点から蘭を説得、
高次元に弱い蘭はむしろ
賛成するようになった。


高次元的な意味からすれば、
この世界で言うところの魂のつながりは
人数が多ければ多いほど良いのだ。


全人類が一つの共通した意識体となるのが
最高の状態であるらしい。




博士のお世話衆(愛人)募集には、
大勢の女性が殺到し、
オーディションまで開催される事態となった。


応募者の多くは
多額の借金を抱え自己破産寸前であったり、
既に自己破産していたり、
または何かしらの事情により
多額の金を必要としている女性達であった。


選ばれた女性には、
支度金と称して多額の金が与えられる、
もしくは女性の多額の借金が帳消しにされる
という特典があった。


その上、
セレブ並みの贅沢な生活が約束されていた。


博士は人類存亡の鍵を握る存在であり、
その博士を篭絡し続けるためであれば、
それぐらいは全人類の必要経費として考えれば
当然であった。


その圧倒的な好条件に一般女性や芸能人、
タレント、モデルの応募も少なくはなかった。




オーディションでは十人の女性が選ばれた。


当初金銭目当てで
応募して来た女性達ではあったが、
夜の高次元的なつながりの前に、
あっという間に博士にメロメロになっていた。
博士は接触した相手を外側からだけではなく、
内側からもコントロールすることが出来る。


相手の心臓の動きも脈拍も、
内臓も、脳の働き、
脳内分泌すらも自由自在に操れ、
脳内分泌や神経系統も思いのままだ。


博士にとっては相手を
エクスタシーに導くことなど容易いことなのだ。


三次元的な結合ばかりではなく、
高次元的なつながりもある。


肉体的にも魂的にも一つになれるなど、
経験した人類はほとんどいないため、
本当は非常に貴重な体験ではあるのだが、
やはり恥ずかしくて
世間に公表出来るはずもなかった。




第二回オーディションには
金銭目当てだけではなく、
高次元の絶頂を体験してみたい
という応募者も多かった。


そこでさらに十人の女性が選ばれた。
それが今のお世話衆、
通称ハニーちゃん軍団であった。




それを聞きつけたお親分の知り合いで
アダルトな映像メーカーの人が、
博士を男優として
スカウトしに来たこともあったが、
さすがにそれは防衛軍にこっぴどく怒られた。


博士はこの世界で起こるすべてのことを
心から楽しんでいる節がある。


もちろんこの世界の人間に
滅んで欲しくないとは思っているようだが。




おそらく博士は不老不死。


そんな博士から見れば、
人間の約八十年前後の人生など
ほんの一瞬に過ぎないであろう。


この星の寿命ですら、
博士から見れば短いものかもしれない。


その悠久の時の中で
博士は何を思い続けて来たのか。


人間に思い至る筈もない。




そんな博士にとって、興味深く、
刺激的であるこの三次元世界と三次元人。


人間の内面は刻一刻と変化を続け、
同じ時に留まることはない。


それはまるで
宇宙を内包してるかのように深い。


百億以上の個体がいながら、
どれひとつとして同じ存在がない無二の個性。


この世界もまた刻一刻と変化を続け、
一瞬たりとも全く同じ瞬間がない。


博士にとっては、
この世界の人間一人一人が奇跡であり、
この世界の一瞬一瞬が
奇跡のようなものであった。




博士は悠久の時の中で見つけた
泡沫の夢を謳歌しているだけなのかもしれない。











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