非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

ゾンビと引きこもり(6)

ゾンビ兵『Bros-408』。


真実を隠され
バイオロイドとして、
引きこもりの弟に
遠隔操作されていたゾンビ兵。


はじめは海底王国との戦争、
その後片付けなどに使われていたが、
その後再調査を受け、
異世界人テロリストや犯罪者の
見回りなどを行うようになる。


弟の部屋を
異世界人が急襲した際に、
誰も何の操作もなしに
一人で勝手に動き弟を守った。


その際にマスクを破損し
顔を弟に見られたこともあり、
防衛軍に回収され、
弟の記憶の一部は消去された。


-


弟を守ったとは言え、
誰の操作もなく暴走したことは
間違いのない事実であり、
その原因を調べるため、
回収後は徹底的に調査される。


システムの欠陥や致命的バグ
という可能性も考えられる以上、
すぐにまた配備される
という訳にはいかない。


今回は異世界人テロリストを撃退し
操縦者を守っただけだからよかったが、
今後予想だにしない暴走で暴れだしたり、
誰かを傷つけたりすることも考えられる。


予想出来ない行動を取る兵器というのは、
防衛軍としても非常に扱いずらい。
兵士であれば、教育や洗脳で
軍規を守らせることが出来るが、
彼等はまだ兵器の扱いなのである。


-


一条女史をはじめとする
研究開発スタッフは調査を進めるも
それらしき欠陥は見つからず、
原因究明は暗礁に乗り上げていた。


このままであれば
ゾンビ兵『Bros-408』は凍結され、
最悪廃棄ということもあり得る。


研究室で一条女史が頭を抱えていると、
『チーム外道』の石動いするぎがやって来る。


「なぁ、
改造人間の打合せ
するんじゃなかったか?」


ちょうどいい、渡りに船、
『Bros-408』のこれまでの経緯を
石動に話してみる一条女史。


「頭に埋め込んだ
自動学習式のAIチップだろ。


AIが成長したんで、敵を判断して、
勝手に操縦者を守ったとかじゃねえの?」


「だからー、
AIチップ埋め込み型じゃないって
言ってんだろがー」


確かにAIチップ埋め込み型であれば、
まだ説明の出来ない状態ではない、
そんなに早くあんな状況の対処法を
自動学習で学ぶかは置いておけば。


「この子、
自我があるんじゃないかって
思うんだよねー」


「お前、自分が何言ってるのか、
わかってんのか?


自我があるってことは、
あれだろ?


えっと、なんだっけかな、
まぁ、簡単に言うと、
魂があるってことになるんだろ?」


「今、
『魂をきちんと形づくり、
この世界に定着させる』って
言おうとしよねー?」


「まぁ、それだよ」


「仮に魂があって、
自我があったとして、
そりゃ本人の魂なのか?


じゃあ、ここで死んでた間は
その魂は一体何をしてたんだって
話しになるじゃねえか。


幽霊になっていたけど、
体が治ったんで、
また元の体に戻りましたってことか?


それとも全く違うどこかの幽霊が、
ちょうどいい体があったんで、
使わせてもらいましたってことか?」


「お前、ただの
脳筋バカかと思ってたけど、
結構難しいこと言うんだなー、
むしろそっちにびっくりだよー」


元の体に元の魂が
戻って来たのだとしたら、
それは完全な意味で死んだ人間が
蘇生した、生き返ったということになる。


そうなると彼はもう
ゾンビ兵『Bros-408』ではなく、
蘇生した人間シンヤ
ということになるのだが、
その境界線は何処にあるのか、
まだまだ魂について
わからないことが多い。











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