非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

古代竜族語



「で、どうやって取り付けるんだ?」


「それなんだよねー」


一条女史はチラチラと天野を見た。
財前女史は腕組みをしながら
天野をじーっと見つめた。


「ちょっと待て、
いくら何でもやる俺でも
空飛んでるドラゴンは無理だぞ」


天野は慌てふためいた。




一条女史はインパライダーを呼び出した。


「お前に翼を付けておいてよかったー、
とはじめて思えたよー
まんま悪魔みたいな見た目になった時は
どうしようかと思ったけどー」


インパラをベースに、
蝙蝠の羽、蛇の尻尾、
手の甲や体中から
タコとイカの触手がニュルニュルと出ている
合成獣キメラのようなインパライダー。
その姿を見た、
天野と財前女史はひそひそ話をしている。


「なんかあいつ変態ぽくないですか?」


「うむ、確かにゲテモノっぽいな。」




インパライダーは装置を持って空を飛び、
巨大ドラゴンに近づいて行く。


ドラゴンは警戒して、
ハエを追い払うかのように手を振り回し、
インパライダーを近づけようとはしなかった。


「見た目が気持ち悪いからじゃないかな」


天野の言葉に財前女史は頷く。


「うむ、私でも同じように
追い払おうとするだろうな。」


「うーん、やっぱりあいつじゃだめかー」


「仕方ないなー、
博士に通訳をお願いするかー
ここでまた博士の力に頼るのは
嫌だったんだけどなー」


「最初から博士に頼めば
よかったんじゃないですか?」


「何を言っているんだー、天野っちはー
人間が、ギリギリまで踏ん張ってー、
どうにもならない時に出て来るのが、
デウスエクスマキナじゃないかー」


確かに防衛軍内にも博士に頼めば
なんとかなるだろうという風潮はあった。


「通訳とはどういうことだ?」


財前女史は改めて疑問に思った。


-


インパライダーの次は博士が呼び出された。


「むやみに女性をスキャンすると、
プライバシーの問題で、
ハニーちゃんに怒られるんだが」


博士も正妻の尻に敷かれているらしいことに
苦笑する天野。


「まぁ仕方ないねー、
ドラゴンちゃんのためだからー」


博士は巨大ドラゴンをスキャンし、
ドラゴンとのコミュニケーション方法を探った。


はじめてこの世界の人間・進士と接触した際に、
進士をスキャンして
コミュニケーション言語を
修得した時と同じように。


「おっけー、だいたいわかったよ、ほほほ」


「じゃぁ博士
『私の話を聞いて欲しい』って
伝えてもらえるかなー?」


博士は一条女史の言葉を
巨大ドラゴンに伝えた。


「『お前は古代竜族語がわかるのか?』
と言っているね」


博士はドラゴンのメッセージを伝える。


「古代竜族語なのかー、
おっけー、おっけー」


古代竜族語は相当古い言語であり、
仮称・ファンタジー異世界でも
わかる者はほとんどいなかった。


「『このままだと
あなたはどの世界に行っても、
死ぬまで攻撃されるだけだから、
私の話を聞いて欲しい』って
伝えてもらえるかなー?」


博士がそれを巨大ドラゴンに伝えると、
ドラゴンは一条女史の目の前に降りて来た。


一条女史は、博士に通訳をしてもらい
『どの世界でもその大きな体が怖いから、
自分達の体を小さくする装置を付けて、
一度自分達と話し合いをして欲しい』
とドラゴンに伝えてもらった。


ドラゴンは頷きながら、
自らの角を一条女史の
手が届く範囲に差し出す。


一条女史はドラゴンの角に
多次元質量シンクロシステムの
ゲートを取り付けた。


角に装置を付けたドラゴンの姿を見て、
一条女史は笑顔で言った。


「なんだか、リボンみたいで可愛いねー」













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