非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

対水棲生物兵器

空では戦闘機部隊が
制空権確保のために奮闘していた。


巨大クリオネと巨大クラゲも再び空に浮上。
地上からの対空砲火で
トビウオは撃墜出来ているものの、
巨大エイをはじめとする
巨大生物には効果は薄かった。


戦闘機部隊は複数隊に分かれ、
武装を替えては出撃を繰り返す。




巨大クリオネはやはり
空を飛ぶのが得意ではないらしく、
空でフラフラしてはビルに激突し、
ビルをなぎ倒している。


その度に司令室で萌えている一条女史。


巨大クリオネに蹂躙される街、
住民が見たら悪夢としか思えなであろう。


巨大クラゲもクリオネと似たようなものであった。


この二体は動きが遅く、
攻撃部隊からすれば的のようなものであったが、
クラゲの盾同様に緩衝作用によって
攻撃がすべて受け止められていた。


空に上がった水棲生物は、
飛び道具がないため、
基本的に接触して敵を倒すしかないようだ。


トビウオに至っては
完全に追尾ミサイル状態。
対戦闘機特攻専門と言ってよかった。




武装を交換して戦場に戻って来た
戦闘機から新たな兵器が発射される。


その尖った先端は
巨大クリオネとクラゲに突き刺さり、
敵の体内で止まる。


そして二体の半透明の巨体の中がみるみるうちに黒、
濃い緑色へと変色していく。
さらに体表に巨大な瘤がいくつも出来あがり、
見るも無残なグロテスクな姿となっていく。


「ぎゃー、クリオネちゃんがー」


クリオネちゃんの変わり果てた姿に
悲鳴を上げる一条女史。


「そんなこと言って、
考案したのは一条さんじゃないそうですか」


天野がいないため、
代わりに気弱な真田さんが
突っ込まざる得ない。


「天野っち風に簡単に言うとだねー、
わかめと吸収パッドと癌ウイルスを
合わせたようなものですよー」


「全然わからないんですが」


「水分を吸収すると
何倍にも膨張するわかめもどきと、
超強力な水分吸収パッドの
吸収機能をか掛け合わせて、
体内転移速度を極限まで高めた
癌ウイルスをさらに組み合わせたんですよー。
体内に入り込んだウィルスが、
急速に体内の水分を吸収して膨張し、
それが体内中に一瞬で
転移していくってわけですよー」


ドヤ顔で説明する一条女史。


「ちょっとした怪我なら
わずか数秒で治せる
博士直伝の再生医療技術があればですねー、
癌細胞を一瞬で体内中に転移させるとか
造作もないことですよー
キメラも私の得意分野ですしー」


「なるほど。
博士の技術はバイオ兵器と
相性がいいと言ってましたね、
そう言えば」


「水棲生物への攻撃に、
わかめとは皮肉がきいているな。」


財前女史も感心したように頷く。


「でもー、でもー、クリオネちゃんがー」


全く話題にされない
クラゲが気の毒でもあるが、
いずれにしても巨大クリオネとクラゲは
内側から腫瘍で内部破壊され、
機能停止となり落下する。


巨大な音と共に地表には振動が走る。


案外生命は脆いものである。
人間であれば、
脳の血管が詰まっただけで
破裂して死に至るし、
腸が詰まっただけで
やはり破裂して死に至る。


そうした内部破壊を狙ってバイオウィルスに、
巨大生命体でも耐えることは出来なかった。


-


「お前ら、そろそろ次の時間だ。
前に出過ぎているぞ、防衛ラインまで下がれ」


「次はアレだから、
防護マスクの着用を忘れるなよ」


通信で天野は全軍に指示を出し、
自らも防護マスクを着用する。


次の爆撃機が上空を飛び、
敵地上部隊に爆弾が投下される。


落下した爆弾が爆発し、化学兵器が散布される。


「本当になりふり構ってねえんだよな」


天野は防護マスク越しに呟いた。


地雷の次が化学兵器では、
天野の真っ直ぐな性格からすれば
嘆きたくもなるのだろう。


例え、敵がこの世界の人間ではなかったとしても。


神経系が麻痺し動けなくなった敵部隊に、
そのまま爆撃機から焼夷弾が投下される。


今回は化学兵器と焼夷弾がセットになっており、
動けなくなった敵を
圧倒的火力で焼き尽くす目論見だ。











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